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ハンドメイダー異世界紀行⁈  作者: 河原 由虎
第一部 三章 “キョウト”へ
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094.やってきた2人

「まったく……期待外れでしたねぇ。

まぁ護衛がついたと言う情報もあって、一度の襲撃で目的のものを持ち帰れる確率は低いとは思ってましたが───」


カツ、カツ、という歩く音と共に聞こえてくる声。


「ただの商隊の護衛にまさかS級の奴がいるとは思わないだろう。さらに二人はA級。こんなわりの悪い仕事はない……。

あんたからの依頼でなければかしらも間違いなく断ってただろう。というか、依頼料上乗せは覚悟しとくんだな。」


足音と聞こえてくる声から、人数は二人とわかる。


「で、この女がその⁇」


牢屋の前まで来て立ち止まり、こちらを伺っているようだ。目視できないからどんな人物なのかはよくわからないけど、声は結構歳のいった感じの渋い声で、丁寧な口調。依頼したと言っていたしこの声の主はここの盗賊ではないのだろう。


もう一人は、ドスのきいた、いかにもな雰囲気の声だ。

とりあえず盗賊Aと呼んでおこう。


「ネズミの報告では何やらすごいアーティファクト使いらしいが。」


ネズミって。内通者のことかな……?


「もちろんアーティファクト類は取り上げてあるんですよね?」


えぇそれはもう取り上げてくれてますよ。

私の大事なアーティファクト達!


「で、そのアーティファクトは?」


「これだ。」


近くにあったの? と薄目を開けたくなるがとりあえず我慢。


「こんな牢屋のすぐ近くに保管はいただけないですね…………本当に能力のある優秀な術士だったらこのくらいの距離、遠隔でも発動できます。別の場所に保管しておきなさい。

まぁ、せっかくなので一度見せてもらっても?」


ぐ…………そうなの⁈

そんな遠隔で操作できるものなの⁈

せいぜい手の届く範囲だと思ってた……!


『能力のある』と言っているということは、自分にできるかどうかはわからないけども……


「…………これは…………!」


私のアーティファクトをじっくり一品づつじっくり確認しているらしい男が何か驚いた声をあげる。


「…………何か変なモノでも?」


盗賊Aの問いに苛立った感じで、でも歓喜とも言えるような雰囲気の声で答える


「ちゃんと確認しなかったのですか…………⁈

このアーティファクト達を‼」


なんか……色んな意味でヤバい気がしてきた…………


「物のクオリティから……さすが奴の連れらしいとは思ったが…………?」


何がそんなに驚くことなのかわからない、という声で答える盗賊A。


「この純度、間違いなく全て超級のアーティファクトです‼ 棒人間の指輪まであるじゃないですか…………!

あと? こちらは? 空を模してその中に某人間。

どんな力を持つのか楽しみですねぇ‼

しかも───」


なんなのこいつ───?

盗賊じゃないにしてもロクな人物じゃなさそうなことは確かね……!

もう自分のものになったかのように話しているその口調も反吐が出るほど気に入らない。


ん…………? この感じは…………


目を閉じて、少しでも情報を得ようと感覚を研ぎ澄ませているからこそ気づいた力の流れのような物。


まさか自分にそんな機能が備わっているとは思っていなかったけれど、確かに感じる『何か』


「このベルトチェーンのもの、どれ一つとして発動できません!」


やっぱり試したのか…………!

声のする方から何か光というか暖かさというか、そんなものを感じたのだ……


「それが…………?」


「この私がどれ一つとして発動できないのですよ⁈」


盗賊Aはポカンとした感じに受け応えている。


この人……使用者限定されてることをすぐに気づいた…………!

見た目はわかりにくいように加工してあるのに…………!


もともと結構涼しい牢屋内だが、冷や汗が背を伝う。


何者なの…………⁈



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