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ハンドメイダー異世界紀行⁈  作者: 河原 由虎
第一部 三章 “キョウト”へ
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『外伝』091.大吉の気持ちは...


大吉はしばらくその場から動かなかった。


ただただ・・・盗賊の(かしら)に抱えられて消えた藍華の影を見据えていた───


自分の中の荒れ狂う感情を表に出さないでいることが精一杯だったのだ。


自分でも戸惑い御しきれないそれが、顔に出るだけで収まっていたのは、ひとえにこれまで大吉が積んできた徳なのだろう。


極悪な顔のまま立ち続ける大吉の所に、いつの間にかフェイとアグネスが来ていた。


「大吉。歯を食いしばれ。」


突然、ぶっきらぼうに言われたその言葉の意味を考える間も無く、体は適切に反応した。


がっっっ


しっかり食いしばっていたため、顔を殴られたにしては被害状況は最小限。


そして、アーティファクトはしっかりと身代わりの役を果たした。


藍華の作った、身代わり守りのマクラメブレス。


倒れ込みながら左手につけたソレが目に入る。


「・・・!・・・」


溢れ出る涙を一瞬止めることができなかったのは、これまでに経験したこともない感情の現れなのだろうか───


仰向けに倒れ、青い空が目に入り・・・そのまま目を閉じる。


(切り替えろ、自分。

藍華はきっと必死に生きるはずだ。)


「今1番大変な目に遭ってるのはお前じゃない。

今1番怖い思いをしてるのもお前じゃない。


藍華だ。」


フェイの静かな言葉に、答えられるくらいには思考力が戻ってきた。


「・・・サンキュー・・・フェイ・・・」


「大吉。自分でも気づいてるはずだ。

何故今のガードしなかった?」


(そうだ・・・俺はガードしなかった。歯を食いしばれ、と。これから殴るぞ、と言われているにも関わらず。。。)


頭に上った血を出来るだけ早く下げるのにフェイのパンチが良く効いたということか、と大吉は気づいた。


(ソレが必要だと本能でわかってたんだな。。。)


起き上がってあぐらをかき、手でその感触を確認しながら改めてブレスを見る。


頭部を守護する天然石にヒビが入っていた。


『大吉さん専用ですよ!怪我すること多いみたいなんで。クラックの入ってないAAAクラスと呼ばれるビーズを使いました!!大事にしてくださいヨォ?』


渡された時の藍華の言葉や表情、仕草のすべてが脳内で鮮明に再生される。


(・・・俺は・・・・・)


「せっかくの身代わり守りにヒビが入っちまったじゃないか。。。フェイ!お前本気で殴りやがったな?!!」


まだ顔は上を向けれないが。

口調と雰囲気から、もう大丈夫だろうということは感じ取れた。


アグネスが横にしゃがんできて、言う。


「頭、冷えたか?」


顔は見られていない、はずだ。持ち前の波打ってる前髪と縛った横から垂れてる髪で。


「・・・あぁ、何とかな・・・」


あげられない顔に、耳まで赤くなってては、隠しようもないのだが。


「奴らはアーティファクトで飛んだ。けどあんな大人数、そう遠くまで1度に飛ばせれるわけがないだろ?

あたしより大吉の方がわかってると思うが。

早いとこ対策をかんがえろ。

藍華はあたしにとっても妹みたいに大切なんだ。」


アグネスの言葉で、思考を邪魔していたドス黒い感情が消えてゆく。


「大事すぎるのもアレだな、結構簡単に自分を見失っちまう」


フェイがつついてくる。


「お前にとって、藍華とクゥさんは“同じ”なのか?」


何を意図して言われたのか。

分からないわけではなかったが、


「・・・クゥさんはな。。。

畏怖というかなんというか・・・

あの人にはそういったものしか感じたことはないな・・・」


とにかく眩しかった。

相方を失った直後の暗い闇の中にいた俺を引き上げてくれた。


「また今度じっくり聞かせてくれ。酒でも飲みながら。」


「あぁ。。」


フェイが目の前に手を伸ばす。


「・・・サンキュー・・・」


手を取りようやく立ち上がり、3人は馬車の方へと向かった。




もしだんだんとキャラがしっかりとしてきているなと感じたなら。。。。



ソレは物語の主軸をハンドメイドの作品ではなく今いるキャラクター達で展開していこうと決めたから。



デス


(ある意味衝撃の事実。この話の主人公 (?)はハンドメイドの作品だったという。。。。。)



うーむどこかのタイミングでしっかり改稿したいです。

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