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ハンドメイダー異世界紀行⁈  作者: 河原 由虎
第一部 三章 “キョウト”へ
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『外伝』089.お届けものは...


「くそ・・・話には聞いたことがあったが・・・

まさか自らも効果範囲に入れて放つとはな・・・」


ヤツを甘く見ていたか、と悔しい反面感嘆を込めて言う。


なんとか戦線から離れた位置の岩影に辿り着き一息ついている頭の所に、どこからか遠回りしてやってきた一味の一人がやってくる。


(かしら)!鼠からです。。!」


担ぎ込まれたのは気を失っているであろう藍華だった。運びやすいように何か毛布のようなものに包まれて、頭頂部と足先しか見えないが、頭頂部から揺れ出ているポニーテールからの三つ編みが間違えようもない。


「グレイス、なんだそれは?報告にあった商隊の頭取の娘か?」


恐らくアグネスの初手で負ったのだろう青タンが複数あるグレイスと呼ばれた男が答える。


「そっちは失敗してその代わりだそうですが───

何やらすごいアーティファクトを持っているそうです。

損はないはずだと言ってました。

あと、目当てのブツはやはり特殊なアーティファクトで守られているようで確認することもできなかったそうです。」


少し考え、戦況を分析する頭と呼ばれた男。


(正直戦闘可能な人数は大幅に減っているだろう。自分も大吉の一撃で意識が飛ぶのは防げたが体全体が悲鳴をあげている。)


「ちっ・・・

目当てのアーティファクトを悟らせるなってことだったからな。。。

全員に通達しろ!アジトにもだ。

一旦引き上げるぞ!」


「了解」


グレイスが懐からロケットペンダントを取り出し開く。

中は鳥模様の入ったレプリカのようだ。


「だがギリギリまで勘づかせるな。

気絶してる奴には補助をつけろ。

行動に起こすのは5分後だ。それまでなんとか持たせろ!

とりあえずソレは人質として連れて行くがここに置いていけ、俺が持つ。

交渉するのに多少の役には立つだろう。」


グレイスが人数分とアジトへと鳥を飛ばすと。


「お前は大吉とやり合ってる六剛(りくごう)に加勢してこい。」


(・・・あれは手こずる。。。下手して六剛までやられてこの人質も奪い返されてはまずい)


「わかりました。お気をつけて!」


そう言って颯爽と去っていくグレイスの気配を追いながら、一息つく。


「全く厄介な仕事引き受けちまったな。。

あの“大吉”がいることも奴の実力も想定外だっつうの・・・」


あっという間に5人戦闘不能にされていったあの光景を思い出しながらぼやく。

アグネスフェイの方はそれでも3人程度やられて、それでもまだ意識もあるようだったことを思い出してみても、大吉が護衛についている時点で依頼の報酬では割に合わない。


(タバコがあるなら一本フカしたいところだが。これから使うアーティファクトのために気力を貯めとかねぇとな。。)


と、あるアーティファクトに気を込め始める。



盗賊の(かしら)が使おうとしているアーティファクトはとてもレアな転移用アーティファクトだった。


二つで一つのアーティファクトで『大粒の耳飾り』と呼ばれる。 (レジン作品)

力を込めて発動するともう片方の元にある程度のモノを転移してくれる。

そこにアーティファクト職人が手を加えて、同じレプリカを持つ者たちを同時に転送できるようになっているが、その数は発動者の能力とにかかっている。そして物凄い精神力が必要で、日に何度もは使えず使用後は使用者の自由をしばらく奪うという、使用直後気絶必至のアーティファクトだ。


頭がそれに集中を始めた頃、大吉と六剛は再び対峙していた。


グレイスの放った連絡鳥が野党たち六剛の元にもたどりつき必要事項を告げて風に解けるように消える。


(なんだ、今のは。。。?)


訝しげに思いながらもまた斬撃を繰り出す大吉。

しかし、体躯に似合わず素早い動きで(かわ)され、六剛は再び突きを出してくる


「くそっっっ!!」


突きをかわした直後に来るであろう蹴りを交わし少し後ろに飛び退る大吉。


まさか電撃を喰らった後にそこまでの動きが可能とは思わず、先ほど食らったパターンだった。


2度と食らわんぞ、と不敵な顔はするものの、焦る気持ちは隠せないとこまできていた。


先ほど受けた蹴りで左腕を痛めたせいもあって反応が鈍いことが自分でもわかっている。


藍華の身代わり守りアーティファクトの肩代わりを超えて残ったその痛みに自分の油断を悔いる間はない。


(藍華の結界(ガード)が消えたんだ。何かあったに違いない。早く行かなければ。。。!!)


焦るその心も、大吉に隙を作るのに一役買ったことは間違いない。


「加勢するか?!六剛」


大吉の間合いに入らぬように慎重に走り寄ってきたグレイスを半分振り向き気味に視界に入れながら返答をする六剛


「・・・いらん・・・こいつは俺の獲物だ・・・」


「わかった。俺は他の連中のところに行く。

気をつけろよ!」


グレイスは六剛が自分を目視したことを確認してからその場を離れる。



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