『外伝』088.襲われ攫われ痺れさせ
読んでも読まなくても、話は繋がっていますが、時系列でここに設置させていただきます。
ここからしばらく外伝が続きます。
藍華を殴り倒した人物は、迷うことなく意識を失った藍華をそこから連れ去る。
馬車の位置が死角を作っていて、戦闘中のメンバーからは見つかることなくすんなりと。それは成功してしまった。
ユウリは落ちた時の衝撃に意識を失うが、
怪我はないようだ。
これが3号車の方側、左にユウリが落ちていれば、3号車の御者であるタイラともう1人がすぐに気づけたはずだった。
藍華がユウリを結界で包んだことにより商隊全体を包んでいた結界が消えたので、戦闘中の面々は異変にすぐ気づいたが、手が離せる状況にはなかった。
時はほんの少し戻り、手強い輩と対峙している大吉は───
「俺の名は六剛。名高い天雷の大吉と手合わせができて光栄だ。。。!」
振りかぶって降ろされる一撃は、見かけの筋力量に違わず。いや、スピードも乗ってまともに受けるとそれだけで腕を痛めそうだと、大吉は刃を滑らせ塚の部分で跳ね上げ、フリーになった腹部目掛けて蹴りを入れる。
「それは───どうも!!」
(たったこれだけ動いただけで息が上がっちまうっ・・・
引退だなんて言って体動かしてこなかったツケか。。。!)
その時、奴らの火の攻撃を止めた後張られた結界がフッと消えた。
(藍華。。。!?)
後ろからの気配に気づき、身をかがめ足払いをかける。
「ぐっっ!」
崩れた体勢から地面を蹴ってバク転しながら体制を立て直し着地したのは先程まぶしい照り返しを披露してくれていたハゲ。
(こいつは・・・おそらくこの盗賊たちのトップだろう)
大吉は体力の衰え等感じながらも冷静に分析する。
(六剛の獲物はおそらく日本刀。アレはリアルみたいだな。アーティファクト、レプリカ特有の光がない。)
2合3合と打ち合い、切り結びながらも思考は冷静だ。
(そしてこのハゲの獲物は大振りのシミター。
こちらもリアル。ただし要注意は刀身の根元付近に付いている飾玉。
アーティファクトの可能性アリ。。。)
余裕がないわけではないが、油断は大敵と
(出し惜しみはなしだ。3回くらいしか使えないが!)
2人を警戒しながら距離を取り、ベルトチェーンの先につけてあるレプリカの1つに意識を集中する大吉。
中範囲に効果を及ぼすレプリカ雷陣。
それは全体が透明樹脂で覆われ、中に魔法陣の様な枠があり、中央に位置する雷形の金属片に、オパールのかけらが散りばめられていて、シンプルだけれど目を引く一品。
発動すると魔法陣が地面に現れ、その時陣上にいる者に電撃を喰らわせる。
(あの2人を引きつけて、攻撃を防ぎ距離を取った直後がチャンスだが。。はたして今の俺にそれができるか。。。?)
レプリカの持ち主は耐性があるから痺れは多少出るが直撃した者ほどではない。。
(2人。確実に喰らわせてやる!!)
ジリジリと動きながら気を伺う。隙のない構えと奴らの意識。
先に動いたのは六剛だった。
正眼の構えから左切り上げのルート!
ハゲは突き。
(そのタイプの剣で突きかよ?!)
なんて突っ込んでる間はない。
引きつけて自らに剣先が届く直前、
「雷陣!!」
自らを中心に半径1メートルほどの雷渦めく魔法陣が出現する。
「「!!!!」」
覚悟を決めてて、使用者特典付きでもこの衝撃。
実際に味わいたくない攻撃の一つだ。。。
時間にしてわずか数秒。雷の光と音が鳴り響く。
後に残ったのは倒れ伏す2人としゃがみ込む自分。
「く・・・藍華のとこに・・・」
立ち上がるものの痺れが思うように体を動かさせてはくれない。
「・・・ぐ・・・ふんっ!!」
剣を杖状態にして立ち上がる六剛。
「マジかよ。。。直撃してんのにタフだな・・・!」
嫌そうな顔して言うものの、感嘆したことも事実。
六剛の横でハゲももう起きあがろうとしている。
「・・・頭は下がっててください・・・」
六剛の言葉に
「・・・てめーばっか楽しい思いしやがって・・・羨ましいじゃねーかよ・・・」
全身焦げてるのにこの気迫。。。ハゲはやっぱり盗賊の頭か。。。
「司令塔が戦闘に参加してどうするんですか。。。」
一種の戦闘狂か。そんなのとは出来れば戦いたくないんだが。。。
「ちっ・・・任せるよ」
気持ちヨロヨロと下がっていく盗賊頭。
はい、突然の三人称?
最終的な改稿でスッパリ消えるかと思われるこの話。
お付き合いいただき感謝します。( ̄^ ̄)ゞ
一人称でカッコいい大吉がかけれるように頑張りますー!




