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ハンドメイダー異世界紀行⁈  作者: 河原 由虎
第一部 一章 ある日マンホールに落っこちたら
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007.作風

「わかった。じゃぁ俺もそのように動くよ。

 ところで、藍華の腕が役に立つかどうかは、そのネックレスでわかるんじゃないか?」


 私が今胸につけているネックレス。

 それは、オマージュとして作った、棒人間の台座付きネックレス。


「そういえば、マンホールから落ちた時……光ってました…………」


 もしかして

 コレでここにきたんだろうかワタシ?


「光ってたなら確実に“アーティファクト”だな」


 あれ、でもなぜこれが……


「なぜコレがわたしが作ったものだと……?」

「作風が違う」


 そう即答する大吉さんに、素直に尊敬の念が湧いてくる。


 自分で考え、作っても。誰かの何かと似てると言われたり、パクリだなんだと言われるような、あの時代。


 オマージュ作りましたぁあああ!

 と言って写真を上げるも、パクリだなんだと言われて余計な精神力や労力を使うことがめんどくさくてイヤで、作ったことはSNSにはあげていない。


 けれど大吉さんは、はっきりと“ちがう作品”として感じてくれている。生きてきた時代が違うと言われれば、それまでの話かもしれないけれど“作風が違う”と言われ、私は素直に嬉しいと思った。


 あの素敵な作品のイメージを崩さないように頑張って作った子(作品)、そこに()の作風も混ざっている、ということなのだろうか……?


「ちなみに棒人間は色々な効果を発揮するから使ってみないとわからない。

 指輪は身体能力向上。そのネックレスのは何だろうな……空に浮かんでるような棒人間だから飛空能力持ちかもしれないぞ。

 そうしたら、かなりレアだ」


 そりゃぁレアだろう。

 様々な素敵作品が作れるレジンにおいて、こんなギャグみたいな作品作るのはほんの一握りの作家であろう。


「イマイチ実感がわかないけど……色々試してみたくなっちゃいますね!」

「あ……試すのは外のほうがいい。店が壊れるのは困るから……!」


 言って、ガックリと肩を落とす大吉さん。

 過去壊れたことがあるんだな……


「……了解です」


 私は苦笑しながら承諾し、大吉さんは「ありがとう」と言ってから、残りのコーヒーを飲みほした。


「ところで、腹減ってないか?」


 カップを置き、ウォレットチェーンの先についている飾りを出す大吉さん。一瞬見えたそれは、レジン作家さんが、私も良く使っている懐中時計を模したパーツと同じで……


「…………」


 質問の内容より、ソレが気になってしょうがなく、覗き込んでしまうわたし。


「まだとくにへってはいないですが───

 あの、それって…………」


「ん? これか? 時間を教えてくれるアーティファクトだ」


 そう言って、コトリとカウンターに置いて見せてくれる。


「一般的なアーティファクトの複製品を“レプリカ”と呼ぶんだが、コレは本物のアーティファクトで、メンテナンスは自分でしてる」


「…………」


 見せてくれたそれは、銀古美の懐中時計ミール皿にバックは紺色に虹色の粉がうすーくまぶされている感じに、金色の文字盤シート。


 ただし、シートがわずかに斜めってしまって、修復不可能だから、とりあえず処女作だし、記念にとっておくかと押し入れの奥底にしまっておいた自分の作品…………。


「どした……?」


 変な顔して固まるわたしを心配して声をかける大吉さん


「た……たぶんなんですけどね…………

 それ、わたしの作った……失敗作だと思うんです…………」


 文字盤の斜め具合がもう。忘れもしない角度だし、それにもう一つ証拠がある。

 よぉおく見ないと見えないアレ。


「……マジ……?」


 両手で顔を覆い、ソレを確認する方法を言う。


「まだちゃんと見てないのであえて見ないで言います。

 それをランプにかざしてみてください。

 すこしずーつ斜めにしていくと、黒い小さな毛のようなホコリが入ってます。

 位置的には文字盤の右上の方。正面からと、僅かに斜めにしたくらいではバックの暗い色が保護色になって見えないんですが……」


「…………」


 黄変も進んでるからわかりにくいだろうけど、角度でヤツは必ず見える……!


「……ぁああ……⁉

 コレか……? 二と三の間の──」


「それです────‼」



ぎゃああああああああああああああああああ

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