076.ユウリの覚悟
「ふあぁぁああああ」
朝日を浴びながら伸びをしてみるものの、足りてない。
確実に睡眠が足りてない。
「んー」
一方テントから出てきたばかりの大吉さんもまだ眠そうで。
え、もしかして───
とか少女漫画脳に行きそうな自分の思考を制御するため出た言葉が
「あれ大吉さんもあんまり眠れなかったですか?
歳ですかー。。。?」
ひどい。最後の一言がひどい。
「ぐ。。。まぁそうだな。。。ところで体調はどうだ?」
「寝不足気味なだけだと思います。不定期な睡眠には慣れてないので。。」
私の頭をポンポンと軽くたたいて水をもらいに行ってくる、と洗面バケツを持って水樽の方へ歩いて行った。
あぁ。。。す──
そこまで考えて思考を切る。
髪の毛を全部解いてつけていたゴムの確認をする。
よし、切れてない。
少し位置をずらしてポニーテールをし直し、先を三つ編みにする。
寝てる間に何があっても対処できるよう、髪を解かなかったので三つ編みの跡がついていて三つ編みがしやすかった。
洗髪は出来るのかな。。。?
え、もしかして着くまでこのまま???
ふと思いついた疑問にあとでこっそりユウリさんに聞こうと決意し、テントを畳む準備を始める。
テントからあらかたの荷物をまとめて出したところに大吉さんが戻ってきた。
「冷蔵アーティファクト、今日は俺がはじめ担当しよう。
大体3時間くらいで交代してもらってもいいか?」
「了解です!」
テキパキとテントをたたみ、荷物を預けて朝食をいただきに行くと、今日は砂漠から森に入るらしく、天候とルートの確認がされていた。
「食料も水も十分な時は最短の砂漠ルートで行くんだがな、これまで襲われた商隊は全部砂漠ルートだったんだ。」
商隊頭取の達磨さんと護衛チームリーダーの耕助さんが話をしていた。
「なるほど。。。それでも森を行くのは危険だと思うが。。。」
森は隠れる場所沢山ありそうだしねー。
「商会とも話し合って決めているから。。すまんが付き合ってくれ。」
「全力で持って対応しよう!」
申し訳なさそうに言う達磨頭取に心配するなと言っているかのような耕助さん。
少し離れたところで食事をはじめた私たちのところに、ユウリさんがお茶を持って来てくれて。
「ありがとうございます。」
「頭取も商隊の方も大変ですね。。」
大吉さんの言葉にユウリさんは苦笑して答えてくれた。
「大きな流れの一部なんです。私たちも他の商隊も。」
どういうことだろうか。。。?
「人間はは皆個人、別々の意思を持ちますが───
商会もは大きな意思で持って動いていきます。商隊はその中の一部、それぞれにまた別々の意思を持つ。
砂漠を行く商隊の被害率が上がっている限り、どこかが森林ルートを試さねばならないです。
その上での個人の心配や不安は不要です。無用ではありませんが。。。」
なんとなくわかった。
覚悟の上で試さねばならない、ということか。。。
何が起ころうとも。




