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ハンドメイダー異世界紀行⁈  作者: 河原 由虎
第一部 三章 “キョウト”へ
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072.敵意レーダー



整備されきってはいない大通りをずっと進むと、建物がどんどんなくなっていき、というか廃墟が増え、緑が濃くなっていく。


「森林地帯を抜けると砂漠地帯がある。

そこでは幕を下ろしとかなきゃならないから、外の確認も今よりはこまめにな。」


商隊が襲われた現場というのも砂漠地帯だそうで、

今回もそこまでは大丈夫だろうと。


「了解です。私ができるのは、クゥさんの残してったアーティファクトで確認することですね。」


表向きにはわたしは冷蔵庫係。


アーティファクトのダブル使用が可能なことは大吉さん以外にはバレないようにする、と出発前に決めておいた。


クゥさんの残していってくれたアーティファクトとは。

護衛の仕事にも探索の仕事にも使える、クゥさん命名“敵意レーダー”


懐中時計の空枠に、中央に直立する棒人間、それを囲むようにある二重線、その間には光と角度によって色の変わるキラキラした粉。

棒人間の周りにはオニキスの細石と水晶が散りばめられている。

秀逸なのは、全体をレジンで覆った後に入れられている模様だ。


その模様と棒人間で、一目で碧空の作品だとわかる。


ただこれ使えてるのかどうかよくわからない。

何せ敵意を持ってくる人にしか反応しないので。


「意識的に切らなければ、その時が来たら盤が出て敵意を持つものの方角が出る。心配しなくてもちゃんと動いてるよ。発動した時光ったろ?」


確かに光りはした。一瞬。


「半径50メートルでしたっけか?反応範囲」


「あぁ。少なくとも商隊の中には手引きする者はいなさそうだな。」


「。。。!。。。」


そっか。。。そういうのも考えないといけないのね。。。

そうするともっと警戒するべきなのか。。。?


「護衛グループは少し注意して見ておいた方がいい。」


「どうしてですか?」


家族のような雰囲気でやりとりをしているのを見たのでカケラも違和感など感じなかったのだが。


「。。。。野生のカンですか。。。?」


「う。まぁ、そんな感じかな。」


警戒しようにも何をどうしたら良いのか。。

まず自分が人付き合いが苦手だということを思い出した。


よくこんな生活してるよ。今更だけども。


よくも知らない男の人と二人暮らし。


いや。。。大吉さんは良い人だと思うのですよ。。。?




緑が突然なくなったかと思うと、砂漠地帯に差し掛かり、気温がグンと上がるのを感じる。


「さぁ、じゃぁ幕下ろしとくか。」


「はい」


幕を下ろして内部の気温が上がるのを防ぐのだそうだ。


御者をやる人は暑さにやられてしまわないようかぶりものをしている。


「砂漠地帯はそこまで大きくないからすぐ終わるが、ここが1番平坦で揺れが少ない。藍華はここで休んでおけ。何かあったらすぐ起こす。」


「了解です。じゃぁこれは、わたしておきますね。」


敵意センサーのアーティファクトをベルトチェーンから外して渡す。

ストラップ状になているので、外すのもつけるのも楽である。


「おぅ。」


自分のリュックサックを枕がわりにゴロンと転がる。中身は着替えとアーティファクト修理に必要な最低限のセットが入ってる。




意外と早く眠りに落ち、起こされた時には昼食を取るための岩場についていた。






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