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ハンドメイダー異世界紀行⁈  作者: 河原 由虎
第一部 三章 “キョウト”へ
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070.アグネスとフェイ



ひゅるっるるるるるる



ドスッッッ!!!



何かが飛んでくる音と共に長槍がそれまでわたしが立っていた場所に刺さるのを目の当たりにした。


「・・・・・!!?」


サッと勢いよく血の気が引くのを感じる。


「随分な挨拶だな!アグネス。」


長槍を一瞥したあと、少し離れた所にある茂みのところに向かって大吉さんが叫ぶ。


「感が鈍ってないみたいで安心したわ!大吉!」


茂みから人影が2つ出てくる。


背の高いウェーブのかかったセミロングくらいの茶髪を後ろでひとまとめにしているワイルドな女性と、黒く短すぎないサラサラの髪で額飾りをつけている、大吉さんより若そうなイケメンの男性。


2人とも似たような革鎧をしている。


「俺はやめとけと言ったんだが、すまないな。

特にそちらのお嬢さん。」


抱きしめられたままだったことに気づき、またさらに顔の温度が上がる.。


「あ、すまん。。。!」


気づいた大吉さんは、慌てて離し頰をぽりぽりと掻く


「いえ、ありがとうございますです。。」


2人はこちらに歩み寄り、男性の方と大吉さんが、がしっと手を組み握手を交わす。


「久しぶりだな、大吉!

てっきりもう引退したかと思ってたぞ」


「そのつもりだったんだがな。

仕事はキッチリこなすから、まぁよろしく頼む。」


「はじめまして、可愛らしいお嬢さん。」


女性の方が手を出してきたので、少々警戒しながら私も手を出す。


「私たちはペアで活動してる───

護衛から探索から色々引き受ける、いわば何でも屋よ。昔の?大吉さんと同じ仕事ね。

私がアグネス、そっちはフェイ。よろしくね!」


藍華(あいか)です。専門はアーティファクト関係になります。よろしくお願いします。。。」


敵意はない。大吉さんの腕を試した、ということなのだろうか。言ってたし。


「何度か遺跡で鉢合わせもしたし、今回と同じように一緒に護衛の仕事したこともある奴らだ。

腕は確かだし、信用もおける。

もし俺に何かあったら頼ると良い。」


「・・・不吉なこと言わないでください。」


いや、このメンバーの中で何かなるとしたら多分自分なんだよな。。。と思いながら答える。


「あともう1組いるらしいが、大吉がいるならこちらも気心が知れててやりやすい。こちらこそよろしく頼むよ。

この中で間違いなく1番の経験者だからな!」


彼等は見たところ二十代後半?

まぁ確かに大吉さんが1番年上だろうとは思うけど。。


「そんなに長いこと何でも屋やってるんですか?」


「んー?まぁ物心ついた時から遺跡に出入りはしてたしなぁ。。

あ、言っとくが戦闘はホントそこそこだぞ?専門じゃぁない。」


2人が目を大きくして見合わせ、声を揃えていう


「「そんなこと言われたら世の戦闘職の人が可愛そうだよ」」


そうか??と、ここにきて天然キャラっぷりを発揮する大吉さん。


「私は戦闘は未経験。役には立たないと思うのでよろしくお願いします。守りの方では少しは役に立てるといいんですが。。」


ペコリと礼をすると、少しほうけた感じに間のあく2人。


「・・・なんかデジャビュ・・・」

「あぁ。。あれじゃないか、十数年前一時期組んでた人いただろ?」


もしかして。もしかしなくても。


「クゥさんな。そういえば一緒に仕事したな。」


懐かしそうに話す大吉さん。


「どんな仕事だったんですか?」


「んー簡単に言うと“荷運び”かな。あの時は“おおさか”までだったが。

その時の自己紹介で似たようなこと言ってたな。」


「戦闘未経験、戦力には数えないでーとか言ってたな。」


フェイさんが顎に手を当てながら答える。


「そぅそぅ!そんなこと言ってたのに、めちゃくちゃ主戦力になってたよね、あの人!!

特にアーティファクトの使い方が上手かった!」


「故郷に帰ったと風の噂で聞いたが。。」


「・・・あぁ・・・

きっと元気にやってるだろう。」


一瞬こちらをみたあと、空を見上げる


キュンとなる胸を・・・無視はできないけれど・・・

今は胸の苦しささえも楽しもう。。。


鼓動よ鎮まれ、気持ちよ落ち着け。



役に立ちたい。


心の底からそう思うのは生まれて初めてかもしれない。





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― 新着の感想 ―
[良い点] 遂にきょうと出発ですね。 京都好きなので、この世界のきょうとがどんな場所なのか楽しみです。 新しいキャラクターも出てきて、面白くなってきましたね! [一言] 読み進めていると、物を作りた…
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