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ハンドメイダー異世界紀行⁈  作者: 河原 由虎
第一部 三章 “キョウト”へ
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069.出発当日



帰りの道中は、何事もなく無事に、通信用アーティファクトのもう1つの能力を披露した。


金属片を矢印の形にしたものをこうもりの後ろ側、見えにくい所に配置してあって。お互いの場所、というか方向が確認できるようにすることに成功したのだ。


念じれば矢印が空中に現れ、片われの方角を指し示してくれる。



「クゥさんのはそのまま鳥についていけばよかったが、コレはコレで良いな!面白い」


「あとはどれくらいの距離離れて大丈夫か、ですね。」


実験できるときにどんどんためそう。


あとは諸々のアーティファクトに大急ぎで個人認証のをつけたそう。



「そういえば、大吉さんが新調するって言ってたアーティファクトは実験しなくてよかったですか?」


蓮堂さんと話してた時言っていたことを思い出して聞いてみた。


「あぁ、問題ない。数回使えるほぼ使い捨てのレプリカだから。」


どんなやつなんだろう。気になるけれど、もう店だ。


「また時間があったら見せてやるよ。」


カロンカロン


「楽しみにしてます」


店に入り、またいつものように開店準備を始める。


だいぶ慣れたな。ここの生活。。。


ふと、思う。

わたしがここにきた意味、あるんだろうか。。。

あったとしてもなかったとしても、今わたしはここに居る。その事実。


楽しまなくちゃ損じゃない?!


何があっても可能な限り楽しもうと再び心に決めて───






後日。


個別認識のギミックは、クゥさんの日記を参考にプラスしてみたら見事に成功。ひとまず大吉さんと2人で使用できるようにした。


あとは、出発の2日前に売り上げで大きめテントと寝袋を買い、その他にも必要なものを買い足して、前日は店を閉めてゆっくり過ごした。


と言っても、長期留守にする店の準備と翌日の用意をして、あとはのんびりクゥさんの日記を読み解く会を開いたので結構白熱した討論会のようになっていたけど。








そして出発当日───


集合は、市場の立っていた場所だった。


ピクニックとはとても言えないが、色々初めてすぎて戸惑うことばかりだろうと覚悟して行った。


「よろしく、大吉さん。

わたしがこの商隊の頭取の達磨ダルマだ。

警察の方からの紹介だと聞いてるから、期待しているよ。」


白が混じったサンタクロースよりは短いであろう髭を蓄えた、ダルマと称するには細身で顔はサンタクロースよりなおじさんが、大吉さんと握手をする。


「よろしくお願いします。専門は遺跡探索なので戦闘はそこそこですが、危険回避にはお役に立てるかと。

こちらは助手の藍華です。藍華はアーティファクトの修復ができるので道中壊れてしまったものは彼女に行言ってみてください。」


「よろしくお願いします。対応できる道具があるものは直せるので、言ってみてくださいね。」


にっこり笑顔で言うわたし。


「それはありがたい。よろしく頼むよ。」


そう言ってわたしにも手を伸ばし、握手する。


良さげな人だな。


「テントとか、大きな荷物は荷台の好きなところに乗せて構わないぞ。隙間はあるから」


大吉さんの背中を指していう達磨さん。


「それは助かります」


挨拶を終えると、テント諸々の大きなザックを荷台の方に預けて、達磨さんから少し離れたところで待機。他の護衛グループが到着するのを待つ。


商隊の人達は、服装でわかる気がする。

あと、護身用に支給されたであろうナイフで。

全員が腰のベルトに刃渡り20センチくらいの似たようなナイフをつけている。

全員馬車の御者で、頭取も入れて5人


大吉さんは使い古されたであろう迷彩服のような服。

暑いと言って上着は腰に巻きつけて黒のタンクトップ姿で普段隠れている筋肉が眩しい。


ベルト穴はカシメで補強されているタイプで、その穴にいつものベルトチェーンがつけられて、先はポケットに。


それが左右両方に付けられていて、いつもと違うのは、指輪が手につけられていることと、耳にわたしの作った通信用のイヤカフがついていること、そしてネックレスのところには代わりの剣型のトップが付いている。


わたしはというと、髪の毛は動くのに邪魔にならないよう、ポニーテールの先を三つ編みしてみた。


あと普段と違うのは、ゴムを“二重”にしていることくらい。


服装はこちらに来た時に履いていたジーパンに先日購入の半袖Tシャツに腰には上着を大吉さんと同じように巻きつけて。


両サイドのズボンのベルト通しの部分にベルトチェーンを取り付けてそれぞれ5個づつアーティファクトをぶら下げてある。


両足にはマクラメアンクレット、手には棒人間の指輪.。ブレスレットを1本左手首に。右手首にはバングルを。


ネックレスはいつもと同じ、棒人間のオマージュ作品。


「テントは荷台に乗せてもらえることになったから、必要最低限の装備で動けるのがラッキーだったな。」


「2人用の、大吉さんがいつも使ってたのより大きなテントですもんねー。だから三分の一は持ちますよって言ったのにー。」


ぶつぶつ文句を言ってみるけれど、たしかに休憩を入れるとはいえ、馬に乗れないから荷台の隅に乗せてもらうことにはなっているけど、不安がないといえば嘘になる。


「普段したことのないことをする時には念には念をだ。藍華はできるだけ余裕を残しておけ。

俺はまぁ慣れてるからな。体力的なことを除けば問題はない。」


「大吉さんは馬乗れるんですよね?」


「一応な。

乗れるけど、藍華を1人にしとくないからなー。。」


顔が火照るのを止める術はわたしは持ち合わせていないので、ふいっとそっぽ向いて


「一緒に乗ることはできると思いますが。。。」


言って、想像してもっと火照ったのを感じて、口にする言葉を間違えたと思ったその時。


藍華(あいか)!!!」


反応する間もなく、大吉さんの叫び声と共に抱き寄せられる。





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