050.警察からの依頼
「だから勧誘の話は断っておいてくれ。」
「わかったよ。昔からの付き合いだしな。めんどくさいがそれとなく話しとく。」
特殊部隊ってちょっと気にはなるのだけど。
まだこの世界のことをよく知らないからいきなりそんなところに放り込まれても困ることは事実。
「で、話はそれだけか?」
つまみ代わりのクッキーを小皿に乗せて出しながら問う大吉さん。
「いや、まだある。お前に依頼が来てる。
商隊が襲われてる話は知ってるか?」
「市場でチラッと聞いたな。」
「それなら話は早い。護衛を頼みたい。」
言われてしばらく考える大吉さん。
アレか、市場で大吉さんの幼なじみのやっちゃんが言ってた。
「いつもなら一つ返事で返すんだが。。」
「わたしもついていったらダメですか?」
横からのわたしの声に考え込む大吉さん。
「結構体力要るぞ?大丈夫か?」
救助の時のが噂になっているなら、その部分は否定も肯定もせずに、けどこれ以上は出さないように、でいけばイイと思うのだけど。
「体力の方は問題ないと思います。」
“踊る棒人間の指輪”は基礎体力も上げてくれていた。
それでなかったら昼までも持ってなかった自信がある。
運動は得意ではないけど、嫌いでもない。
「ただ危機管理能力とか問われると困るんですけど・・・後方支援ならできると思うので。」
正直なところをのべると色々試したくてしょうがないけれど、このぶんだと暫く無理そうだし、ここにいても暇だから、なんだけど。
「大吉が良いというならいいが。。。」
腕を組んだまま目をつぶって考える大吉さん。
このお店って、不定期に閉まる店なのね。
「わかった。。。いくつか新調しなきゃならないレプリカが出てくるが──藍華なら大丈夫だろう。
その話、引き受けた。報酬は2掛けでいいよな?」
笑顔で言う大吉さん。
「いつも世話になってるし、問題ない。よろしく頼む。」
意外とすんなり受け入れられて、拍子抜けするわたし。
「あ、ありがとうございます!!」
「日程と期間は?」
すかさず問う大吉さん。
期間によってはもうちょっと服が欲しいな。。。
「電車を使わないで行くルートで『きょうと』の方まで行くやつだから、往復で最低でも2週間みとけば大丈夫だろう。来週半ばに出立予定だ。」
ちょっと待って電車って言った?
電車があるんだ?!
「長期だな。わかった。『きょうと』の滞在期間も後でいいから教えてくれ。そっちまで行くなら藍華の知り合いとも顔を合わせてやりたいし。」
「了解した。分かり次第連絡しよう。」
トントンと話は進み、あっという間に護衛に参加することとなり、陥没事故の際のボランティア収入で必要物資を揃えるべく、翌日は午後半休することになった。




