049.特殊部隊隊員のような少女・・・?
「嬢ちゃんはどこの出なんだい?」
蓮堂さんの質問に、ちょっとまずった?と思ってしまった。
もし、ソレ(発見したアーティファクトは提出の義務があるが、生活、仕事等に必須な物である場合拒否権を行使することができる、という法律)が一般常識なら。。。
「ナンパはやめてくれるか?」
大吉さんの言葉にキョトンとしてしまう私。
「ナンパ・・・?」
訝しげな顔して蓮堂さんを見る。
「ち。。。!違う違う!!」
カッチャン!!
とちょっと荒めにコーヒーカップを置き睨んでくる大吉さんに慌てて取り繕う蓮堂さん。
「警官のお前だから正直に話しておくが……。藍華はアーティファクトの研究都市『きょうと』の方の山で倒れてるところを発見されてな。保護されてたんだ」
「そうか。。。そりゃ大変だったな。。。」
私の方を見て申し訳なさそうに言う。
「いえ。。。保護された時にお世話になった方々がとても良い方々で。自分の名前くらいしか覚えてないわたしですけど、不安はとくにありません……知らない事が多くて時々不便ですけど」
「いろんな都市を見てみたいってことでここまで来たんだ。」
私は座り直して少しずつ作業を進めた。
「初日なんか大変だったぞ?
マンホールに落っこちまって。ゴロツキに引っ張ってかれちまうし。」
うまい。。。つなげた。。。
私がこの世界に来た時点と話を繋げた。。。
「ぃや。。まぁ不注意だったのは認めますけど。。。
初めて見る街並みに見惚れちゃうのはしょうがないじゃないですか?ね?
蓮堂さん??」
「ん、あぁそうだよな・・・!」
いきなり話を振られた蓮堂さんは、どもりながら同意してくれた。
ゴホンっと咳払いをし、
ズズーっとコーヒーをすすり、皿に戻すと、
「見習いだとしても、アーティファクトの専門家。
何かわかったことがあったら協力してくれたら助かる。」
そう言って不器用にわたしに向けてウィンクをする。
「まぁ狙われる原因がおまえにあるとしても逃してしまった責任は警察だ。
警護等、こちらも協力は惜しまない。
思いつくことがあったらいつでも言ってくれ」
「あぁ。。。」
「あと昨日明け方の陥没事故、救助作業の手伝いありがとうな。おかげで全員救出できた。
あれだけの事故で死人が出てない、『奇跡』だとちょっとした騒ぎになってるぞ」
よかった。全員無事だったんだ。。
「なんでも瓦礫を一度に大量に宙に浮かべれるアーティファクトを持った、特殊部隊隊員のような『少女』がいたって」
へーそんな子があそこにいたんだ───ってぇぇえ?!!
「少女。。。。。」
思わず呟いたわたしをじーっと見る大吉さんと蓮堂さん。
「服装次第では確かにそう見えるかもな。」
それは褒め言葉なのかなんなのか。
大吉さんの言葉に脳内での悶々がはじまる。
「そんなことができる人物もアーティファクトも珍しいから警察からスカウトが来るかもしれんぞ?」
「それは困る。」
一気に悶々晴れた。
「なんでだ?」
すごいことじゃないか、良いことじゃないか?と言わんばかりに問う。
「アーティファクト職人の修行とは銘打ってここにいるが、どっちかというと、教えてもらってるのは俺の方だからだ。」
こちらからは蓮堂さんの表情は見れないが、
少し静止したあと、
「今のお前さんに必要な人物ってことか。」
大吉さんの表情が見れない。。。!
「。。。あぁ、そうだ。」
ち。。。沈黙がむずがゆい。。。!!




