047.気泡の全てが『神の息吹』ではない
「あぁ、気泡の全てが“神の息吹”ではないんだ。」
「え、そうなんですか?!」
「あぁ。発見される、気泡が入ってるアーティファクトの物の半分は『粗悪品』と分類されてしまう。
そういったものはすぐに処分されたり、資料として残されたりするらしいが。
俺はなんとなく手元に置いている。そして修復して店に出してる。」
力の強弱も物によって違い、こればっかりは目利きも難しく使用してみないとわからないとのことで、発掘直後も試してみるまでは喜ぶことができないとかなんとか。。
「・・・難しいんですね・・・」
大吉さんが回収してきた食器類も一緒に洗ってしまう。
そして大吉さんはわたしの修復し終わった物品を販売スペースに並べていった。
メガネどめチェーンの切れたものを修復した、数本のブレスレット、ネックレス。
そしてトップを2点ほど。
それらをみてポツリと呟く
「さすが、いい腕してるな。。。」
「・・・ありがとうございます。」
クゥさんほどではないけれど、メガネ留めはなかなか上手に出来たと思う。
トップは欠けた部分を補修し、ちょっと飾りをつけたりなどして仕上げてみた。
「トップはそんな感じの仕上げで大丈夫ですか?」
「すごくいいと思うぞ?
全部こちらの材料でやったんだよな・・・??」
くっつけた、小さい赤いバラをつけたトップをじぃーっと見ながら言う。
「そうですよ?
ちなみに千切れたワイヤーと廃材から赤色の金属を材料にして作ってみました。わたしの持ってきた資材を元にして作ったレプリカです。」
「・・・!!
レプリカ作るのに使ったアーティファクトは俺の貸したアレか?」
「そうですよー!」
皿を水ですすぎ終わり、手を拭きながら大吉さんの方へ行く。
「レプリカ製作用アーティファクトも作ってみようとは思ってますけど、もうちょっといろんなアーティファクトやレプリカを見てから、と思ってるんで。」
「クゥさんのアーティファクトからレプリカを作った腕といい、やっぱり俺よりずっと上手い。」
「レプリカの元の違いも大きいんじゃないですか?」
クゥさんの三ヶ条、アレはそういう意味もあってのことだと思ってた。
「いや、他の俺が修復したもの見てみろ。。
コレとか。」
そう言って見せてくれたのは、
アーティファクトの1つ。
向こうの世界では一般的なハロウィン仕様なコウモリとジャックオーランタンのシートが封入されたペンダントトップのようなもの。
「コレは1番最近発掘行った所で見つけたやつなんだが、気泡も少なくアーティファクトとしては良品なんだが。」
そう言って掌に乗せると、わりと強い光を放つ。
「光量の調節もできるから、ライトがわりにはなる。
人感センサーのようにもできるから、防犯にはもってこいなんだが。。表面とこの後ろの部分に何かが付いていた跡があるんだ。わかるか?」
そう言ってそれを手渡される。
「確かに。。。レプリカの材料で表面を覆ったんですね?」
白い細かな粒子の流れ固まった様子がうすーく見て取れる。あと、表面が少々凸凹。
「俺がレプリカを作るとどうにも表面がな。。。」
「研磨はしてますか?」
少し多めに盛って、削れば表面だけでもツルツルにはなる。
「色々試したが。。研磨すると傷がどうしても残っちまって。。レプリカ製法で仕上げた方がましだったんだ。。。。。」
なんとなく想像はついた。
研磨作業は、力加減と時間をかけてするもの。
「一応材料がこちらでも揃えれるのであれば、研磨を一緒に練習することはできますけど。。」
「そうだな。。また時間のある時にでも頼むかな。」
「表面を舐めして仕上げはレプリカガラスっていうのもいいかもですよ?わたしがよくレジンでやる方法なんですが。」
「それの方が俺には合いそうだな。。!今晩にでも教えてくれ!」
「・・・わかりました。。。!」




