042.廃れてしまった厨二文化?!
そう言って碧空のアーティファクトを私に渡す。
大吉さんは少し後ろに下がって
『顕現せよ』
同時に放たれた言葉。
カウンター上に2つの魔法陣。2人とも長い棒を持つ棒人間を選択すると、魔法陣中央から光が出てくる。
面白いのは、ここまでほぼ同時に移行してきていること。
光は先ほどと同じように、懐刀となっていく。
最後に少し違いが出た。
わたしの方は先ほどと同じような唐草模様。
大吉さんの方は龍の絵が入っている。
「おぉお。。」
「龍だ!カッコイィー!」
2人とも手にとって見てみる。
作りもさっきと同じ感じだな。
「ところで、藍華の“顕現せよ”ってのを真似してみたんだが、良いな。なんというか・・・力を使う時、出すときのスイッチみたいな感じがして、すんなりとアーティファクトの力が使える。これからも真似させてくれ」
・・・これまで厨二な人っていなかったのかな・・・?
っていうか試した人はいなかったのか?!
「もちろんどうぞ!なんとなくアーティファクトの力を使う時に、こうトリガーになるものがあったらカッコイィなと思って。あと、精神力がアーティファクトを動かすエネルギーって言ってたし、イメージがしやすいように声にしてたんですけど。そんな効果があるとは。。。」
「声に出すことでイメージが固まって、力に方向性が出るってことなんだろうか。。。?
まぁ隠密行動にはむかなさそうだが。
いろんな研究はされてるはずだがそう言った情報は聞いたことがないな。。
じゃぁ、とにかくまず光を抑えてみよう。」
「はい。」
先ほどと同じように“光よ収まれ”と念じる。
先ほどよりはゆっくりだが、光の消えていったわたしの持つ懐刀。
一方大吉さんの方は、少し弱くなった程度。
「うーむ、藍華が特別仕様みたいだな。」
「と。。。とくべつて。。。
多分訓練次第でできるんだと思いますよ?
だってほら、大吉さんの方も光弱くなってるじゃないですか。」
じぃーっと自分の持つ懐刀を見つめる大吉さん。
「。。。。。。ダメだ。。。!できんっ!!」
精神力コントロールの問題だろうか??
「ふと思ったんですけど、大吉さんって実は遺跡探索の方が本業じゃないですか?」
「!!なんでわかった?!!
努めてフツーの喫茶店のオーナーのフリしてるのに。。。!」
やっぱり
「なんとなく。。。?色々荒事で頼られてるし、以前盗掘中の輩と出くわしてーとか話してくれたじゃないですか。でもってさっきの奇襲の時の動き。
明らかに素人じゃないですヨ。。。」
「そっか。。。。。
年も年だからな。。。そろそろやめようと思ってるんだよ。。。
アーティファクトのことはそれこそクゥさんがきたあたりからちゃんと勉強始めた。
それまでは───クゥさんがくる少し前に死んじまったんだが、相方がアーティファクト専門でな。俺が発掘し、あいつが修復して売りに出す、っていうふうにやってたんだ。。。」
相方さん。。。
懐かしそうに、嬉しそうに話す大吉さんをみると、胸が高鳴る。。。
好きだったのかな、その相方さんのこと。
「もしかしてわたしの今使ってる部屋、その人の。。。?」
「いや、真ん中の物置部屋があいつの部屋だったよ。」
胸がズキズキしてしまう。。。
人とは色々なものを越えて生きていくのだな。
わたしもきっと越えていくのだろう。。。
「そうですか。。」
気持ちを切り替え、切り出す。
「で、なんでそんなこと聞いたかというと、大吉さんの脳味噌は、体育会系?体を動かす方に特化してるんじゃないかな、と思ったからです。」
「まぁ、たしかに。」
「戦闘経験も豊富ですよね?」
「それなりに。」
「では、その懐刀、自分の手だと思ってください。
自分の体の一部だと思ってください。」
「おぅ。」
懐刀を持ち、じっと見つめる。
「そしたら気配を消してみてください。」
そこに彼はいるのに、存在が希薄になる。
すごい。。。!!
一瞬で、一般人のわたしにもわかるくらい気配が薄くなってる。っていうかそこに居るって知らなかったらきっと気づかないくらい。。?
大吉さんが気配を消すのと同時に懐刀の光が消えて行く。
「。。。なるほど。。。!
なんとなくわかったぞ!!」




