040.迷いは・・・
「まぁ、悩めるだけ悩んで自分の好きな立ち位置を決めればいい。
決断を邪魔するものはここにはないのだろう?」
確かに逐一、あの作品に似てる、それはダメじゃないか、と言ってくる輩はここにはいない。
色々な雑音が───ここにはない。
───それでもやっぱり真似るだけは違う気がする。。。
悩みながら進んでいくのも悪くはないとは思う。
ここならきっと。。。
「考えてみます。」
「ところで、ちょっと使ってみないか?その藍華のお宝使って作ったやつ。」
そう言ってレジンを使ったレプリカを指す。
「いいんですか?もしルーレットで変なのでたら。。。」
「それだけ精巧にできてれば大丈夫だ。多少力の差はあると思うが、いきなり爆発はしない。」
爆発したことがあるのか。。。
店の準備を進めながら言う大吉さん。
「そこまで言うなら。。。」
掌に乗せてもう一度眺めてみる。
ほんとによく似せてできたと思う。
レプリカ技術の凄いところは、やろうと思えばほんとに全くそっくりに作れてしまうことだと思う。
「顕現せよ。。。」
ヴォォンと大吉さんとの間に現れる魔法陣。
その中央に矢印はなかった。
「やった。。。。!!」
心の中でガッツポーズ。
「選択できるか?」
手をかざすと、棒人間の色が変化する。
「いけそうですね。
何にしてみます?」
「そうだな、とりあえずフライパン以外の武器が出せるか見てみたいな。」
ぷくくく、とからかうように言う。
「あ、あれはちょっと。。
殺しはしたくないって思って迷いが出たからだと思いますー!!」
殺しはしたくない。
自分の身を守るために、何かを守るために、必要な時がくるのかもしれないけど。。。
「あぁ・・・それな。
自分と自分の大事なものの命が関わるときは躊躇うな。
心を光で包め。
後から出てくるだろう感情とかそんなものはその時は考えるな。」
「。。。わたしには難しそうですが・・・善処します。」
まだ、死にたくはない。
でもその時になってもし躊躇うのならば───
それはそれで、そう言う運命だったのだと思う。。。
「じゃぁとりあえず懐刀を出してみます。
美しい装飾付きの。」
長いものを持つ棒人間を選択すると、オリジナルの時と同様に中央から光が伸びてきて、アーティファクトを握る手の中から質量と形が変化していく感覚を味わう。
長いものを持つ棒人間を選択すると、オリジナルの時と同様に中央から光が伸びてきて、目の前のカウンター上にて形が作られていく。
それを手に取り魔法陣が消えると同時に長さ15cm程度の懐刀が手中で完成する。
どういう原理なのか、反対の手に持っていたアーティファクトは懐刀を手に取り魔法陣が消えるとどうじに手中から消えた。
この現象もオリジナルと同じ。
少し光を帯びた、黒い地に金で唐草模様の入った鞘の懐刀。
鞘をまじまじと見つめる。
黒いのは漆な感じだろうか?
「おぉ!!
リアル感が凄くないか?!」
「そうですね。。。
アーティファクトに特徴のある光も凄く少ない。。。」
「・・・ちょっと試してみてくれ、その光を無くできるか」
何やら深刻?な表情で言う大吉さん。




