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ハンドメイダー異世界紀行⁈  作者: 河原 由虎
第一部 二章 そして事故?はおこった。
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039.芸術品と日用品






手にとって、ライトにかざしたりして確認している。



「どういうことだ。。?

オリジナルと同等の透明度じゃないか。。。」


「私の持ってきたレジンを使いました。」


ニヤリという。


貴重な資材ではあるけれど、何かの役に立つかもしれないし、何よりも自分がやってみたいからやってみた。


「あと同タイプのスワロ。ガーネットのビーズもワイヤーもあちらから持ってきた物です。棒人間とかのスタンプ部分は似た雰囲気の粉があったんでそれを使ってみました。

能力はまだわからないですけど。。」


ルーレット式だったらどうしよう。


アーティファクトとレプリカの違いは白濁にある。

では白濁がなかったら。。。?


と思って、やってみたけれどここまでのものが作れるとは思わなかった。


「貴重な資材を使っちまって。。。」


「いい実験になりましたよ。材料さえあれば、あちらの材料もこちらで使えるっていう。」


それもこちらの方法で。


同じようなモールドは持ってなく、形を整えるためのヤスリサンドペーパーもない。

それらが揃ったらあちらの方法で1から作ることも試してみたいけれど。


ただ。。こう完全なるコピー、真似をしたのは初めてで。ハンドメイダーとしてはちょっと。。。。。

こう。。。心が。。。。。まぁ作り方がアレだから、自分で“作った”という実感があまりないのが幸いだけど。


「・・・そうか。。。でもこれから先は自分のために使ってくれ。今ある藍華の資材はそれしかないとても貴重な物だから。」


僅かな迷いを察したのか、大吉さんがそう言ってくれるが


「いえ、それとは違うところで心が痛んでいるだけなので。。。確かに今ある資材無くなったらどうしようとかは鬱になれる話題ですけど、ハンドメイダーたる物真似をするという行為自体がタブー。

それなのに今回のは完全にコピー。。。。。


まぁ今回は興味本位と、必要だと感じたのでやったんですが。」



基本の技法は同じでも、そこから創意工夫によって自分の作品、と胸を張って言うことができる。


わたしも胸を張りたくて色々と考えながら作っていた。そしてこれからもできたらそう作っていきたい。


そして後にも先にも、オマージュを作ったのはあの棒人間のネックレスだけ。



「そうか。。。

アーティファクトのレプリカはどれだけ似せれるかにかかってる。あまりに似てないものは力もかなり弱くなる。材料が同じでも。

だからどれだけ似せれるかに能力も金額もかかってくる。」


「完全に似せるというのも難しい話ですよね。。」


「あぁ。。

なんとなくわかったぞ。

芸術品と日用品の違いじゃないか?」


突然の内容に何が??と思い問う。


「何がですか?」


「そちらとこちらのアーティファクト。。。ハンドメイドの作品?って言うんだったか?

その、物の立ち位置だよ。」


それが芸術品と日用品。。。?


「芸術品はとりあえず無くても困らない。心は豊かにならないかもしれないが、とりあえず無くても飯は食える。

一方日用品はなければ困るし飯も食えないかもしれない。

そちらのハンドメイドは芸術で、こちらのアーティファクトは日用。

藍華が悩むのはハンドメイダー、芸術を追求していく者だからで、生活に必要不可欠なものを作ったり修理したりする職人じゃないから、かな、と思って。」


「レプリカ作製する者は職人なんですか?」


少し驚いたが、よく考えてみればそうか。。。

生活に必要な、ともすれば人の命にも関わる物品。常に良い状態を保っていなければならない、という事だからなのだろう。。。


「そうだ。ちゃんと試験もあって、それなりのレベルの者でないと免許がおりない」


芸術家と職人。。。か。。。。。


「確かにそう考えるとわたしは芸術家の方でありたいのかもしれないですね。。。

レプリカ製作、確かに物凄く楽しいんですが、何か1つ足りない気がしてならないんです。。。

わたしには。」


足りない、と言うよりは物足りない。。。?




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― 新着の感想 ―
[一言] 芸術家と職人。 成る程、確かに両者は似てるようで、違いますよね。 そして芸術品と日用品、分かりやすい例えでした!
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