032.光の後に見た彼は
ボ───っと立ち尽くしている私の目には。
白く光る羽の生えた大吉さん。
ヨカッタ。服はそのままだ。
「なにがどうなって。。。。??」
しかも本人気付いてない!!
「大吉さん!背中!背中!
背中に羽が!!」
「え。。?」
ぐいっと首を回して後ろを見ようとする。
「どぉぉおぅうわあああああ!!!!?」
叫ぶと同時に羽が開く。
びっくりしたように。
「なんじゃこりゃああああああ!!!」
「動かしてみてくださいー!!羽ー!!!」
どの程度の時間羽が出てるのかわからないけど、あまり遠くや高くに飛ばなければ大丈夫だろう、と思って言ってみる。
「動かす。。。??!
どうやって?!!」
ちょ。。。テンパってる大吉さん。。。
オモシロ・・・じゃなくてw
「空飛ぶイメージでいいんじゃないですか・・・?」
空を飛ぶ、空を飛ぶ、とぶつぶつ言いながら目を瞑ってイメージしているのだろうか。
しばらく羽も動かないなー、と眺めていたら。
ふわぁっと羽が開いたかと思った途端に天空へと消える大吉さん。同時に物凄い風圧が来る!と思ったら来なくて、もしかしてあの羽はイメージが見えてるだけなんだろうか。。。
「ぅわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ」
空から降ってくる叫び声。
あーコレはイメージトレーニング必要なやつだ。きっと。。。
声が遠くなり、姿も確認できない。
これは。。。焦った方が良いのかしら。。。??
念のため、昨晩作ってみた1品を手に、消えていったはずの方向を注視する。
数秒後に黒い点が確認できる。
来た!!
しかし、降下速度は思ってたより緩やかで。
「ぉぉぉぉぉおおおおおおおぃぃぃぃぃぃ」
なかなかに使いこなしてバランスを取ろうとして両手を広げて大体同じ場所に降り立つ大吉さん、
羽が光を帯びてるせいもあって、なんだか神々しく。。。。。
「無事に戻って来れて良かったです。。。!!」
「し。。。。。死ぬかと思った。。。。。。!!!」
「まだ消えないですね、羽。。。」
そう。地に降り立ってもまだ羽は背中についたままで。光も保っている。
「どれくらい連続使用ができるのか、調べたいところだが、この開けた場所じゃ目立ちすぎる。一旦終わりにしよう。。。」
たった一瞬のことだったのだが、ものすごい疲労感を醸し出している。
「じゃぁ私が別のやつ試してみても良いですか?」
ウキウキ
「程々にな。。。。。」
そう言って渡してくれる。
というかよく落とさずに持っていれたな、あのスピードで上昇しておいて。とか考えながら受け取り、
「気をつけます♪」
そう伝えると、また大吉さんから距離を取り。
「さて、どれにしようかな。」
アーティファクトを眺めながら考える。
大吉さんが試したのが
『羽付き棒人間』で。羽生えて空が飛べるもの。
その他自分で想像できるのは
『両手に力こぶの棒人間』これはおそらく力が強くなる。
『走る棒人間』は走ったりする移動速度が早くなるもの。
謎なのは、
『手に何か長いものを持っている棒人間』
『手に丸い何かを持っている棒人間』
この2つ。
よし、まず───




