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ハンドメイダー異世界紀行⁈  作者: 河原 由虎
第二部 一章 寺院の修復とその裏で動く影
324/343

323. アーティファクトでアーティファクトが修復できない理由

「タロー君……?」

「どうした?」


 小さくつぶやいたわたしは、すぐさま走り出した。


「待て、藍華!」


 道の奥、T字路になっているそこまで行き、左右を見てみるけれど、もう別の通りの方へ出たのか、タロー君は見当たらず。


「藍華!」


 左手を掴まれ驚いて振り向くと、焦った顔の大吉さんが目に入った。少し走ったことも手伝ってか、わたしの顔は一瞬にして熱を持ってしまう。


「一人で行くな……!」

「ご……ごめんなさい、タロー君が見えた……気がして……」

「……タローが?」


 わたしはこくりと頷き、握られたままの手を気にしながらも、自分の正面に来た大吉さんを見上げた。


「こんな時間に……マヤは一緒だったか?」

「いえ、たぶん一人でした」


 ほんの一瞬だけど見えた後ろ姿、その両手には何も持ってはいなかった。マヤちゃんがもし一緒にいるなら必ず……手を繋いでいるだろう。


「なら……たぶん大丈夫だ。ここから教会に帰るなら、ちょうど夕飯の時間だろうから……」

「そう……ですか……」


 今ここであのコインの話ができたらちょうどいいなと、思わなくもなかったけれど、たった十数メートル走っただけなのに酷い倦怠感がある。


 大吉さんの、大丈夫だという言葉にほっとして力が少し抜けたわたしは、上がった息を整えるように目を閉じてゆっくりと呼吸をした。


 眠らされただけで、襲われたという意識はなかったので、精神的にも身体的にも不調が出るとは思わなかったけれど……多分身体は正直で……。今は、追いかけて探すのは体力的に厳しそう──


「生意気なやつだが、帰らなきゃいけないことはわかっているだろう。

 もしマヤが一緒なら、こんな時間にこんな所で、小さい子供連れて何やってんだ⁉︎ と鬼の形相して問い詰めなきゃいけないと思うがな」


 鬼の形相って。


「明日会いに行くんだし、今日はもう……な」


 大吉さんの、鬼の形相な顔が想像できなくて。見てみたいと思ってしまったわたしは、無意識に大吉さんの顔をじっと見つめていたらしい。

 ふいっと目線を離されてその事に気づき、わたしも慌てて喫茶店の方を見た。


「じゃ……帰りましょうか……」

「……あぁ……」


 そう言うと大吉さんの手は少しキュッと力が入った。

 ほんの十数メートルだったけれど、握られたままの手が嬉しかった事は、心のメモに記録しておこう。 


 喫茶店に戻り夕食を取った後、大吉さんは明日の用意や何やら色々するそうで、わたしはひと足先に休ませてもらった。

 やりたい作業もあったけれど、上がりっぱなしの心拍を抑えるためにも、休養することを優先して…………





 ──そして次の日の朝、仕込みをしている最中の大吉さんに、わたしはお願いをした。


「大吉さん。昨日お話しした通報アーティファクトの加工をしたいんですけど……午前中少しお時間いただいても良いですか? この琥珀糖の仕込みが終わったら」

「あぁ、いいぞ。ついでに舞子からの修復依頼の物も、やってくれると助かるんだが」

「もちろんです!」


 昨日、お預かりした修復以来のアーティファクト達を持って、わたしは自室へ。


 修復は、まず鑑定アーティファクトで物を鑑定する事から始める。力の方向性を確認し、それにそった修復をしていくために。


 中には黄変で作品の雰囲気が全く違っただろう物もあって。元の姿が見てみたいと思ってしまう。


「なんとか黄変する前の姿に戻せないかな……」


 アーティファクト以外の物は時を戻し、修復できるのに……


 わたしは以前、大吉さんが話してくれた、“アーティファクトでアーティファクトが修復できない理由の一説”の事を思い出しながら、作業を進めた。


 ※※※

「アーティファクトの修復は、アーティファクトで行えない」

「どうしてですか……?」


 これだけ不思議な力を発揮する数々のアーティファクト。不可能なことなど、もしかしたらないんじゃないかと思ったりもしていたのだけれど。大吉さんの言葉はそれを否定していた。


「別々の部品の状態であれば修復は可能だ。

 アーティファクトそのものが資材を繋いだ複合の物で、その繋ぐ過程で想いを力に変換する機能が付与される。

 そして想いの力がエネルギーとなってアーティファクトは発動する」


 ファンタジーだ。現実の。実際にこの目で見ていなければ、どんな素敵な“お話し”だろうと思った事だろう。

 でもコレがこの世界の現実で……


「結論からいうと、修復アーティファクトが修復できるのは外側だけ、ということになる。

 製作された時の、製作者の想いまでは修復できない、という事なんだろうな……」


 ※※※


「製作者の想いまでも修復、再現できたらいいのに……」


 時間ができたら、自分で研究してみよう。そう心に決めて。

 お預かりした作品達に込められた想いを、大切に感じ取りながら、わたしは修復を進めた。

今日(?)もギリギリセーフでスミマセン。(注:ハンガリー時間)


久しぶりの予定外外出で自宅に帰れずwww

スマホのデータ通信制限で外出中の更新ができませんでした(超言い訳でごめんなさい)


近づききれない二人をもっと楽しめるように書きたいのですが今の自分にはコレが精一杯でした。


それではとりあえず寝ます。おやすみなさい=͟͟͞͞ (¦3[▓▓]

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