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ハンドメイダー異世界紀行⁈  作者: 河原 由虎
第二部 一章 寺院の修復とその裏で動く影
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305.袋とアーティファクト技術の可能性の片鱗と柱

「さて、藍華。例の袋のレプリカ作業、どうなった?」


 喜光さん達を見送り、出発の最終確認をしながら大吉さんが言った。


「無事完成はしましたよ! 一応色々物突っ込んで試してみましたが、今の所使用に問題はなさそうです」

「それはすごい。助かるよ」

「ただ……やっぱりもっと色々試してからの方が良いと思うので、今回の使用は控えめにしておきたいと思うんですが……」


 石橋を叩いて叩いて割るまで叩くつもりはないけれど、ある程度実験してからの方が落ち着くと言うかなんと言うか。


「そうだな……じゃあ、とりあえずコレだけ入れてもらおうか」


 そう言って渡されたのは、寝袋一つ。


「今回は試しってことで。

 状態保存機能もついてるんだよな?」

「はい」

「よし。このあと道中の食料買ったりもするから、その三分の一は入れてみよう。容量とかはどんな感じかわかるか? レプリカ化でどれくらい能力に差が出るか──」

「それなんですが……スミマセン! 能力にあまり違いがでるとアレかなと思って、持ってきた資材使って、レプリカ作りました……なので、そこまで能力に差はないはずです」

「そうなのか!

 ……なんか逆にスマナイな……」

「いえ……」


 いまだに完全コピーのつもりで作ると、妙な脂汗が出てきたのだけれど。割り切ったつもりで、思い切って作業をした。


「そんなことより! すごかったです、アレ! 念の為足跡鑑定アーティファクトで鑑定してみたんですが!」


 収納袋を鑑定し、そのアーティファクトに詰まっている技術に気付いた時、叫び出すのを我慢していた分、興奮が抑えられなくなりちょっと饒舌になるわたし。


「外付けアーティファクトを先に作っていて良かったと心底思いました! 似た技術が使われていたんで」


 気づいて、そして震えた。


 外付けアーティファクトに使った技術は、やり方によってはもっと色々組み合わせる事が出来るだろうし、アーティファクトもレプリカも使用方法の幅が、どこまで広がるかわからない程にすごい技術なのだと。一度腰を据えてじっくり研究してみたいと思った。


「そうか。また道中にでも話、聞かせてくれるか?」


 苦笑しながら言う大吉さんに、わたしは笑顔で答える。


「はい!」


 それから、予定通り七時に店を出発したわたし達は。朝市でお昼ご飯とその後の食料も調達し、一路郊外へ。


 大吉さんは四角い大きなバックパックにウェストポーチ、わたしは小さめのバックパックにウェストポーチ。

 収納袋はウェストポーチの中に入っている。


 途中購入の食料は、予定通り三分の一を収納袋に入れ、残りをを二人で分けて持つことになった。


 郊外へ出る所には、人や動物の出入りを記録するアーティファクトがあるらしく。わたしは初めて自分の目でそれを見た。


「コレがそのゲートの柱ですか!」


 丈夫そうな鉄の柱が住居がある地域を囲むようにずうっと一定間隔に立っているそうで、ただその間隔というのがキロ単位で、森に囲まれた土地では目視することはできず、キョウトへの道中でも見ることがなかったので今初めてその柱を目にしていた。


 材質は鉄、高さは二メートルくらい。そして浮き彫りのような模様が柱いっぱいに入っている。


「鉄だけど、完全にアーティファクトですね。古いけど丈夫そうな……これのエネルギー源は一体……」

「警察とは別の政府機関があってな。そこが管轄しているが、コレのエネルギー源はそこに務める者たちだ」


 俺も一度現場見学に行きたいと思ってるんだがな、と楽しそうに言う大吉さん。


「だが一般非公開の現場で、いつ行っても門前払いだ」


 そう言って肩をすくめた。


「危険な動物が侵入した時のみ、そこから警察やそういった機関に連絡が行き討伐隊が組まれたりする。通行した人間のある程度の記録がわかるはずだが、一般人が何を言っても、その記録を見せてもらえることはない……」


 声が少し静かになっていく。


「クゥさんがいなくなった時ですか……?」


 クゥさんがいなくなった時、きっと走り回り、その機関にも連絡を取ったのだろう……


「……そう、もちろん問い合わせたさ。何十回も。

 俺があまりにしつこいんで、何度も対応してくれた署員の一人が“そういう人物が通過した記録はない”とだけ教えてくれたんだ」


 大吉さんが少し嬉しそうにそう言う。ということは、その人物を信頼しているのだろうなとわたしは感じた。


「最近行ってないからな。そのうちまた顔出すか」

「よかったらわたしも連れてってください。興味あります。こんな広範囲に力を及ぶアーティファクトの機関とやらに!」


 柱を撫でながら大吉さんに笑顔を向けて、わたしは言った。

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