029.力の謎
「ストップストップぅぅぅぅぅぅぅうう!!!!!」
大慌てで立ち上がって逃げ腰になりながら止めに入る大吉さん。
「ははははあああああぃいいいい!!!」
あまりの光の強さに、驚きすぎて呆然としてしまっていた私は座ったまま急いで念じる。
「治おさまれ力よっ!!」
いやもう声に出ていた。
言葉に反応するように光はすぐに治り、何もなかったかのように手の上にあるアーティファクト。
そっとカウンターに置いて、肩で息をしながら声を絞り出す。
「・・・ぃや〜びっくりしたぁ・・・
めちゃくちゃ強い力秘めてませんか?!
コレ!!!」
冷や汗が吹き出した!
爆発とかは流石にしないんだろうけど・・・!!
「こんな強い光、俺も初めてだぞ!!?」
「あのまま力使ってたらどうなってたんですか?!!!」
「わからん!!」
そう言って隣に座り直して腕を組んで考えだす。
しかしなんで・・・?!
「発動条件は他にあるみたいだな・・・
そちらの世界からやってきた者に反応するのか?」
「それだと大吉さんで反応するのおかしいですよ。」
「だよなぁ・・・・・・」
2人の共通点から考えると───
「もしかして!!
これか!!!?」
そう言ってネックレス につけてる踊る棒人間の指輪を出す。
「!!!」
わたしは指輪をはめたまま。
すぐにその力を使うことができる状態。
「俺は指輪をはめてなかったから反応こそすれど、力としては顕現しなかったてことか・・・・・・?」
うーむと指輪を見ながらそう言う。
「その可能性大ですね・・・
他にもこういったアーティファクトってあるんですか?」
ちょいちょい、とそれを触りながら聞いてみる。
「こういった・・・?」
「何かと一緒の時にだけ使用できる、とか。
何かと一緒に使ったら違う効果の力を発揮する、とか。」
「それはとても無理な話だな。
今朝も言ったが、アーティファクトは通常
同時使用により壊れてしまう。
修復はできても力は弱くなる、というのが通説。そしてタブーとされてるはずだ。」
「試されてもこなかったということですね・・・」
それはそうか、貴重なアーティファクトを破壊するような実験はされてこなかったはず。
「でもそうするとこれが初の事例で実物ということになりますよね・・・」
「もしそれが事実で研究機関の手に渡ったら大発見だな・・・・・・。」
哀愁を帯びた表情をする大吉さん。
ぅん、なんとなくわかってた・・・・・・
大吉さんはクゥさんのことを尊敬とかしながら好きっていう感情も少なからずあるのだろう・・・と思う・・・・・・
「それのデザイン画があるって言ってたですよね?
見せてもらってもいいですか?」
クゥさんのSNS上での人柄、と大吉さんから聞く話に大差はなさそうで。そしたら、一度良く知り合った人には情も厚く、気にかけているに違いない。
大吉さんだけに使用できるようなアーティファクトを作っていてもおかしくはないと思った。
「あと、置き手紙もできたら・・・・・・」




