028.クゥの残したアーティファクト
普段使うものとは反対の、左の方につけているベルトチェーンの先に付けているソレを見せてくれる。
レジンでできたソレは黄変はほとんど見られず、
碧空さんらしい作品だった。
形はコイン型、大きさは掌の半分くらい。カンや紐が通せるような穴が2重カンで補強されていた。
さらにぐるりと1週するように細いワイヤーで眼鏡どめされたビーズ、おそらくガーネットとクリスタルが埋まっている。
中央には6ミリサイズのスワロがあり、回りはクゥさんの作品の特徴である手描きの魔法陣。
そしてソレを覆うように配置された棒人間。
シンプルに、レジンからはみ出さないように作られているのは、時代をこえ、世界をこえるかもしれない作品たちのためを思ってだろうか。
事実、ここには何か別のものがついていたんだろう、というアーティファクトが沢山ある。
取れたままになってしまっているものも多い。
そういえば碧空の初期の作品はちょっともろそうだけど、あの時代のアクセサリーとしては十分な強度の作品も多くあった気がする・・・・・・
でもある時期を境にそういった作品は作らなくなっていた。
ここに来て戻った時から、作風が変化したのだろうか。
「コレはどういう力があるんですか?」
「それが、謎なんだ。
魔法陣、棒人間、それに天然石まで入っていて、何の力もないはずがないんだが」
そういう条件ってあるんだ・・・
「俺以外の人間が何をしても力の片鱗も示さない。
俺が力を試そうと思っても、淡く光るだけで、何の力があるのかわからないんだ。」
そう言って掌の上で淡く光るアーティファクトを見せてくれる。
「まぁ、おかげで1回研究機関に回されたけど、色々調査されて俺の手元に戻ってきたんだ。」
能力が普通だったり、弱かったりするとそのまま手元に来るんだったっけ。
「何の力も無いってことはなさそうなんですけど・・・
これだけ立派な作品。
何か発動条件とかがあるんじゃないですかね??」
うーーんと考え込む大吉さん。
「まず使用者が大吉さんに特定されてる可能性アリですよね。ちょっと私がもってみても・・・?」
持つだけなら大丈夫だろうと、カンを外して私の手にのせてくれる。
「多分大丈夫と思うが、もし光が強くなったら力を抑えてくれ。」
「了解」
君は何ができる?何が得意なの・・・?
目を閉じて深呼吸1つ、語りかけるように心の中で問う。
君の力を示して───
その瞬間強い光が溢れ出る───!!




