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ハンドメイダー異世界紀行⁈  作者: 河原 由虎
第一部 四章 キョウトにて
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271.しばしの別れ

 宴会は、何時まで続いたのかわからない。


 龍石と水晶龍は、床板の上に敷いた座布団の上に元の姿で休み、双葉ーちゃんと花子さんだけ、ちゃんと布団で寝てもらい。残りのメンバーは借りておいた毛布や布団を使って雑魚寝した。


 翌朝早く、わたしは龍石と水晶龍に起こされ。


「起こしてすまないな、泉の状態を暫くこまめに調整せねばならないから……」


 みんなを踏まないように気をつけながら縁側へと移動し、ふわぁ〜っとあくびをすると、庭に立つ龍石が言った。


「うぅん、わたしの睡眠なんかより泉の水の方が大事だし、立つ前にもう一度お礼を言いたかったから。

 龍石……助けてくれてありがとう……」


 朝日に輝く黒い髪、そして漆黒の瞳は力強く優しい光を灯していて、確かな力をその姿全体から感じる。


「なに……我こそ礼をせねばならぬだろう。この姿がとれるのも、本当に何年振りか……」


 龍石はそう言いながら、指につけているトウマの指輪を眺めていた。どこか……愛おしそうに──


「力も記憶も、不自然なものは感じない。下手すると力は以前より上やもしれぬな……。お主は文字通り、我を生まれ変わらせてくれたのだ。

 礼を言う」


 改めてわたしを真っ直ぐと見つめ、頭を下げた。


「わたしだけの力じゃないわ。俊快さんや大吉さん、皆んなの力を借りれたからよ」


 そういえば、俊快さんには連絡がいっただろうか、龍石が無事に力を取り戻した、と。


 わたしがそう言うと、龍石は顔を上げて柔らかい笑顔で言った。


「昨晩も伝えたが、何かあったなら我を呼べ。駆けつけて、必ずや力になると誓おう」


「ありがとう──」


 龍石を見送り室内に戻ろうとして襖を開くと、双葉ーちゃんと花子さんが目を覚ましたようだった。


「おはようございます…………」


 まだ眠そうに目をこすりながら起き上がった花子さんが言うと、その横で双葉ーちゃんがシャッキリと立ち上がって言った。


「朝参りの時間までに戻らねば。花子、帰るぞ」


 そうして二人は神社へと帰ることに。わたしはお見送りに、小さなお社の所までついていった。


「元気でな、藍華」

「はい。双葉ーちゃんも」


 双葉ーちゃんから差し出された手を取ると、何故か神社の本殿、その荘厳な雰囲気を感じ取る。


 一瞬で神社にお参りしたみたいな感覚を受けて、拝み倒したくなるのを我慢しながら手を離す。すると、花子さんからも手を差し出された。


「では……またお会いしましょう。藍華さん」


 その手を取り感じたのは、静かで清浄な森のような気配。


「ひとまず……大吉さんのこと、よろしくお願いします」

「……はい」


 朝日を受けて輝く彼女の笑顔に、わたしも自然と笑顔で返す。


「私も立ち止まってはいたくないので。未来に進めるよう努力します」


 手を離して、改めて二人に向き直ると、双葉ーちゃんが言った。


「花子のことは心配するな、花子には花子だけの相手がおる。そこはワシが保証する」


 すると、花子さんは複雑そうな雰囲気を醸し出しながらそっぽを向く。


「こればっかりは双葉様に保証されても……今の私にはなんとも言えません……!」


 二人には何かわかっていたり、視えているモノがあるのだろうか……? それが何なのか、わたしには分からないけれど、幸せに繋がる何かだといいな……そう思いながらわたしは二人を眺めた。


「次、お会いする時はもっと色々聞かせてくださいね……もちろん大吉さんとのことも!」


 花子さんにそう言われて、一気に蒸気が出そうな程に顔が暑くなる。


「ぜ……善処します…………」


 そして──茹で蛸のように顔を赤くするわたしを残し、二人は帰っていった。



 ◇◆


 予定通り商隊は出発し、クサツへ。そしてトウキョウへと歩を進めた。


 道中、同じテントで寝なければならないのは、ドキドキしすぎでなかなか眠れず、寝不足になってしまったりして大変だった。けれど一行は無事、トウキョウへと到着し、無事に依頼完了となった。


「アグネスとフェイ、とりあえず喫茶店(うち)で一杯飲んでけよ。奢ってやるから」


 達磨頭取から報酬を受け取り、解散となった時、大吉さんが二人に言った。


「太っ腹じゃないか、大吉」

「そうだな、久しぶりにお邪魔させてもらうか」


 アグネスとフェイが喫茶店にくる。

 よーし。じゃぁわたしは、達磨頭取からわけてもらった砂糖でアレを作ってみよう!


「じゃあ、わたしはお茶菓子でも作ってみますね!」


 知ってる道へとやってきて、わたしが駆け出すと、


「待て、藍華! 先に行かないでくれ!」


 そう言って大吉さんが追いかけてきた。


「みんなー! 早く早く!」


 新しい物を作る喜びを隠せずわたしは一人飛び出してみんなを急かし喫茶店へと向かった。



【第一部 完】

ここまでお付き合いいただきました方に感謝の言葉を!



ありがとうございましたぁああああああああ!(*´Д`*)!



プロットのプの字も知らずに大体こんな感じ〜

と、スタートしましたこの物語。

こんな感じ〜、の大体半分くらいまで来ましたw


くっつくはずのなかった二人がくっついたりしまして。予定とは違うぞ、どうする自分!? て感じなのですがw

それさえも楽しんで続きを書きたいと思ってます(*´∀`*)


一年くらい温めてからスタートしたものの、今を思えば色々なものが不十分すぎて。(とりま急いで最低限の改稿させていただきます! 。」とか・・・とかw)


書いていくうちに文体も変わったようで(汗

駆け足で少しは一定になるように改稿を進めたいと思ってます。


仕事や諸々の都合で、第二部は、6月ごろにはスタートする予定です。

よろしければまた、読みに来ていただけたら嬉しいです(^^)PV見ながら小躍りします!


それでは、また会う日まで!(*´ω`*)皆様お元気で!

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