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ハンドメイダー異世界紀行⁈  作者: 河原 由虎
第一部 四章 キョウトにて
251/343

250.この場所が選ばれた理由

「……気がつきましたか」


 わたしがキョロキョロしていることに気づいて舞台を見下ろしていたユキノブがこちらを見た。


「リフォームという手間のかかるものを施したわけではないのですよ。アーティファクトの力です」


 やっぱり……!


「モニターオン」


 ユキノブの声に反応して、モニターが舞台を映し出し


「アーティファクトの力の面白さがこのモニター一つでわかりますよね、あちらから来た者ならば……」


 見るとモニター枠の下部分に、小さいけれどクオリティの高いアーティファクトが付けられていて、それが動力だとわかる。

 そしてどういう仕組みか六人を順にアップで写していった。


「あの舞台の板も同じようにしてその部分だけ時を戻してもらいました。どのみち儀式を行い神器を発動して時の扉が開かれると、その術を行った付近は影響を受け、時を逆行するようなのですがね……」


 そんな影響が出るのか……!


「この場所を選んだのは、適度にキョウトに近く、美しく、近辺に力の強い神社仏閣がなく……そして再生の日以降打ち捨てられて復興のしなかった場所だから、です。

 手が入っていない場所の方が美しかった頃、再生の日以前の状態へと戻りやすいようなのでね……」


 この儀式とやらが何回行われてきたのかはわからないけれど……確信を持ったように言うからにはそういう記録もどこかに残っているのだろう……


「そして更に……儀式が行われ時を逆行したその土地で作られるアーティファクトは高い能力を持ち、使用するアーティファクトが高い効果を発揮するようになります」


 聖地と呼ばれる所以はそこにあるのか……!

 でも何故…………


 理由も気にはなるけれど、それよりもわたしは使用された神器の行く末が気になった。


「その……儀式とやらを行って…………使用した神器はどうなるの?」


 失敗した時は使用不可な程になってしまったと……では成功した時は……?


 わたしは話を聞いてから疑問だったことを問うた。


「成功した後は力無きただの()となります。理由は不明とされてますが、時空を超えるほどの力を放出するのですから、力の枯渇だと私は考えてます」


 想像はしていた。

 わたしがこちらにきたのが偶然開いたその扉とやらに落っこちたからで、偶然ではなく無理矢理こじ開けようとするならば、それ相応のエネルギーなり対価なりが必要となってくるであろうことを……。


 あとはその無力と化した神器達がせめて大切に……第一研究室のようなところで保管されていることを願うばかりだけれど…………。


 そんなわたしの考えを見透かしているかのように、ユキノブは口だけでうっすらと笑い、言った。


「儀式を終えた神器は、大抵は大切に保管されていますよ……力無いとわかっていても、捨てられないのがこの世界の人たちのようなのでね……カトレイル教本拠地である聖地でも、求心力として利用させていただいてます」


 最後に、まぁそんなことは私にとってはどうでも良いことですが、と付け加えて舞台の方へと向き直った。


 わたしは少しだけユキノブに近寄り、同じようにガラス越しに舞台の方を見る。


「この儀式は、六芒星の中央に神器の力を集約するという装置が置かれ、六人それぞれが六芒星の角に配置されている円の中に立ち、装置に向かって力の解放をするというものになります」


 見ると、詩織と誠司が中央に何かの装置を設置している最中のようだ。モニターには彼等がアップで映し出されていた。


「あの装置自体にアーティファクトとしての力はありません、アレはただの器で中にはブリリアントカットのダイヤが力を集約する為に入っています。

 発見した記録では、硬度八以上の石なら大丈夫だったそうですが、やはりこの目で確認した事象より信用のおける情報もないので……。

 碧空があちらへ渡った時と同じカラットの物を用意しました」


 そうすると……神器と呼ばれる、一定のレベル以上のアーティファクト六つの力をエネルギーとして時空の扉は開く……と……?


 とにかく膨大なエネルギーが必要なのだということは確かなようだ。


「そういえば……レジン製の桜のハーバリウムは何処に……?」

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