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ハンドメイダー異世界紀行⁈  作者: 河原 由虎
第一部 四章 キョウトにて
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232.無効化の無効化と出てきたハニワ

「まさか────!」


 結界の種類が無効化に変わり、感知が出来るようになってはっきり見える……詩織と誠司、そしてユキノブの三人が持つ同種のアーティファクトの光が。


「無効化をキャンセルするようなアーティファクト……しかも電池式…………⁉」


 無効化した上でアーティファクトを使っているということは、恐らくそういう事だろう。


「こいつらそんな技術を独自に……⁉」


 一般にはない技術なの⁈


 大吉さんの言葉に彼らも独自の研究機関を持っているだろうことが窺える。


「五分程度しか保たないけれど、ね。丸腰の人間には五分でも多いくらいでしょ?」


 詩織はそう言うと、再び水の鞭を繰り出してきた。


 まずい────‼ どうすれば…………⁉


 ──そう焦る自分と、同居するように妙に冷静な自分がいて、わたしは気づいた。


 何故か、髪ゴムに擬態させている棒人間魔法陣のアーティファクトの力が継続していることに────


「起動! 守りの結界‼」


 なにも考えてはいなかった。ただ、その言葉はわたしの口から当然のように滑り出てきた。


 目の前に棒人間の魔法陣、それもこれまで不明だった丸い何かを持つ棒人間がオートで指定され、アルジズと雰囲気の似た結界ドームがわたしと籐騎くんを囲むように現われる。


「……⁉ 貴女、何故無効化の結界内でアーティファクトが……⁉」


 今度はあちらが驚く番だった。


 が──いかんせん、自分も使えるとは思っていなかったため、次の動作はさすがにもたついてしまう。


 次に何をしたら良いのかがわからない。迷っているその間にも、背後ではナイフで切り合う音が聞こえてきて、大吉さんがこちらに敵が来ないよう、頑張ってくれているのだと思うと、自分ももっと頑張らなければと頭をフル回転させた。


 棒人間の指輪を試してみるものの反応はなく、やはり、棒人間魔法陣だけが反応する。


 電池のギミックは多分ギリギリ入っている……だから棒人間の指輪が使えずともしばらくはその力を保てるのだろう……。

 そしておそらく無効化キャンセルのギミックも入ってるんだ……どうやってなのかわからないけれど!


 このチャンスを逃してはいけないと、わたしは再びそれを起動させた。


 あの丸い輪を持つ(?)棒人間がわたしの思う通りの効果なのだとしたら……出来るはず……!


 水に対抗するには土! 吸い込み吸収してしまえ、と思いながら叫ぶ。


「起動!」


 直後現れたのは、等身大な埴輪。

 何故だか埴輪。


 後ろからはその顔(?)が確認できないけれど、右手上げて左手下げてS字を作っているかのような独特なポーズしてる茶色い陶器のような物体は。埴輪に違いなかろう。


 えぇ⁉︎ 何で埴輪…………


 疑問に思ってる間にも、詩織の出した水の鞭が埴輪に襲い掛かった!


 が────


 ずぉおおおおお!!!!


 物凄い、何かを吸引するような音が響き、詩織の表情が青ざめていく。


「な……! 水の鞭が埴輪に吸われて⁉︎」


 どうやら埴輪がそれを吸った音だったらしい……。


 慌ててアーティファクトを解除して小瓶を確認する彼女。


 その間でまるでゲップのような音をさせる埴輪。


「なんなのそのアーティファクト⁈ 半分以上……三十万リットルくらい吸い込んでったわよ⁉︎」


 三十万リットルってどれくらい。

 学校のプールと同じくらい???


 青ざめる彼女と、どのくらいの量なのかいまいちピンと来てないわたしの間で埴輪が再び吸引音を発生させ始めた。


 すると、詩織が手に持っていた小瓶を、チェーンを引きちぎりながら埴輪は吸い込んだ。


 スポンっ


 小気味良い音をさせて。


「ひっ──」


 手を離していなければ自身も吸い込まれそうだったようで、随分とこちらに接近した位置にいる詩織の顔には恐怖の色が浮かんでいた。


「風よ! 埴輪を切り裂け‼︎」


 詩織が風の刃で埴輪を斜め切りにすると、その上半身はゆっくりと滑っていきズシンと地に落ちて、消える。


「風よ──!」

「──!──」


 間を開けずに詩織は風の刃の攻撃を繰り出そうとしてくる。


 急いで守りの結界に切り替えないと────!


 焦ったわたしは埴輪をアーティファクトに戻して結界を張ろうとするが、いつの間にそこへ来ていたのか、ユキノブが詩織の背後に立ちその両肩に手を置いた。


「詩織さん、彼女のアーティファクトは先が読めません。申し訳ないですが私が手を出させていただきますよ」


 今、追い詰められそうなのはわたしの方だというのに、ユキノブは動き出した。それだけこの棒人間魔法陣のアーティファクトの力を危険視しているのか……


「起動、守りの結界!」

「蔦よ伸びろ! 絡め取れ!」


 わたしとユキノブはほぼ同時にアーティファクトを起動した。


「それは……⁉︎」


 横の方から大吉さんの驚いたような声が聞こえると同時に、張った結界の内側に、地面から伸びくる薄緑に光る蔦。


 あっという間にわたしは蔦で拘束されてしまい、その反動で裂けたポーチから色々な物が溢れ落ちる。


 幸い藤騎くんは拘束されておらず、直感でコレに捕まったらマズイ、とわたしは叫んだ。


「藤騎くん! その袋だけでいいから拾ってわたしから、この蔦から離れて……!」


 ユキノブを見ると、その手には淡く光る何かのアーティファクトが握られている。


 その時大吉さんはオオトリに蹴りを、誠司の鳩尾にチェーンを絡めたナイフを叩き込み、叫んだ。


「藍華! なんとかその蔦から逃れるんだ! でないと──‼︎」


 逃れると言ってもどうやって──そう思い口にしようとした瞬間


 痺れるような感覚が一瞬で体全体に広がり、わたしの意識はそこで途切れた────


期限は10月15日(土)23:59まで!



オンタイムで後書までご覧いただいている皆様に宜しかったら選んでいただきたい。


この先、外伝として用意してある藍華が意識を失った直後の話を『次で』読みたいか否かを(*゜∀゜*)!



貴方が次の更新で読みたいのはどっち!?


①直後の話が読みたい

②いや、このまま藍華視点でいってほしい



さぁどうぞ!


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(だーれもいなかったらそっとこの後書きは消えますw)

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