179. 『外伝』昨晩の回想by大吉
「な……何か変なことしましたかワタシ…………?」
「……いや…………特にそんな…………」
少しはだけた胸元に。
どうしても目線を戻すことのできなかった大吉は、昨晩の事をとりあえず頭の中で振り返っていた。
昨晩の食事後────
「ところでー大吉さん!!」
「……は……はい…………?」
「なんでー増血の前にあんなことしたんですかー!?」
食事も終え、中居さんが1時間後にお布団弾きにきますね−と言って食器類を下げた時。
アグネスとフェイを前に、ベロンベロンに酔っ払った藍華は切り出した。
「……大吉……何したんだ……?」
「いや……! その…………」
フェイの質問に言葉を濁す大吉。
「まさか! なんかやましいことしたんじゃないだろうなー!?」
ベロンベロンに酔っ払ってるアグネスに言われ、
「やましくはない……! 俺の正直な気持ちを表しただけだ!!」
「おま……まさか…………! や」
驚愕の顔なアグネスの言葉を遮りながら否定する大吉。
「やってない!!!!」
「大吉さんて……わたしのこと…………どう思ってるんですかぁ…………」
自分の隣で机に突っ伏し、半目でそう言う藍華。
大吉は手を伸ばして前髪をサワサワといじってから頭を撫でた。
「俺は…………」
頭を撫でられ気持ちよさそうに目を瞑り、そのまま寝てしまいそうな雰囲気の藍華が、突然クワっと目を開き。
「アグネス! お風呂行こう〜!
ここプチ露天風呂ついてるのぉ! きっと気持ちいいよ〜!」
そう言ってアグネスを連れて早々と部屋を出て行ってしまった。
残された大吉とフェイは。
「大吉よ…………早いとこはっきり伝えた方がいいんじゃないか…………?」
「…………タイミングがな…………」
そして。藍華はアグネスと風呂から出てきて早々に布団に潜り込み寝てしまった。
アグネス曰く。
「なーんか嫌なことと嬉しいこととあったらしいぞ? 何したんだよ大吉ー」
大吉からすると突っ走ってしまったあの時の行動は。
独占欲……のような物が先に立って出た行動だったため、いまいち自信は持てず。
(俺のは…………どっちなんだ…………⁉︎)




