178.その手の位置は…………
「わっ……わたしが転んじゃっただけなんです!!」
ガバッと起き上がり立ち上がろうとするが、転んだ衝撃で体が驚いているのか、もたもたと状態を起こすと、
「じゃぁその手はなんなんだ?」
アグネスがニヤリと笑い指した先はわたしのおしり。
そこには大吉さんの手がしっかりと。
「んきゃぁあああああ」
思わず叫ぶと体が俊敏に動き立ち上がることができた。
全員で部屋に上がって、転んだだけだと事情を説明するもからかわれ、二人して顔を赤くすることとなる。
そうこうしているうちにも夕食が運び込まれ、プチ宴会が始まり、大吉さんの気持ちを確認する勇気は引っ込んでしまっていた。
「えー! 増血まで必要だったって、じゃぁ藍華酷い怪我だったんじゃないか! 何やってんだよ大吉」
「大吉さんはちゃんと助けてくれましたヨ!」
疲れが手伝ってか、軽い食前酒で自分が酔っていると感じながらもわたしは反論した。
「増血だって、大吉さんもしてくれたんですからー…………」
言って、思い出したくないことまで思い出してしまう。
「……も?」
「…………それはもー置いといて! 二人は今日何してたんですか?」
「私たちは今日はのんびり観光。明日はちょっと小さい依頼を受けたんで午前中だけ仕事、だな」
「大吉と藍華は大忙しじゃないか。帰りの出発前にはちゃんと休めよ?」
そっか、二人も何か依頼を受けたんだ。
食事が進み、終わる頃にはもうかなり酔いも回っていたようで、そこでわたしの記憶は途切れた。
目を覚ますと、朝焼けが美しく。
いつのまにお風呂に入ったのか、体はさっぱり浴衣も着て。わたしはふかふかのお布団の中で目を覚ました。
起き上がり見てみると、記憶にあった宴会でぐっちゃぐちゃの部屋は綺麗になっていて、隣の布団には大吉さんが。
アグネスとフェイはいつのまに自室に戻ったのか。
「記憶が…………」
「ん……藍華……起きたのか…………?」
「お、おはようございます……」
大吉さんも起き上がり、枕元に置いてあった時計アーティファクトで時間を確認する。
「ん……7時前か。ちょうどいいな」
「あの…………スミマセン……昨晩の記憶が……夕食の終わりあたりからないんですけど……」
「……そうなのか…………?」
大吉さんは口に手を当ててあらぬ方を見上げている。
少し顔が赤いような気もするが、何も言わないので待ちきれずわたしが口を開く。
「な……何か変なことしましたかワタシ…………?」」
「……いや…………特にそんなことは…………」
視線はこちらに向けぬまま、大吉さんは何かを思い出そうとしているのか、少し間を置いてから続けた。
「……飯食った後、アグネスと風呂に行って……戻ってきて速攻で布団に潜り込んでたぞ」
何も変なことは喋っていない……? でもじゃぁ何で大吉さんはそっぽ向いて赤く………
そこまで考えてハッと気づいた
自分の浴衣の胸元が少しはだけていることに。
「きっっっ着替えてきますー!」
ご無沙汰してますお待たせしました!
今晩、オマケ部分追加しますのでよろしかったらそちらもどうぞ(*´∀`*)




