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ハンドメイダー異世界紀行⁈  作者: 河原 由虎
第一部 四章 キョウトにて
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177.瞬く間に決まってゆく重要な事

「方面への連絡は任せてもらおう。ナラの方の仏師と双葉ーちゃんにもこちらから連絡をとっておく」


「材料とか道具も任せて大丈夫か?」


「もちろんだ。石膏も仏師の扱いやすいのをすぐに取り寄せよう。」


「お前たち、確か後二日くらいしか時間ないんだったな?」


「商隊の警護で来てるからな、それに支障をきたすのはダメだ」


「わかった。明日の昼までには資材を手配するからまたここまで来てくれるか?」


 ポンポンと進む話に、おいてけぼりなわたしはもう一度聞いた。


「あのー……スミマセン。

 わたしが龍石のレプリカを作るんですか…………?」


「「そうだ」」


 間髪入れずにステレオ状態で帰ってくる返事。


「鋳造用の原型も……?」


「あぁ。ひび部分の直しは本職に頼むからそこは気楽にな」


 聞くところによると、その仏師さんは木像、石像もこなし、さまざまな素材で仏像を作ってきているようだった。


「原型を作り、石膏からの鋳造もこなす一級の仏師マスターだ。動き出さないのが不思議なほどの仏像を彫るぞ」


 動き出すような仏像があるの……⁉︎


「急を要するからな……龍石をあそこから動かすわけにはいかんし、呼び寄せる。

 明日の午前中に全部手配するから、昼過ぎに行ってもらえるか、龍石の元に」


 それから色々諸々話し合い、


 午前中は宿でそれぞれ、大吉さんは夕紀美さんからの修復依頼、わたしは双葉ーちゃんから依頼の身代わり護りを作ることにして、昼過ぎには龍石の元へ。


 龍石の作業が滞りなく終わったらわたしはそこから双葉ーちゃんの元へ身代わり護りを届け、水晶龍のことを相談し、大吉さんは荷物が多いだろう仏師さんのお見送りをすることに決まった。



 ◇


 すっかりと暗くなった道を、わたし達は急いで宿へと戻った。フロントで約束の宴会用に、四人分の夕食をお願いし、アグネスとフェイへの伝言も頼んで、離れへと向かう。


「……自分で提案しておいてアレなんですが…………

 まさかわたしがやることになるとは思ってなかったです…………」


 玄関に到着した時につぶやくと、


「石膏は多めに用意してもらうことにしたが、龍石は本番一発だしな、緊張するか?」


「そりゃ緊張しますよー! っていうか本当にわたしが…………?」


「俺は心配してないぞ? クゥさんのあのアーティファクトのレプリカを作った藍華だからな」


「…………買い被りすぎです…………」


 嬉しいけれど、自分の言い出したことなのに責任の大きさに押し潰されそう……。


 玄関で立ったまま、靴も脱がずにいるわたしの頭を大吉さんは優しくポンポンと撫でてから言った。


「大丈夫だよ……」


 そして座り、履いていたブーツを脱ぎながら続ける


「頼りになるかわからんが……」


 脱いだブーツを端に寄せながら小さな声で呟いた。


「俺も一緒にいるから……」


 視線を一瞬だけブーツからわたしに移すと、すぐに立ち上がってこちらに背を向ける。


「……!……」


 い……今聞かなければ……! 時間が経つほど聞きにくくなる……!

 あの……キスの理由…………!


 部屋に向かおうとする大吉さんを追いかけようと、急ぎ靴を脱いで上がろうとしたら。


 まさかのつまづいてそのままダイブ。


「んにゃぁあっ!」


「!」


 固い床に激突するかと衝撃を覚悟して目を閉じたのに、フワッと暖かい感触に恐る恐る目を開くと…………


 わたしは大吉さんを押し倒すようにして転んでいた。


「だ……大丈夫か……?」


 んんああああああ‼︎


「すっ…………スミマセ」


 そしてガラガラっと開くかれる玄関の引き戸。


「お前たち……流石にこんなとこでソレはまずいだろー!

 っていうか、藍華……意外と大胆なんだな……?」


「……ちゃんと部屋に行け。部屋に」


 伝言を受けたアグネスとフェイの二人がそこにいた。


月木の更新ですが、諸事情により来週の更新をお休みさせていただきます。

再来週には戻ってきますので、よろしかったらまたのぞきにきてください(*´∀`)♪

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