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ハンドメイダー異世界紀行⁈  作者: 河原 由虎
第一部 四章 キョウトにて
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173.驚愕の診断結果

 扉は夕紀美さんによって勢いよく開かれ、運び手の二人が治療の終わった人を運び出していった。


「次……お前たち……! 早く入れろ‼︎」


 夕紀美さんは担架を持つわたし達を見ると、そう言ってクイっと手でも中に運び込むよう指示を出した。


「案内ありがとうございます!」


「あとは大丈夫なんで次の怪我人の案内に行ってくれ!」


 わたし達は矢継ぎ早にそう言い処置室へ入る。


「そいつの羽織と服を脱がしてくれ!

 傷口が見えるように!」


 夕紀美さんは汗を白衣の袖で拭いながら扉を閉め、


「藍華は回復したみたいだな、よかった!」


 わたしの顔を見てそう言うと、壁際の棚から飲み水だろうか、泉に持って行っていたのとは別の竹筒の水筒から水分を補給し始めた。


 わたしが上にかぶさっていた羽織りを受け取り、大吉さんが血まみれになっている服を脱がせていくと………………


 そこには血まみれだが明らかに何の傷もない肌がのぞく。


 そしてソレを見た夕紀美さんは。口に含んだ水を向かい側に立って血まみれの服を持つ大吉さんに吹き出した。


「な…………⁉︎…………」


 ぺたぺたと血まみれの腹部と肩の部分の肌を触る夕紀美さん。


「どう言うことだ……⁉︎」


 いやー。まさかあの一瞬でここまで綺麗に治ってるとは。わたしも思いませんでしたよ……?


 おそらく、早く治ったらいいのに、という思いに『ベルカナ』が反応したのだと思う、ということをわたしが説明すると……夕紀美さんは傷のあったであろう場所を水と清潔な布で綺麗に拭きながら驚愕した。


「何だソレは…………医者要らずか…………⁉︎

 ますますそのルーン文字のアーティファクトが医療に必要になりそうだな…………」


 改めて水分を補給しながら夕紀美さんは言った。


「けど…………治ったらいいのにーって思っただけでこんな…………」


 明らかにこれまでと桁外れな効果な気がしてならない。


「そういえば、藍華は増血師の治療を受けれたのか?」


「「…………」」


 わたしは血まみれの羽織をもったままもじもじしてしまい、大吉さんは吹き出された水を、夕紀美さんに渡されたタオルでふきながら数秒動きが止まっていた。


「と……途中で蘇芳さんと鉢合わせて……

 彼から増血レプリカ借りて完治しました…………」


「なんだと…………⁉︎」


 何か疑問があるようで、夕紀美さんは納得していないようだ。


「現場で蝶子さんに診てもらったから完治は間違いないぞ…………?」


「レプリカは完治させるほどの力を持たんぞ……?」


「……計三回治療してもですか…………⁉︎」


 レプリカの能力値は、元になったアーティファクトと、レプリカ時の製作者によって値が決まる。

 よほど能力の高いアーティファクトで、優秀なマスターが製作したレプリカならば、オリジナルの半分くらいの力はあるとかなんとか、以前大吉さんが言っていたことを思い出しながら聞いてみた。


「蘇芳の持っていたレプリカはオリジナルの半分以下の力だ。そのオリジナルでも、あれ程の症状を完治まで持っていくのに二、三回の治療が必要…………」


 そう言いながらわたしの方をじっと見る。


「そういえば龍石の所までの崖をジャンプするのにも飛びすぎてたな藍華…………」


 何かを考えているような表情をしていると思ったら、何かに気づいたように目を見開いた。


「健康診断させてくれ! 異様な出力、もし命を削るタイプの力なら早急に治療をするか対策を練らないと……! アーティファクトを使う度に命を削り続けることになる! だから───」


「…………!…………」


 夕紀美さんの様子からすると、過去にそういう人物がいたのだろうか────

 命を削ってアーティファクトの力を引き出していたような人が…………?


「過去に──いたんですか? そういう人が…………?」


「…………数十年に一度の割合でいる…………そういう患者が」


 先祖返りに近い能力の人が出てくるということなのかしら……

 自分は違うと思うし、思いたいけれど…………


 そう考えながら、伏見の柘榴様の言葉を思い出す。


「古の巫女の能力じゃないのか…………?」


 大吉さんも同じことを思っていたらしく、そう呟いた。


「なんだ? それは……?」


「古の巫女とは、アーティファクトを壊さず己の(うち)の力で補助をし、さらなる力を引き出せた者────のことだそうです……」


 今回、特に意識してたわけではないけれど、その能力を使用してたとか…………?

 でも、それでは説明のつかない事がある。


「待ってください……増血のアーティファクト使ったのわたしじゃなかったですし、それだけじゃ説明つかなくないですか…………?」


 増血は三回とも自分でしていない。


「そうなのか?」


「…………あぁ……」


 言いにくそうに、苦い顔をしている大吉さんの返答を聞いて、夕紀美さんは言った。


「やはり一度見せてくれ。

 次の患者が来るまでには診断は終わる!」


「わかりました……! お願いします」


 健康診断は、鑑定アーティファクトで可能だそうで、その場にてすぐ行われた。


 光り輝く鑑定アーティファクトに呼応するように、夕紀美さんの眼鏡のレンズが光を反射する。


「診断結果…………健康、少々疲労………………まぁ諸々あって…………

 古の巫女レベル中の下、龍の加護×二……?」


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