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ハンドメイダー異世界紀行⁈  作者: 河原 由虎
第一部 二章 そして事故?はおこった。
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016.生存者は全員救出

 陥没現場の中央部には、大吉さんとわたしの他に数人が集まってきていた。おかげで瓦礫を撤去する作業はだいぶ進み、木造の寺の一部が見えてきていた。


「大吉さん、一気に持ち上げてみるのであと頼んでいいですか?」


「おーい、お嬢ちゃん! 俺にも手伝わせてくれ!」


 一番最初に助けた血塗れだった人が走ってきて言った。


「さっきはありがとうな。力仕事でもなんでもやるぞ、言ってくれ」


「じゃあ、コレを使って生存者の場所を教えてくれます?」


 ウォレットチェーンから例のチャームを外して渡す。


「生存者探索、って言いながらお願いします」

「まかせとけ!」


 そういえば大吉さんが何か唱えてるのもみたことないな。まぁ唱えずとも力が出るのがアーティファクトだけども。


「生存者探索!」


 言葉を放つや否や、強い光が放たれ五つに分かれる。


 よかった! 全員生きてそう。そして位置がそこまで離れてない…………


「皆さん! 一帯の瓦礫を持ち上げるので、あそこら辺まで下がってください!」


 光の強さから埋まっているだろう深さを推測、そこを中心として、緩やかな傾斜の穴を掘るイメージ。

 穴の端っこになるあたりを指してわたしは言った。


 そして、イメージする。

 たくさんの瓦礫がゆっくりと浮遊し、生存者が見つかるイメージを。


 両の手をそちらにかざし、言葉を紡ぐ。


「瓦礫よ浮かべ!」


 ネックレスが強く光り、イメージで指定した範囲の瓦礫が緩やかにそのまま上へと浮遊する。


「生存者を発見できたらどんどん助けに行ってください!」


 精神力も使用する、って言ってたけど。負担がかかってる感じが全然しないのよね。


「いたぞ! 三人目視した!!」


「そっちに二人だ!」


「お願いっ!」


 ずざざざーっと降りていく大吉さん。なんというか、かっこいいなぁ、体の使い方を知ってる感じが。それに続くように、四名が転びそうになりながらも降りて行き、もう四人が穴の縁で待っていた。


 うん、それが普通だよね!


「すまん、俺たちには無理だ! 何とかここまで連れてきてくれ、救急の所まで連れていくから!」


 良い人達だ


「一人おそらく重症だ。先に救急のとこに連れて行ってくれるか!」


 大吉さんが一人を抱えて待ってくれている人たちのところへ連れていく。そして重症の人は即席で作られたタンカに乗せられ、救護係の所へと連れていかれた。


 そこへもう二人の怪我人が運び出された。


「あと二人……!」

「藍華! もうちょっと頑張ってくれ!」

「はい!」


 大吉さんの声に元気に返事をし、瓦礫をその場に留めることに集中する。


 お坊さんらしき人と、女性が助け出されてきた。大きな丈夫な屋根の隙間に埋まっていたようで、目立った外傷はないけれど二人に意識はないようだった。


「瓦礫を戻します!」


 ズキンッ


 それを実行しはじめた瞬間に、小さな頭痛。

 

 これが精神疲労というやつかしら? 瓦礫下ろしたらしばらく休憩かしらね。


 ゆっくりと下りていく瓦礫。全てが元の場所に戻った時に、わたしはその場に膝をついた。


 あれ……全身気怠い。

 力が入んな…………


「藍華⁈ 大丈夫か?!」


 気づいた大吉さんがのぞき込んでくるが、わたしはそのまま倒れ込んでしまった。



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