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ハンドメイダー異世界紀行⁈  作者: 河原 由虎
第一部 四章 キョウトにて
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144.龍たちを救うカギ

「中を確認しても?」


「もちろんじゃ」


 コロン、と出てきたのは何やら四角い白っぽい石のようなものだった。


「これは……?」


「そのまま、それだけでは何にもならんものじゃが、藍華になら使えるだろう。

 多分龍の子達を救うのに必要になるはずじゃ」



 そう言う双葉ーちゃんの言葉には、まるで他人事ではないというような雰囲気を感じた。

 もしかして知っているのだろうか? それとも会ったことがあるのだろうか、その龍達と……?


「あ……もしかして七十年前の記録を書いたのって…………」


 ふと気づいてそう言ったわたしの言葉に大吉さんも続いて言った。


「あのものすごい上手い絵の……⁈」


 わたしの言葉に大吉さんも気づいてそう言うと、


「みっちゃんと2人でいろんなお社を見回りしてた時期にな……何度か行ったんじゃよ。そのお社まで。

 鳥居の外側で転がっとった水晶の龍を元の位置にも戻したな。何度か」


 懐かしそうに、そう答えた。


「もともと山の奥にあったそのお社は、道は狭いし階段もすごくての」


「ここより?」


「ここより」


 大吉さんの質問に即答する双葉ーちゃん。

 そういえばここも緑深い森の中な神社で。どれくらい山奥なんだろうか、わたしにはわからないけれど、大吉さんの様子からするとかなり階段を登るようである。


「地震以来完全に道は無くなって、裂けた山にその神域と呼ばれる山頂の一帯だけネズミ返しな硬い岩盤の崖で囲まれ杭も入れれず。橋をかけれそうな丈夫な木も地震の時の火災で燃えてなくなり。

 特殊なアーティファクト使いしか行けぬようになってしまってな…………」


 棒人間の指輪の他に、まだ何かそこに到達できるアーティファクトが、公式ではなくアル、ということか……

 でも双葉ーちゃんはそれ以来行けれなかったと……。


 っていうか、そこの源泉とどうやって繋がってるんだろうかキヨミズ寺の裏に湧き出ているという滝。よっぽど高所なのかな⁇


「双葉ーちゃんはどうみてるんだ?

 清めの水の力が弱まったこと」


「花子、話しておやり」


「私で良いのですか……?」


「少しずつ代替わりの準備じゃ。良い」


 花子さんは双葉ーちゃんの後を継ぐのか……


「私の受けた御信託では、龍達の守る水源の泉に……龍の力を弱める“何か”があると……」


「人為的なものだということか……?」


「はい。おそらく。

 ただ、心配なのはそれによって龍達がどうなっているのかわからないということなんです…………」


 自分の力ではそこまで見えないのだ、と暗い顔をするが、


「双葉ーちゃんが最盛期だったのも三十を越してからだったと聞いたことがある。

 花子さんはまだまだコレからでしょう!」


 そう言って笑顔を彼女に向ける大吉さんに、胸が少しチクリとする。


「ありがとうございます……!」


「泉に潜る準備が必要そうと分かったのもありがたいです。

 いきなりじゃちょっと…………」


 色々な心の準備が。


 その後は水に潜る際の注意点とか、何が必要かとか、話が弾んだ。

 話してみると、花子さんはとても話しやすいしい人で、ちょこっと身の上話などになり、彼女何と十六歳で、巫女としての力は姉の蝶子と大きな差はなく。

 花子は双葉に憧れ巫女修行を続けると決め、蝶子はとあることがきっかけで特殊部隊を目指すようになりー、なんと十八歳以上が入隊を許可されるところを、十五歳で異例の入隊を果たしたそうだ。


 その後も時間を忘れて話に花が咲き、


「な。藍華。そろそろ行かないと……」


 大吉さんが見ている時計アーティファクトを見てみると時刻は五時を指している。


「す! スミマセン‼︎

 話が弾んでしまって……!」


 大吉さんに促され、社務所で次来る時のためのお札を受けて、急ぎ出発することに。


 受けた依頼のことについては、双葉ーちゃん曰く龍石と水晶龍が無事ならば、その“何か”を取り除けば水質は少なくとも劣悪ではなくなるだろうということだった。


「龍達を頼んだよ、またいつでもおいで」


 そう双葉ーちゃんに言われて、わたしはこの世界での居場所が増えた気がして、とても嬉しかった……


 頼まれた身代わり守りと一緒に龍達がどうなったかだけでも連絡すると約束して、わたしたちは双葉ーちゃんの所を後にする。



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