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ハンドメイダー異世界紀行⁈  作者: 河原 由虎
第一部 三章 “キョウト”へ
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124. 再び脱がされてる達磨頭取

眩しすぎて目を開けていられず、光が消えたとわかった瞬間に目を開けると、そこはもとの畳の香る和室。


「・・・よかったぁ〜・・・!!」


先に行った3人の姿を元の場所に確認し、ちゃぶ台に突っ伏す。


「よくやったな、藍華!」


再びの頭ポンポンに。もっとこぅギュウとかが欲しいなと、変な欲が飛び出してくる。


「もー心臓バクバクでしたよ・・・!!

みんなよく平気に鍵突っ込みましたね?!」


「そりゃ〜、まぁ?」


「あえて言うなら、大吉の信用っぷりを信用してたから?」


口々に特に心配などしていなかったように言う2人。


「それを言うなら藍華もだろうが!!

あんな高額硬貨をポンポンと変形させちまって!!」


「偽造ができないように、政府の特殊アーティファクトで製造してるから一度形を崩すと外れてしまうコーティングがあってな。。」


え、まぁ軽くショックではあるけれど。

うん。まぁあのままあそこで骨になるわけにはいかないし。


「まぁあそこで骨になるわけにはいかないですし・・・。

後で達磨頭取とちょっと交渉デスカネ!」


顔に笑顔貼り付けたままそう言うと、達磨頭取が戻ってきた。


「ぉお、みんなよく無事で!」


頭取がそう言うのとほぼ同時に部屋の扉がノックされる。


コンコンコンコン


「どうぞ〜!」


張り付いた笑顔のままノックに応答する。


「失礼します〜!おつまみセット、お持ち・・・」


室内の異様な空気に気づいた配膳をしにきてくれた宿の人。


「・・・しましたぁ・・・」


「ありがとうございます〜!そちらに置いておいてください〜!」


変わらぬ笑顔で応答する私。


「失礼しますっっっ!」


そそくさとおつまみセットの乗った盆を置いて去る宿の人。


「頭取はそこで正座な!

コレはお情けだ。わたしておこう。」


頭取はテーブルから離れた部屋の隅で正座させられ。

彼の飲みかけだった瓶をアグネスから渡された。


その間におつまみセットをテーブルの上に置き、


ちょこーん、と座らされている様は可哀想で少し可愛く。憎めないキャラだよね、と思いながら一本鳥串らしきものを渡しに行った。


「コレもどうぞ。何か胃に入れた方がいいですヨ」


「・・・藍華さんは優しぃのぉおおお・・・」


瓶ビールと鳥串持って泣くサンタ・・・

脱がされた羽織は再び羽織ってベルトもしているサンタ。


「この鍵の資材のことについては後程じっくり話させてくださいネ」


貼り付けたままの笑顔に、その裏側の感情を感じ取った頭取はカチンコチンに固まったように返事をした


「・・・ハィ・・・」


大吉さんがコレから先も店に置いてくれるなら資金の面では問題はないかもしれないけれど・・・

せっかくこれで少しは恩返しができると思ったのに・・・


自分の座ってた場所に戻ってポテトを一本つまむと、


「そうだ、藍華。返しとくな、コレ。」


そう言って向かいに座ったアグネスがレプリカの鍵をおつまみを避けて私の方に置く。


「こんな形になっちまってるけど、もしかしたら元に戻せるかもしれないし。」


「いえ、これはそれぞれで持っててください。」


間髪入れずにそう返事を返したことに、自分でも少し驚く。わからないけれどそうした方がいいと思ったのも事実で。


「んーあえて言うなら・・・わたし達が出会えたことの記念に!」


政府の特殊コーティングとか興味はあるけれど、特にやりたいことではないし。


「藍華がそう言うなら、受け取っておいていいんじゃないか?」


大吉さんが串肉食べながら言う。


大吉もそう言うなら・・・と言ってアグネスもフェイも、鍵を懐に入れる。



ツマミを食べ終わったところで夕食ですよ、と声がかかり頭取はようやく解放され、全員で宴会場へと向かった。





宴会場では、一行(いっこう)の全員が揃って。

飲めや騒げのどんちゃん騒ぎとなった。


みんな、なかなかに酒豪なようで。

自分もペースが早かったのは間違いなく。


「飲んでますか?!大吉さん!!」


ドン!!!とおかわりした瓶を片手に大吉さんの隣に座り直す。


「・・・飲み過ぎじゃないか・・・?」


「そーかもしれないですね〜!!

って言うか、こっちきてから初飲み会?!

楽しーから大丈夫ですよぉ〜」


ふわふわした、良い気分が継続している。

こんな時だものネジが一本飛んじゃっててもイイヤ!!


「見てる分には俺も楽しいからイイケドナ。。。」


クイっとジョッキの中身を飲み干し、楽しそうにこちらを見る大吉さん。


「つぎましょうか〜?」


持ってきた瓶を差し出して問うと、


「ありがとう」


と言ったので遠慮なく注ぎ込み、自分のジョッキにも注いで、ほぼ一気飲み。


食事はあらかた終わっていて、あとはほどほどに飲んで騒いでお開き、と言った所なのだろうが、お開きになるのはいったい何時になることやら。


少し広いスペースの方で野球拳始めたアグネスたちの方がすごく楽しそうで。


「あ〜アグネスたち楽しそう〜!ちょっと私も参戦してきます!!」


「?!!」


頭取がまた羽織を脱がされてるのが目の端に写り。

立ち上がってそちらに向かおうとすると、


「ちょ、待て!」


そう言ってぐいっと腕を掴まれ、


「もう部屋に戻るぞ。夕食は終わりでいいだろ?」


加わりに行くのを止められる。


「え〜アグネスと一緒に温泉入る約束してるのに〜」


「明日の朝にしとけ!

アグネス!藍華と温泉、明日の朝でいいな?」


「あぁオッケーだ!朝迎えに行くよー!」


こちらを伺っていたアグネスが頭取の腰紐を奪いつつ言う。


えぇええええと言う私の言葉は無視して腕をひき宴会場を後にする。


流石に飲みすぎた。。。久しぶりだったし加減が難しかった。まっすぐ歩けない。


サポートしながら歩いてくれる大吉さん。ありがとう。


「安全な場所だからってみんなはじけすぎだろ・・・」


ポソリと、楽しそうに呟く


「みんな楽しそうで良かったです〜」


にヘラっとしながら言うと、歩みが止まり、


「・・・藍華はもちょっと警戒心を持て・・・」


警戒心?このメンバーと大吉さんで、どうして??


組まれている腕が支えるためとはいえ、幸せで。


「もーちょっと飲んでたかったデス。。。」


心とは裏腹のセリフが出るのは素面の時とは変わらないようで。


「きょうとについた時にもう一回は機会があるだろ。。

その時はまたゆっくり飲むといいさ。」


そう言って再びゆっくりと歩きはじめた。

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