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ハンドメイダー異世界紀行⁈  作者: 河原 由虎
第一部 三章 “キョウト”へ
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122.三種の神器と達磨頭取のうっかり

みんながそのクオリティーの高い神器と呼ばれるアーティファクトに魅入っている時、私は言葉を絞り出した。


「・・・これらは・・・なんなんですか・・・?」


大吉さんは私の様子が少しおかしいことに気づいたのだろう。話す私をじっと見ていた。


「しばらく前に“とうきょう”で陥没事故があったじゃろ?そこに奉納されていた“三種の神器”じゃよ。」


・・・永久ちゃん、遠い別世界の未来であなたの作品寺に奉納されてます!

しかも!神器として!!!


と、直接言えたらどんなに面白いか・・・!!


揺れ動く感情を外に出さないように、気になったことを聞いてみる。


「三種の神器??」


「“再生の日”以降残った寺や神社には必ず、人々の役に立てれるような三種のアーティファクトが置かれているじゃろ?それじゃよ。」


神話になぞらえて、そういうアーティファクトを保管した、ということだろうか。


「桜、神や仏に関するものが多く“知・任・勇”を表す3点がよく選ばれている。

桜は知、四神は任、剣は勇、といったようにな。」


大吉さんが説明してくれる。


「直接目にする機会はなかなかない。数年に一度公開日が決められて、一般にもお披露目されるが、こんなに近くではみれないじゃろ?」


「確かに通常は厳重な警備のもと、5メートルくらいは離れたところから見れるだけだな。」


「一緒に開催される祭りの方が好きだからマジマジと見たこともなかったわ。」


フェイとアグネスが言った。


わたしも祭りに釘付けになってそう。


「普段から厳重に守られて、管理されていたのだが建物が崩れてしまったことで、安全な保管が無理だということで、建て直しが終わるまで“きょうと”で保管することになってな。輸送を頼まれたんじゃよ。」


もしかして今回盗賊に狙われたのって、コレなのでは・・・?


「郵送用の保管アーティファクトの性質でな、24時間に1度はこうやって宝箱から出して確認せにゃならんのだ。」


「しかしそんな重要なものだったら俺たちに見せたらいけなかったのでは。。?」


もっともなフェイの質問に、アーティファクトを宝箱に戻しながら頭取の動きが止まる。


「・・・・・・あ・・・・・・」


酔いが回っていて思考回路が鈍っているのだろう。

言われて十数秒後に気づいたらしく、目が点になった。


そしてそこに追い討ちをかける大吉さん。


「ところで達磨頭取。ここからどうやって出るんですか・・・?

たしか専用の鍵を持つものしかでられないんじゃないっすか?」


「・・・・・・・・・・」


目が点から糸になる。


「え・・・!?まさか、こっから出られない?!」


ことの重要さに気づいたアグネスが叫んで頭取の胸ぐらを掴む


「・・・す・・・すまん・・・」


ゆっさゆっさ頭取を揺さぶるアグネスをフェイは控え目に止めようとするが、


「アグネス、やめておけ。それをしても頭取の酔いが回るだけで解決策は見つからんと思うぞ・・・。」


頬杖をついて、そう言っただけだった。


「・・・大吉、何か知ってたのか?頭取を止めに入ってたみたいだが。」


そう、わたしもちょっと気になっていた。


「俺が知ってるのは、この空間を作り出すアーティファクトが政府御用達で、よく機密情報なんかを運ぶときに使われるアーティファクトだってことだ。」


はぁーっと軽くため息をつきながら話し始める。


「過去数回見たことがあるんだ。使ったことはない。

菊紋と桜紋のものもあって、そちらは登録者しか使用できないらしいというが、頭取のこれはどちらの紋もなかったから、お上にとって、そこまで重要、若しくは秘匿しなければならないモノではないということだろう。」


そうは言ってもお上の委託した輸送中に、依頼受託者以外が見ていい物ではないだろう。


「だが、そのかわり気をつけないとこうやって関係のない者をとりこんでしまう、と。」


「・・・ほんとスマン・・・」


大きい体躯の達磨頭取が小さく見えるほどにしょんぼりしていた。


「・・・中に入るのは範囲指定の持続タイプのアーティファクトで、出る為のアーティファクトは別にあって範囲指定じゃない、ということなんですか?」


胸に沸いた感情はそのままに、アーティファクトの変な部分に気づいてしまったので聞いてみる。


「入る時は範囲で指定されて、出る時はアーティファクトの個数でってなんだかおかしなアーティファクトですよね。」


「・・・その昔な。犯罪者を収容するのに使われていたという話があってな・・・・・・」


うわー、その先はもうなんか想像がつく・・・・・・


「乾涸びて白骨になるまで放っておかれたとか。」


ゴクリと誰かの喉が鳴る。

もしかしてここにもそういった人たちが。。。と。


しん、とした空間に、大吉さんは


「安心しろ、そう言ったものはいろんな念が絡みついて、大変なことになったりして今は現存していないはずだ。」


そう言って安堵をもたらした。


「そうは言っても、頭取以外が出る手段がないのは事実だがな・・・」


そう言って項垂れる。


「頭取、鍵は一個しかないのか?」フェイ


「鍵は2本あるけどもう一本はユウリが持っておる・・・。」


ようやくアグネスから解放された頭取が答えた。


「じゃぁ出て取りに行っても2人しか出れないということか。」


「その鍵ってなんとかレプリカ作れないですかね?」


レプリカ作る為のアーティファクト、外しそびれたウェストポーチに入れてはある。


「問題は材料だな。」


「材質はなんなんですか?達磨頭取見せてもらっても?」


「これじゃよ・・・」


そう言って手のひらに置かれた小さな金色の鍵。

この色、この重量。


なんかどこかで見たような気が・・・・・・





さぁ、藍華はどこでその金色の物体を見たのでしょうか・・・・・・?


わかる方いますか??

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