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ハンドメイダー異世界紀行⁈  作者: 河原 由虎
第一部 三章 “キョウト”へ
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121.神器と永久ちゃん

とりあえず他の客に迷惑になってもいけないと、

大酒飲みで絡み酒な2人の相手をすべく、全員を部屋に入れた。ちょっと狭い。


「大吉! 藍華も帰ってきたんだからいいじゃん?!飲めよ‼︎」


ビール瓶を突き出してくるアグネスに


「アグネスさんの言う通りじゃ!今日を逃したらまたしばらくのめん!」


3本持ってきて、グイグイと1本を大吉さんに押し付けてくる頭取。


「頭取、あんまり飲みすぎるとユウリさんに怒られますよ・・・・・・?」


半分呆れ顔で、それでもコップを用意しながら1瓶受け取る大吉さん。


「ぐ・・・・・・いや。今のまずしていつ飲むー!!!?」


「ヒューヒュー! 頭取かっこいい〜!」


おだてるアグネス。

そしてこの2人は瓶ごと飲んでる。


「ダメだこりゃ。ん?藍華、何してるんだ。。?」


隣に座って宿のパンフレットのようなものを見ている私にコップを渡しながら問うてくる大吉さん。


「あ、ありがとうございます。とりあえずおつまみでも頼もうかな、とおもいまして。」


空腹状態のお腹にお酒が入るよりはと思って探していると、おつまみセットの絵を見つけて


「コレなんかどうです?5〜8人向け。」


「良さげだな、じゃぁ頼むか。」


そう言って座ったままちょっと移動して部屋のすみの、小さな座布団の上に置かれている法螺貝のようなものを持ち上げ力を発動させる。

見ると、法螺貝は鎖で壁に固定されていた。


しばらくすると、


『はい、こちらフロントになります。どうされましたか?』


法螺貝から声が。

オモシロ。


「メニューにあるおつまみセット5〜8人向け、どれくらいで持って来れますか?」


『今の時間帯なら5分もかからずお持ちできます。』


「じゃぁお願いします。部屋番号は108です」


『かしこまりました。少々お待ちください』


「ありがとう」


ほぼ電話と変わらない。タイムラグもないようだ。

これはすごい・・・!


後ろでガハハハと笑いながら突然何かを思い出した頭取。


「あ、しまった今日の分の確認を忘れておった。」


直飲みしてた瓶を畳に置いて、何やら手のひらに収まるサイズのアーティファクトを懐から取り出しテーブルの上に置く。


「・・・達磨頭取!!今ここではダメだ・・・!!」


何かに気づいた大吉さんが何故か止めに入るが時すでに遅し。


強い光を放つアーティファクトは部屋内を包み込み───


光が消えた時には、目から見える景色(もの)がそれまでと全く違ったものとなっていた。囲んでいたはずのテーブルは消え、部屋も調度品も畳の香りすらも消えている。


全員から少し離れたところに1メートルくらいの高さの見た感じ何でできているのかわからないけれど、今座っている地面と同じエメラルドグリーンな色で薄明るく光っている不思議な材質の台があり、その上にはこれみよがしな両手で抱えれるくらいの大きさの宝箱が置かれている。


「ここは・・・?!」


「・・・?!!・・・」


達磨頭取は酔っ払ったテンションのまま。大吉さんは座ったままガックリと項垂れ、それ以外の面々はそれぞれ立ち上がったり膝立ちになって身構え、驚いて、キョロキョロしている。


そこにいた全員が変な空間へと取り込まれてしまったようである。


「ここは一体・・・」


「あたしが酔っぱらって見てる夢ってわけじゃないのね・・・?」


フェイの言葉に顔はほんのり赤いままだが酔いが覚めたようなアグネスが言った。


その空間は壁がなく、どのくらいの広さなのかはわからないが全体が薄緑に薄明るく光っている。


「さーて、今日の分の仕事仕事!!」


他のメンバーを置いてけぼりに、宝箱の方へ行き


「みんなも見てみるか?」


そう言って、どかっとみんなのいるところまで宝箱を持ってきて、小さな綺麗な金色の鍵型アーティファクトでパカ〜っと開く。


「ほれ座れ、出すぞ?これらはな、神器(じんぎ)と呼ばれるアーティファクトでな。」


頭取は全員を自分の前に輪になるように座らせ、見やすいように中央あたりにそれを置いていった。


神器と呼ばれるほどすごい力を持つアーティファクトということだろうか・・・?


頭取が箱から出していくのをひとまず大人しく見物する面々。


1つ目は剣のペンダントトップ。

柄の部分は銀色のビーズを駆使してワイヤーで繋がれている。刃の部分はおそらくレジンで何か文字のようなものが銀色で入っている。


「これは、あらゆる物を断ち切ると言われている」


二つ目はおそらくオニキスに四神の彫りの入ったビーズの使われたメガネドメブレス。四方に位置するよう、間には水晶が入っている。


「これは、四神を召喚できると言われている」


三つ目を頭取が出すが大きな手に隠れて見えない。

慌てずとも見れるか、と見えるのを待つ。


「最後にこれは、桜とその香りを召喚し癒しの場を顕現できる。相性の良い者がその場へ行くと知を授かるという言い伝えが残っている」


頭取の手が退いてそれが目に入った瞬間、脳と心に衝撃が走る。


手のひらサイズの小瓶にワイヤーとレジンを使って作られた桜の入ったハーバリウム・・・これは・・・!


挿絵(By みてみん)


「!!!」


“永久ちゃん”の作品だ・・・・・・!!!


“永久ちゃん”はあちらの世界で。Twitterで相互だった人。とても仲良くさせてもらっていて・・・


お迎えさせてもらった鬼灯(ほおずき)はこっちに来る時もカバンに入っていて、今も持っている。


突然胸に懐かしいような、寂しいような・・・そんな感情が溢れ出てくる。


あちらに帰らないということは、お迎えする約束とか、色々な先の機会を断ち切るということでもあるのだ─────

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