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ハンドメイダー異世界紀行⁈  作者: 河原 由虎
第一部 三章 “キョウト”へ
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119.帰り道道

暗くなってゆく空を背に、道を宿の方へと足早に戻って行っている時。


「何とか道を覚えててよかった・・・。」


折鶴の後について行った為、周りを気をつけている余裕がなく。多少不安があったけども、みっちゃん喫茶の高架下まで戻っては来れた。


ここからは大吉さんと歩いた通りなので、ちゃんと覚えてるぞ。


日が傾き始めた通りには、昼間とは違った賑やかさがある。


流通手段の選択肢が電気機械で大半のものが作られていたあの時代とは違ってとても少ない。

少なくとも、車やバイクの事故にあうことはなさそうだ。


商店も、所々に見られるアーティファクトの専門店がわたしには異色に感じるけれど、とても興味をそそられる。


しかし変わらぬ雰囲気を持つ店もあったり。

飲み屋などはその一端だろう。


旅館への道は、飲み屋、スナックなども多く。昼間とは違う雰囲気で。


飲み屋とかも入ってみたいけど。それよりも今は早く───


と、急いでいる時に限って、何か邪魔が入る。


ガッシャアアアアアアン!!!


歩いていたすぐ横の店から何かの割れる激しい音。

続いて飛んでくる何かが目に入ってくる。そしてスローモーションのように目に映る、前を歩く幼な子と手をひく母親の姿。


反射的に結界を張って親子を飛んできたものから守る。


結界(アルジズ)!!」


「!!!?」


飛んできたのはビール瓶。結界にあたって砕け散るものの、親子と自分は無傷。周りにはまだ残っていただろうビールと硝子の欠片が散らばり。

直後にジョッキも飛んできた。


バリーン!!


ぅわ。ひとまずここから離れたほいがいいわね?


「早くあっちへ!!」


「あ・・・ありがとうございます!!」


店内から躍り出てくる男が数人。

ビール瓶を構えてるのもいる。


いつの時代もこういう酔っ払いはいるものか。。。

まだ日が暮れ始めたとこなのに。


その親子と共にそこから離れようとした時、1人の男が突き飛ばされ、こっちに向かってくる。


も一回結界張るか!?


と、一瞬迷ったその時。

喧嘩がはじまった向かいの店から大きな人影が2つ。


1人は向かってきていた男を払い退け、もう1人は飛びくる木の椅子を破壊してバラバラに。


「そりゃあああ!!」

「せいっ!!」


そして突然後ろから腕を引っ張られて、


「藍華ちゃんこっちだ。」


「???!」


ちょうど喧騒の範囲から外れるところまで連れていかれる。


「!!護衛チームの!!」


助けてくれたのは護衛チームの3人だった。


「向かいの店で飲んでてな。喧嘩がはじまった〜って時に君が来たのが見えて。巻き込まれそうだったから助けに来てみたが、いらんかったかな?」


そう言って少し遅れて貼った結界を指していう。


「いえいえ!!自己紹介の時にも言いましたけど、私はこういうことに慣れてないんでメチャクチャありがたいです!!ありがとうございます!!」


対処の仕方とか知らないし、この場を治めようとかそんな大それたことは考えてなかったけど、そのまま立ち去るにも気が引けてたからほんとありがたい。


そしてごめんなさい。耕助さん以外の方の名前覚えてない。


店内から聞こえてくる会話を聞く限り、ぶつかっただのぶつかってないだのから発展した喧嘩がヒートアップしてビール瓶を投げるに至ったと。


中に入っていった耕助さんともう1人が喧嘩の仲裁をして、お店の人にお礼言われながら出てきた。


「よ!ご苦労だったな!」


私を安全なとこまで連れてってくれたおじさんが言うと


「藍華さんが無事で何よりだ。」


ガハハハと笑う耕助さん。


「どうよ、騎士(ナイト)の役割した陽太(ようた)よ!」


「イィねぇ!可愛い子を守れるってのは!」


素で可愛い言われるとやはりテレルわ。


「それより藤次(とうじ)が壊した椅子はお咎めなしか?」


笑いながらいう陽太さん。


「喧嘩してた奴らに請求するからイイってよ。」


まぁ壊さなくても大丈夫だったかもしれんがなー

と言いながら頭をかく藤次さん。


しかしさすが、何年も護衛職をやっているだけはある。。

カッコいいおじさんたちだ!


「藍華さんはこれから宿へ?」


「はい、用事も済んだので。」


「大吉さんは?」


「ちょっと1人で行きたいとこがあったんで先に戻ってもらったんですよー」


「だいぶ日も暮れてきたから一緒に行くか!」


「宿までの騎士役は任せてもらおうってか?」


3人とも、多少ふらついてるのにあの動き。

悪酔いではないみたいけど、護衛中とはまた違った雰囲気で、良い人達だなと感じた。



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