011.アーティファクトとレプリカ
「と、まぁこんな感じだ。
ちなみに俺のレプリカ作りの腕はだいたい中級だ。作るスピード、出来上がる物の能力、共に」
ほい、と出来立てホヤホヤのレプリカを渡され、見てみると。
オリジナルとした方よりも濃い白濁がみられる。
「中級とかってなんですか?」
「判定機関があってな。そこで試験を受けることで認定される。レプリカ作製は訓練次第で、ある程度までは上手くなれるんだが、人によっては精神力の使用が半端なくて倒れてしまい、命に関わるって事で、認定された物以外は修行中の者だけが
施行していいことになってる」
「免許みたいなものかしら?」
すると免許証みたいな、認定証? もあるのかな?
「あぁ、そうだ。長くいることになりそうだったら藍華も取るといい。月一で試験は行われてるから。まぁ何かあったら、俺の弟子だってことにしておこう。後で証となるプレートを用意するよ」
「ありがとうございます。
まだわたしがそのレプリカ製作に適してるか?わかんないですけど…………」
「それはまぁ、後で試してみてからのお楽しみだな。
俺は適応してると思うぞ?」
そう言って楽しそうに笑う。
「ところで、オリジナルの方をみせてもらっても……?」
レプリカを返しつつ聞いてみると
「もちろん」
あっさりオッケーされ、オリジナルを渡される。
手に取り感触をたしかめ、眺めて透明度を見てみる。
「…………思ったんですけど…………もしかしてこのアーティファクト、レプリカかもしれませんね」
「なんだって…………⁈」
「もう1度レプリカも見せてください」
両方を手に取り並べて光にかざしたり、光を避けて見てみたりして確認する。
レジンとは違うけど、わたしの知るガラスとも違う。
極め付けは白濁部分のこの小さな粒子。
そっくりな気がする。
「本当か……!?
これは遺跡の結構深いところから見つけた物なんだが…………」
「この、白濁の粒子がそっくりなんですよ。レプリカとこのアーティファクトの。
度合いは随分違うんですけど……」
「白濁…………?」
わかったことがいくつかある。
ここの“ガラス”は少なくともわたしの知るガラスではない。
表面のツルツル具合はガラスそのもの、でも触感が。触感が…………。
なんて言ったらいいの⁈
固いんだけど、表面だけ、ほんとーにちょっとだけ柔らかいレジンでできているかのような。
「言われてみれば…………微かに見えるような……気がしなくもないが…………」
返した二を同じようにして確認する大吉さん。
「アーティファクトと呼ばれる物が、わたしのいた時代からの物だったら、の話になるんですけど……」
「可能性はあるな。
色々な技術をアーティファクトに頼るようになってからもう百何年も経っているから…………」
レジンでもない、わたしの知るガラスでもない。
一体これは何なのか…………。
「深く考えるのはやめときます!
せっかく来たこの場所。
碧空のクゥさんに習って。プラス思考で楽しんでみます‼」
それからレプリカ製作の技術を教えてもらい、試してみたりして、どんどん日は暮れて行った。
追記、レプリカ製作はわたしにも可能だった。




