114.石屋のよっちゃんとフォロワーさんの遺物(?)
「で、石屋に行くのか?」
「はい!みっちゃんおすすめのお店を教えてもらったので。」
いただいた前金で、ある程度は購入できるじゃろって言ってたから、残ったお金は“きょうと”にとっておこうと計画中だ。
屋台を冷やかしながら上機嫌な私に、
「資金は大丈夫か?なんかさっきみーばぁから受け取ってたが。」
「みっちゃんの紹介だって言えばぼったくられることはないはずだって言って、あの練習作のブレスレットと月5本の“身代わり守り”をお約束することで、とりあえず前金としてこれだけ頂きましたけど。」
そう言って受け取った小銭入りの巾着を大吉さんに渡す。
「・・・!!おまっ・・・コレ・・・!!」
巾着を見た瞬間に驚かれる。
巾着の刺繍が何か。。。?
「???」
「その刺繍な。。。みーばぁの手作りで、裏町の番人の紋だ。よっぽどのことがないと渡されない。ここでは印籠みたいな物だ。。。
よっぽど気に入られたな。。。」
「え。。。そんなにすごい物なんですか。。。」
「片手で数えれる程の者しか持ってないだろう。。少なくともその巾着持って買い物してたらぼったくられることはねぇな。。確実に。」
「ぉおお、それはありがたいデスネ。。!」
「番人はこの町に入る許可をする者。この町で商売をする者も例外なく番人の許可がいる。
番人の目の届かぬ所で悪さする者があれば、この町から排除される。2度と出入りも許されないからな・・・」
中身も確認しないまま、返され、しまっとけと言われ、ひとまずウェストポーチに押し込み、屋台の続きを楽しむ。
アーティファクトの店も多く、レプリカの粗悪品からアーティファクトの状態の良い物までピンキリだった。
あちらでみたことのあるような作品もチラホラと。。
あぁ、こういう作品は長い年月保つのか、あの作品は部品が取れてしまって力半減っぽいなー。とか。
油断していたら何日間もここの中だけで過ごせそう。
いつか・・・時間を気にすることなく来たいな。
アーティファクト以外にも、食品や本、ガラクタのようなものやら果ては家具まであったりして。まるで蚤の市のようだった。
全部をじっくり眺めるには時間が少ないので、ちょっと駆け足で気になるところだけチラ見して行った。
そして目的の屋台は。
“よっちゃんの石屋”
屋台横から立っているのぼり旗にもそう書かれていた。
所狭しとぶら下がっている天然石ビーズ。屋根部分からもぶら下がっていて、カーテンのようになっている。台の上にはクラスターや細石の小瓶。ちょっとお高そうなポイント水晶もあったりして、そこだけで小さなミネショを味わえる。
「こんにちはー!見せてもらって良いですか?」
屋根部分からぶら下がってるのは、私のちょうど頭上に位置していてそのままイン。
「おーどうぞどうぞ!」
「よしぞーじいさん久しぶり〜」
大吉さんはぶら下がってるのを避けながら屋根下に入る。
「げ、大吉っちゃんじゃないか。久しぶりだのぅ。」
げって。。。
台の向こう側から、白い髪がふさふさの瓶底メガネなおじいさんが顔を出した。
寄れたワイシャツを着ていて、素敵な天然石があしらわれたループタイのアーティファクトをつけている。
「そちらの可愛いお嬢ちゃんはお前さんのツレかい?」
「まぁな。天然石系を見に来たんだ、出してやってくれるか?」
げ、といったわりには普通に話を進めてる2人。
「どういったやつをご所望で?お嬢ちゃん」
「8種お願いしたいんですがー。」
そう言って、チャクラストーンとして使っている8種をお願いする。
ガーネット
カーネリアン
シトリン
ローズクォーツ
アクアマリン
ラピスラズリ
アメジスト
水晶
以上8種の1番安い細石を出してもらう。
「本当にこの細石でいいのかい?まぁ細石と言いながらビーズとかの砕けちまったものも入ってるほんっっっっとにやっすいやつなんだが。。。」
細石は大小大きさもまちまちで。傷もあるし、ヒビも入ったりしている。
「はい!混ざらないように、別々のケースに入れてもらえればオッケーです!」
手のひら大のプラスチックの瓶にザラザラと入れてもらう。
「何か思いもつかないようなことやろうとしてるな。。。?
また今度ゆっくり聞かせてくれよ?」
ウキウキしているわたしを見て、楽しそうに言う大吉さん。
「はい、もちろん!」
1瓶目、ガーネットのを受け取りざらざらさせて眺めていると、中に何か気になる淡い光が見えた気がして便を振って確認すると、どうやら何か小さい殻のような物が視認できる。
「これは・・・」
かぽんっ!と蓋を開けてソレを取り出してみると。。
「・・・!!・・・」
どう見てもガーネットではなく、唐草のような模様が入っている透明の殻のような欠片だった。
これは確か・・・ツイッタのフォロワーさんで。。。。
“天さん”が天然石にスタンプしてコーティングで失敗しちゃった〜(汗
はがしたらこんなん出来たw
名付けて“妖精の卵の殻”・・・とか言ってたやつじゃ。。。。。
「お、まーた入ってたか。ソレ」
「また。。。?」
横から手の上のものをのぞいて言う大吉さん。
「よくこういう細石に混ざるんだ。もともと天然石のビーズについてた物なんだろうが、大抵割れちまってて完品は見たことがないな。それだけで多少力を持つから、混ざってたらラッキーくらいにいつも思ってたな。」
「そいつぁーこの“なごや”近辺でよく出るんだ。
俺ぁめんどくせーからそのまま細石に突っ込んでるが。別のとこではそれだけ抜いて高値つけてるとこもあるぞ〜!
お嬢ちゃん、呼ばれたな?その“妖精の卵の殻”に」
ぶっほぉう!!!
メチャクチャ吹き出してしまった。
吹き出した勢いで“ソレ”が飛んでいってしう程までには。
「あっぶね!!」
咄嗟に飛んでった殻をふんわり受け止めてくれる大吉さん。
「あぁああありがとうございます。。。!」
急いで受け取り再びガーネットの瓶に入れて蓋をする。
「どしただ・・・?」
何瓶目かの細石を詰めながら心配してくれるよっちゃん。
「大丈夫です!!ちょっと名前にびっくりしただけですー。可愛い名前ですよね、“妖精のたまごの殻”って」
まさかそのままな名前で存在してるとは。。。。
そして───
コレは自分にとってはつい数週間前の話なのに、ここでは遠い過去からの遺物なのだ。。。。。
胸の中に湧いてくる自分の気持ちに軽くびっくりしながら眺めていると、大吉さんが心配そうにわたしを見ていた。
これは後で軽く説明が必要だな、と苦笑する。
「しかし、こういう細石なら大吉っちゃんが発掘に行ったらいくらでも手に入るだろう??」
「よっちゃん、俺一応足洗うつもりでいるからな?
だからまぁ、これからは売りに来るんじゃなくて、客になるよ!
今まで稼がせてもらった分!」
へー、じゃぁ今買ってるコレも大吉さんの発掘物の可能性もあるのかな・・・?
「客になってもなぁ。。。お前みっちゃんのお気に入りだし。ぼったくれねぇ。できれば来るな!」
ぇええ。
「すみません、おいくらですか?」
まぁ何はともあれ目当てのものが手に入ればいいや。と聞いてみる。
「お嬢ちゃん可愛いからまけとくよ〜」
そう言って例の巾着を出すと。
「!!!?」
横でお腹と口に手を当てて笑いを噛み締めてる大吉さん。
「お嬢ちゃんその巾着。。。まさか。。。」
「みっちゃんにいただきました。」
ひょええええええっとムンクの叫び状態になるヨシゾーさん。
「俺からより、もっとぼったくれないだろ?」
「・・・いや、お嬢ちゃんからぼったくるつもりはこれっぽっちもなかったがな。。。」
水戸黄◯の印籠か。
巾着の中を見ると、よく知る大吉さんのお店でも使ってた硬貨が数枚と、まだ見たことのない硬貨が5枚。。。
「まぁ。。。あれだな。お得意さん金額にしといてやるよ。まだこっから追い出されたくねぇからな!」
笑いながらそう言う。
「コレで足ります??」
コロンとよっちゃんの手にその見慣れぬ硬貨を1枚置くと。
なろうが本格的にTwitterと繋がったようなので。
SNS表記の部分をツイッタにしてみました。
問題なかったらこれまでのところも変えてこようかな。




