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ハンドメイダー異世界紀行⁈  作者: 河原 由虎
第一部 三章 “キョウト”へ
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110.遺跡

一行は森林地帯をさらに進んでいく。


山道も含む森林地帯は、山越えとなるとそれまでとは違った揺れ具合になる。


「この山越えたら遺跡があってな。このペースだと多分そこで昼飯かな。」


「遺跡・・・ですか・・・」


流れ行く緑の影を眺めながら言う。

位置的には長野県の辺りか。。。


ここまでにも遺跡っぽい所がいくつかあったけど、どこもかしこも緑に呑まれ、自然の一部と化していた。


そういった物を見ると、微かすかに何か哀愁のようなものを感じる・・・


「大吉さんは来たことがあるんですか?そこの探索に。」


「あぁ。何度かな。」


「そういえばクゥさんとはどこの遺跡で会ったんですか?」


ふと思い出して興味本位で聞いてみた。


「“なごや”の方だな。今回は通り道にもなってないが。行ってみたいか。。。?」


そうなんだ・・・。


色んな遺跡っぽいところから、アーティファクトの気配がする気がするのよね。

やっぱりまだ埋まっているのかな・・・?


「興味はありますね。お宝の匂いがするから!」


ここでは過去の遺物で、でも私にはまだ過去になりきっていない物品の数々。


見つけた時の高揚感は想像するだけでも楽しそうで。


「お宝か・・・」


どこか懐かしそうに、嬉しそうに言う大吉さん。


その表情を見ながらざわめく心。

10歳も年上の人を可愛いって思ってしまう。。。


どうしたものか・・・


自分はどうしたいんだろう。。。?

大吉さんはどう思ってるんだろう。。。?


これまでのあれこれを思い出す限り、嫌われてはいないと思う。うん。。。

デリカシーは確実に持ち合わせてないと思うけど。。。


ただ。。。

考えてしまう。拒否された時の事を。


まだ・・・その勇気は私にはない。

それに娘とか妹みたいって思われてる可能性も高い。。。!

頭ポンポンとかイイコイイコとか!!


「遺跡にはまだ結構アーティファクトがあるんですよね。。?」


「そう思われてはいるな。ただかなり探索されていて、残ってるにしても簡単には入れないような難しいところにあるんじゃないかとも言われてるな。」


「いつか行ってみたいです。」


これは本心。


フォローしてる・・・

してた素敵作家さん達の作品を発見したい。

どんな力を持つのか是非体感してみたい。


今の所出会った作品は、碧空のクゥさんの物と自分の物だけ。


まぁ、わたしの交流範囲が狭かったということもあるとは思うけれど。

コレだけたくさんの作品たちが残っているのだから、きっとあるはず。



馬車は順調に進み、大吉さんの言った遺跡付近で昼食となった。


「この辺は久しぶりだな〜フェイ。」


焚き木を拾いに行ってた2人が竈門(かまど)の所で話していた。


「そうだな。大吉とも潜ったよな。いい思い出だ。」


懐かしそうにそう頷く。


「アーティファクトの探索ですか?」


炒めている食材が焦げ付かないように混ぜながら話に加わってみる。


「そうそう!ここの地下はまだ何かあると思うんだよなー。ただ装備がないと入れないから、色々な理由があってなかなか行けれないんだ」


楽しそうに言うアグネス。


「へ〜、やっぱりいつか行ってみたいですねー!」


たわいもない会話から、自分の気持ちが決まりつつあるのを感じる。


「藍華さん、ありがとうございます!次お皿の方頼めますか?」


ユウリさんが戻ってきて、シェフ交代。


「了解です!」


遺跡といっても、殆どが土に埋もれていて何かのビルの残骸のようなもののカケラが見られるだけ。

大吉さんから聞いた話によると、富士山の噴火や諸々の天災で街は埋もれ地下に沈んだと。

この付近は噴火の影響が酷くて遺跡の崩れ具合も他の所より深刻なのだそうで。質の良いアーティファクトは残ってるかもしれないけれど、命の危険を冒してまで取りに来るものはいない、とのこと。


確かに。何か気配を感じる気がする。地面の下から。

複数のアーティファクトの気配。


「夢が膨らみますね。」


お皿を取りに行きながらポツリとつぶやく。


しばらくすると、魚釣りに行っていた頭取達が戻り、

釣り上げた魚をオカズにお昼ご飯となった。





少し名残惜しい感覚を残し、遺跡を後にして一行は歩を進める。

その日は昨日進めなかった分を少し進んでおこうと、少し長い移動になるようだ。

けれど、もともと余裕を見てあるそうで、予定通り明日には“なごや”入りできそうだとのこと。


「頭取がな、名古屋で一つ商談があるとかで。宿に到着したら、夕食までは自由行動だそうだ。」


「え、荷物に護衛はいらないですか?」


「セキュリティのしっかりした所だそうでな。宿に着いたらそこの警備の者が荷を気をつけててくれるそうだ。」


馬車ごと入れて、しかも警備員もいると。

面白い。至れり尽くせりって感じ。


「じゃぁどうします?宿でゆっくりするか街に出るか。」


「そうだなー。寄れると思ってなかったからなぁ・・・。連絡は入れてないんだが、一箇所行きたいところがある。付き合ってくれるか?」


「もちろん!」


間髪入れずに返事した。

大吉さんとだったらどこへでも行ってみたい。



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