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ハンドメイダー異世界紀行⁈  作者: 河原 由虎
第一部 三章 “キョウト”へ
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109.ご縁と別れ

朝食も終えて出発直前。


捕らえられた2人の目の前にはリンゴが目一杯入った麻袋が1個置かれた。


「お前らのアーティファクトは普通の袋に移してあそこに設置していく。」


そう言ってみんなのいるこちらの方、2人からは5、6メートル離れてる、馬車の近くにある岩を指す。


「遠隔可能距離まで行って助けを呼ぶがいい。」


「・・・甘くはないか、天雷の・・・」


1人がそう呟くと、


「・・・もしそれが結果で命失うなら、俺はそこまでの者だったつーことだろうよ・・・?」


食後、テントを片付ける時に話したことを思い出しながら、その様子を伺う。




『危ない芽は摘んでおくのも1つの手だが・・・藍華はどうしたい?』


少し考えてから、わたしにはそれを選択することはできないです。命とは、そう簡単に摘んでいいものではないということだけはわかってるつもりです、と答えると、


『そうだな・・・じゃぁ天運に任せるか。』


テント内で、見えない空を仰ぎながら大吉さんはそう言った。


今回捕まったのの逆恨みに、後々彼らから狙われたりするかもしれない危険性を考えたのだろう。


『後々大吉さんに迷惑かかりませんか。。。?』


と問うと、


『この世の全てには何か意味があるかもしれない。

ないかもしれない。

でも出会ったなら、関係したなら。

それは縁という細い糸の手繰り合わせだ。


藍華は心配しなくていい。俺は大丈夫だから。』


そう言って彼は優しくわたしの頭を撫でた。




「・・・ひとまず今命あることに感謝しとけ」


彼らに背を向けて言ったその言葉には、明らかに怒りが込められていた。


縛られた2人はそれ以上何も言うことはなく。

大吉さんがそちらを見ることもなかった。



わたしと同じく馬車のところでその様子を見守る耕助さんがいた。


「最後に声をかけるのが大吉さんで良いんですか・・・?」


「・・・親心のような物は今のアイツらには邪魔なだけだと思うんでな。。。

親だけじゃなく、親よりもすごい奴に言われた方がいいこともあると思うんだよ。。。」


どこか寂しそうにそう答える。


「アイツらはまだ若いから。どこかで会うこともあるだろう?

生きてれば!」


「・・・アグネス・・・」


あっけらかんというアグネスに、半分呆れ口調なフェイ


「生きてれば・・・」


重い空気を背負って暗くなる耕助さん


「耕助さんが、頑張って生きないとデスネ!」


そう思って言ったんじゃないかもしれないけど、言っといてみる。


「・・・ありがとうな・・・」


項垂れる耕助さんの肩をポン、と叩くフェイ。


そこに大吉さんが来て、岩の上に普通の袋に入れたソレを置こうとする。


「大吉さん、これも。」


そう言って迷惑料だと言われ渡されたアーティファクトを渡す。


「わかった。」


何も聞かずに受け取り袋に入れる大吉さん。


「それってあの盗賊の。。。?」


それを覗き込んできて確認したアグネスの疑問に一つづつ答えていく。


「迷惑料だとか言ってよこされたんですけど、

見るのも不快ですし。何よりなんか余分な機能がついてるみたいなんで。」


「余分な機能?」


「余分というかなんというか。。これ2個セットのレプリカじゃないんですよ。」


鳥模様の根付け2つ。


レプリカにする際細工をして通信機能を高めたと思われる作品。だけど。


「ここに数字が入ってるじゃないですか、3と5」


枠の下の方に小さく小さく入っている数字を見せる。


「あぁ。。。たしかに」


「絶対に1、2、4も何処かにあります。そして、いつでもそれとつながってしまうし、下手したら場所も特定されてしまう。

SNSの現在地表示機能じゃあるまいに。不特定多数の知らない人からいらない情報貰う気は無いし居場所を公開するつもりもないので。」


「・・・SNS・・・??」


プンスカ怒りながら思わず口にしてしまうが。SNSはまずかったかな。


なんだそれ、と突っ込まれる前に


「じゃ、行くか。」


袋を岩の上に改めて置いて、大吉さんが言った。




3号車だけ少し軽くなって、商隊は進む。

最後方から来る護衛チームリーダーの耕助は1番最後に、縛られたままの2人をしばらく見つめていたようだった。




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