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ハンドメイダー異世界紀行⁈  作者: 河原 由虎
第一部 三章 “キョウト”へ
105/343

104.カレー!!!!!

2021.02.08.

第105部分

104.カレー!!!!!


垂れ幕を退けて出ると、ふわりと感じるなつかしい香り。じゅるりとよだれが垂れそうになるのを耐えたらゴクリと喉が鳴る。


匂いに気を取られていると、大吉さんとフェイが何か話していたようだ。


「・・・本当にソレ、やるのか・・・?」


「何か他に良い代案があるなら受け入れるが・・・?」


大吉さんの言葉にしばし考え込むフェイ。


「・・・・・」


「フォローを・・・頼む・・・」


がっくりと項垂れる2人。


「何してるんだ、お前らも入るんだろ?

早くいけよ冷めるぞ?」


「あ、あぁ。。。」


「行くか。フェイ。。」


そう言って中に入っていった。


「早くしないと飯になるぞ。まったく。」


たわいない話をしながらアグネスにテントまで送ってもらい、


「じゃ、また後で」


そう言って自分たちのテントに向かうアグネスを見送ろうとテントから顔だけ出してのぞいていると


風呂の方から大吉さんとフェイの、何か言い合いをするかのような声が聞こえてきた。


「何やってんだアイツら。。。?」


アグネスが呆れた声でそうつぶやいた時。


風呂の方から。頭くらいのサイズの岩が飛んでいく。


「。。。!!?あの方向は!!まずい!!」


石が飛んでくのと同じくらいの速さでアグネスが駆け出す。


間に合わないと判断したアグネスが叫んだ。


「調理してる連中!!そこから離れろ!!!」


アグネスは1番遅れて逃げてきたユウリさんの手を引っ張って抱き止め庇うように竈門の方に背を向ける。


ガッシャアアアアアン!!


飛んでった岩は、お皿によそうだけとなっていた大鍋を直撃。火は最小に抑えられていたため、飛び散って燃え移ることはなく、溢れ飛び散った食事が鎮火してくれた


「「「「「・・・・・・」」」」」


竈門付近は出来たばかりのカレーが飛び散って。

美味しそうなカレー臭が辺りを包む。


カレーが。。。。。。


「・・・アグネスさん、ありがとぅ・・・」


ユウリの言葉に、溢れ出ていた怒りオーラが一旦ひっこむ。


「ひとまず可愛い()を守れて良かった。

かかってたら火傷してただろう。。。」


笑顔でそう言うと達磨頭取の方へ行って待っててくれ、と送り出す。


そしてものすごい剣幕で風呂の方へ向かい。

恐ろしい雷が落ちた。


「何やってんだ!!!?お前らは───!!!!!!」


勢いよく引きちぎられる垂れ幕。


ちょっと距離があるのと、風呂の湯気でハッキリとは見えないけれど、


「ちょ、待てアグネス!!せめてパンツぐらい!!!」


その声からまだみに何もつけてないのだと、少しドキッとする。


「諦めろ、大吉。」


風が吹いて、腰にタオル巻いて腕組みして立ってるフェイがチラリと見えた。


「てめー!もうタオル巻いてやがっっ」


そしてタオルで前を隠している大吉さん。


「2人ともそこに座れ!!!」


すごすごと正座し怒りの鉄拳を受ける2人。


ガッ!ゴッ!



そして数分後。軽装で、大きなタンコブを頭に乗せた状態の2人が。


竈門の横で正座させられていた。


食べ物の恨みは恐ろしい。

用意されていた食事は確かにカレーで。

私が拐われたので、どのみち移動できないからと。時間をかけてじっくり煮込んだものをダメにしてしまったのだから。


「においが・・・すごく美味しそうなのに・・・

ここにはもうカレーがない・・・」


ポツリと漏れ出てしまう心の声。


アグネスを筆頭にほぼ全員に囲まれて針のむしろ状態の2人。その場にいないのは警備中の護衛チームの古株3人。

だが、警備中の焚き木の方からも痛い視線が飛んできている。


「「ほんっとーにすみませんでした!!」」


ガバァっとそのまま土下座する2人。


「どーして喧嘩なんか始めたんですか。。。?」


仁王立ちするアグネスの隣にしゃがんで問うわたし。


頭の中はカレーのレシピと作るのにかかっただろう時間とその味の想像で一杯一杯。


「「・・・・・・」」


2人は土下座し、沈黙したまま動かない。


けど、大吉さんが何かアーティファクトを発動したことはわかった。




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