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ハンドメイダー異世界紀行⁈  作者: 河原 由虎
第一部 三章 “キョウト”へ
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099.飲ませ方と指輪の位置と言葉のチョイス


「ちゃんと飲み込めよ?」


キュポンと口で蓋を開け、

(その動作がいちいちカッコよく見えるのはきっと乙女脳のせい)

ソレをクイっと自分の口に含む大吉さん。


え。


まさかの口移し。


いえ。確かにそのまま口に入れられても口の端から流れ出る惨状が脳裏に浮かんだので間違ってはいないのだろうけど。。。!


絶対に耳まで真っ赤になっている自信がある。


ごくん、と喉が鳴る。


ソレからほんの数秒して口が離れる。


痺れて閉じられない口は開いたまま。

蒸気する顔。目は虚なまま。


「。。。。エ。。。」


じっと見つめられていたので何か言われるのかと思ったら。フイっと入ってきたドアの方に顔を向けて、


「そこの(かしら)が起きたら伝えといてくれ。あの依頼者とは手を切った方が身のためだと思うぞって・・・。」


耳まで真っ赤な大吉さん。


ドア向こうの気配を確認しているのか、だんだんと赤みがひいていき、数人の盗賊たちが下の階へ向かったのを待って扉をあける。


「じゃぁな。」


そっと扉を閉め、再び私を抱きかかえたまま煙の中を行く。


心臓がバクバクしすぎて疲労感が半端ない。


大吉さんは物陰に隠れたりして十数人の盗賊をやり過ごし、厳重そうな鍵付きの部屋までやってきた。


「ここだな。全部揃ってるといいんだが。。」


扉横に私を下ろし、壁にもたれさせてくれる。

痺れは、気持ーち少なくなってきた気がするが、まだ自分で体を動かすことは無理なようだ。。


大吉さんが、ウェストポーチから針のようなものを取り出し、鍵穴に差し込んで何やらごそごそやると。

あっという間に鍵が外され扉が開く。


ギィィィイ


さすが元?遺跡探索者?


中を確認した後、大丈夫と判断したのか

今度は扉の内側の壁に移されて。


「ちょっと待ってろよー」


そう言って扉を閉めた大吉さんは、灯のアーティファクトで照らしながら目的のものを発見する。


盗賊Aが持っていった私のアーティファクトをまとめて入れた小袋は宝物庫の入り口近くの壁にかけられていた。


「この袋は藍華のだよな?」


目でそうです、と答える。


首を縦に振ることすらまだできないが、目はしっかり開けるようになったので。


私のところへソレを持ってきて、袋を開いて中を確認する。

「身代わり守り以外出発前に確認したのと同じだけあると思うが。大丈夫か?」


先ほどと同じように大丈夫、と答える。


「棒人間の指輪だけつけといてやる。残りはとりあえずこのまま首からかけとけ。」


ベルトと上着が行方不明だけど、まぁしょうがないか。。


と思いながら、されるがままに受け入れる。


首から袋を下げられ、指輪を左手の薬指に。


「よし!」


あの。大吉さん、よし、じゃない。そこじゃなかった。指輪。そこじゃなかった。コレつけてたの右手の薬指。右手の薬指だったのよおおお?!


また。違う意味で動けなくなるしまた顔が。。。。

火照ってくる。


「まだ痺れてるだろ?安心して抱かれとけ。」


セリフのチョイス。


セリフのチョイスが。


色んな意味で力抜けたんで。もうされるがままにまた抱きかかえられる。


「さて、ここから出口まで。そう遠くはないが───

藍華が結界はれるようになるまで戦闘は避けるぞ。

なるたけ。」


自分に言い聞かせるように言う大吉さん。


はれるようになるまで、ってどういう。。。?


疑問に思った私は念じてみる。


首から下げた袋に入っている、この状態で発動しないことなどないだろう、と思って。


ところが。

発動しない。結界も他のものも何も。


何やらもごもごもぞもぞしている私に気づいて。


「痺れ薬とかで体が痺れてる時、普段飛ばせる念波も飛ばせれないんじゃないかって話だ。」


もっと早く知ってたかった。。知ってたからと言ってどうにかなったかと言われると、多分どうにもならなかったろうけど。。





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