プリクエル 4 石垣の回想 北海道熊害事件 2
みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れさまです。
目的地に向かって、まだ雪の積もる道を走破する、後方支援隊。
北海道は広い。
こんな話がある。
北海道に住む人と、その他の地域に住む人の「ちょっと、そこまで」の距離感の違い。
本州や九州、四国に住む人々のそれは、精々、数百メートルだが、北海道に住む人々のそれは、数キロから数十キロを指すと言う・・・本当か、嘘かはわからないが・・・
目的地は行程にして、ノンストップでも札幌から1両日を、要する。
当然、後方支援隊には、ガソリンを満載したタンクローリー車も、同行している。
先導する九五式小型乗用車に乗車している石垣の耳に、後続の九四式六輪自動貨車から、何やら聞いた事がある歌が、聞こえてきた。
(・・・側瀬・・・)
九四式には、新島配下の分隊員たちと共に、メリッサと側瀬が、乗車している。
「・・・これは、聞いた事がありませんが、軍歌ですか?」
九五式の運転手が、石垣に問いかけてきた。
「・・・ええと・・・まあ・・・は・・・ははは・・・」
確かに、軍歌っぽく聞こえなくはないと思うが、まさかその歌が、某野球アニメの主題歌・・・アニソンとは・・・ちょっと、言えない。
多分、行軍の無聊を慰めるためというか、退屈しのぎに口ずさんでいたのを、興味を覚えた同乗している軍曹あたりに聞かれて、教えたのだろうと予想が付く。
・・・何だか、合唱でも始めたのか、複数の歌声が聞こえてくる・・・
太平洋での戦闘が本格化する前の事だが、戦艦[大和]に配属された新兵たちの座学で、石垣たちも、順番で教官になった事はあるが、側瀬の場合、肝心の座学そっちのけで、自分の好きなアニメやドラマの話ばかりをしていた。
おかげで新兵たちの間に、アニソンが流行ってしまい、聯合艦隊参謀長の宇垣纒少将から、特大の雷を(何故か)石垣が、喰らったという事がある。
しかし、その後に側瀬の座学を受けた新兵たちが、様々な訓練等で集中力が増し、好成績を上げるという事が判り、宇垣も側瀬の型破りな座学を、渋々ながら認めたという事もある(ただし、何故そうなったかについては、未だに判っていない・・・)。
「・・・・・・」
石垣は、自分の側に座る新島の表情を、そっと窺う。
初対面の印象から、新島も宇垣同様、生真面目で融通が利かない性分に思える(石垣の個人的感想)。
あまり、快く思っていないのではと思ったのだが・・・目を閉じて座っている新島が、どう思っているかは窺い知れない。
因みに、この時側瀬が教えた歌なのだが、陸軍の兵士や下士官の間で、口伝えで流行っていったそうだ。
軍歌っぽい曲調もさることながら、自らを鼓舞する歌詞が、彼らの心に強く刺さったらしく、歌詞の某球団名の部分を陸軍、主人公の名前の部分を自分の名前に変えて歌う事で、自らの士気を高めるという、自分上げソングとして、定着したとか、しなかったとか・・・
そんな行程であったが、目的地である村が、目に見える距離になった時だった。
ダーン!
銃声が響いてきた。
「何だ!?」
異変を察知した新島は、即座に全車に停車を指示する。
停車した九五式から降りた新島は、後続の陸自の護衛小隊の指揮車であるパジェロに向かって走って行く。
石垣も、慌てて新島の後を追った。
同じ様に異変を察知した北野も、パジェロを降車している。
「先ほどの発砲音は、軍の小銃というより、猟銃の発砲音のようですね」
開口一番、北野が告げた。
「羆が、出没したと思うべきか?」
「いえ、銃声は一発。その可能性もあるでしょうが・・・一発程度で、逃げ出すでしょうか?」
「うむ。銃声で逆に猛り狂って襲われたという件が、幾つか報告されている。その可能性は低いだろうが・・・ここは、念には念を入れて、偵察に出ようと思う」
「そうですね。人選は、どうします?」
のほほんとして、頼りなさそうに見えた北野だが、スイッチが切り替わったように、雰囲気が変わっている。
「偵察には、小官が向かう。貴官は後方支援隊の護衛として、周辺警戒を頼みたい」
「了解です」
少尉と3尉。
呼び方は違うが、同格の指揮官同士、簡単な打ち合わせで役割分担が決まる。
「中尉殿。貴方は、ここに残っていただく」
「へっ?」
いきなり自分に話を振られて、石垣は間抜けな声を上げた。
「状況が変わりました。安全が確認出来るまで、待機していただきます」
いや・・・俺も、一応海自とはいえ、自衛官ですけれど・・・
と、言える雰囲気では無い。
自分を見据える新島の視線は、有無を言わさぬ凄みがある。
常に、前線にいる者と、そうでない者とに、ここまでの差があるのかと思わせる。
階級では、石垣の方が上なのだが、第三者から見れば・・・そう見えないだろうとは、自分でも想像は付く。
情けないが・・・
「それが、最良でしょう・・・と、言いたいところですが。彼も、物見遊山で来た訳ではありませんので。ここで、のほほんとしていたとあっては、後々、うるさいのが出て来るのですよ。そこで、こちらの車輌を貸しますので、石垣2尉の同行を、認めて貰えませんか?もちろん、彼の護衛は必要ありません。最悪、羆に襲われたら、羆の餌として置いて来ても構いませんから」
一応・・・北野が、石垣が同行出来るように口添えしてくれているのは、理解出来るのだが・・・言い方!というか、冗談でも笑えないのだが・・・
少し、不満な顔になったが、新島も北野の提案を飲んで、石垣の同行に許可を出した。
北野の好意でパジェロを借りた石垣は、メリッサと側瀬と共に、九五式の後について、村へ向かう。
村と言っても、それ程大きくは無い。
ザッと見渡した感じでも、家屋は二十軒くらいだろう。
雪が融ければ、畑が広がっている長閑な農村なのだろうが・・・
「あれって、堀かな?」
村の周囲には、かなり深めの溝が掘られている。
「狂犬病の話が、どこまで一般人に伝わっているのかだけれど、狂犬病に感染した犬とかは、水を嫌がるから・・・そのためではないかしら。でも、この時期では、川から水を引き入れるのは難しいでしょうから、あまり意味はないでしょうね。羆の侵入を防ぐ程の広さと深さのある溝も、時間的に作るのは難しいでしょうし・・・それに、村の周囲に掘られた溝が、逆に不利になる。万が一、羆に侵入された時には、退路がほぼ塞がれているも同様でしょうから・・・」
自分のSCAR―H(6.8mm仕様)を確認しながら、メリッサが答える。
側瀬も、自分の89式5.56mm小銃折曲式銃架に、弾倉を叩き込んでいる。
後部座席で、物々しい雰囲気を醸し出している2人に、運転席に座る石垣は、少しビビッている。
「で・・・でも、あれから銃声は聞こえませんよ。何の問題も無かったって事じゃ?」
「おバカ!!」
石垣の言葉に、メリッサの鋭い叱責が飛ぶ。
「自分の目で確認した訳でも無いのに、楽観的な判断をしては駄目よ!」
「・・・すみません」
叱られて、石垣はシュンとなる。
「イシガキ2尉。ニイジマ少尉の立ち振る舞いを、常に観察していなさい。若いけれど、彼の言動は、貴方にとっては、良い手本になるはずよ」
「・・・そうですか?」
メリッサは、新島を高く評価しているようだが、彼の態度は、自分たちの存在を邪険にしているとしか、石垣には思えないのだが・・・
「フゥ・・・まあいいわ。とにかく、今からでも私の言った事を、実行しなさい」
いまいち、納得出来ていない石垣に、メリッサは、ため息を付いた。
唯一、村に入れる道は、掘られた溝によって断たれ、申し訳程度に即席の木の橋が架けられている。
万が一、羆が襲ってきたら、これを落として行く手を遮断するという意図があるのだろうが、メリッサの言う通り、余り役に立ちそうに無い。
さすがに、車輌の重量には耐えられそうに無いので、石垣たちは下車をする。
村に向かうのは、石垣たち3人と、新島と彼の部下1人の5人である。
余り物々しくなっては、ややこしい事態になりそうなので、小銃を携帯するのは、メリッサと側瀬、新島の部下の3人。
石垣と新島は、拳銃のみというという事になった。
警戒をしながら、村の中を進む5人。
「・・・おかしい・・・」
新島がつぶやくのも、無理は無い。
ここまで、幾つかの家屋の間を通って来たが、家屋の中にいるのは老人や子供、女性で、窓や戸の隙間からこちらを怯えた顔で窺っているだけなのだ。
青年や壮年といった年齢の、男性の姿が見えない。
「・・・変ね」
メリッサも、違和感のようなものを感じているらしい。
「・・・・・・」
石垣も当然、違和感を覚えている。
農業と狩猟で生計を立てている村だとすれば、一定の年齢の男性たちは総出で村を守るための熊狩りに出ているという可能性が頭に過るが、それでは村の防衛力が落ちてしまう。
全員の疑問が解消したのは、村で一番大きな家屋。
おそらくは、村長の家と思しき家屋の側まで来た時だった。
「いい加減にしろ!!!」
家屋の玄関先に、猟銃を構えた若い女性が、玄関先に仁王立ちで立ち、怒鳴り声を上げている。
彼女の側には、村長らしい高齢の男と、村に駐在しているのか、派遣されて来たのかは判らないが、巡査が同じ様に立っている。
それを、取り囲むように距離を取って十数名の殺気だった男たちがいる。
「皆、落ち着け!今回の事は、彼らに責任は無い!」
「家に戻りなさい!これ以上騒ぎ立てるなら、公務執行妨害罪に抵触する事になる!!」
老人も巡査も、男たちを諭すように声を大きくしているが、あまり効果が無いようだ。
「村長も、わかっているだろう!あいつ等さえ転がり込んで来なければ、羆は来なかった!こうなったのも、すべて、あいつ等のせいだ!!」
「「「そうだ!!そうだ!!!」」」
どうやら、羆の襲撃に遭ったようだが、詳しい事情は判らない。
「やかましい!!それを言うなら原因は、私の忠告を無視して山狩りに向かった連中のせいだ!!羆は、連中の臭いを辿って、この村に来たのだろうからな!!」
「そんな事は無い!山に向かったのは、手練れの猟師たちだ!!女のクセに賢しげな事を言うな!!」
「阿呆!最初の頃は、今までの経験で十分対処は出来ていた!だが、羆を舐めるな!連中は賢い。自分たちに危害を加えようとする人間の思惑なぞ簡単に読み取って、裏をかくぐらいの事等やってのけるわ!!」
激しい言い争いを続ける女性の側には、猟犬らしき犬が3頭、頭を低くした姿勢で唸っている。
「止めないと」
状況は飲み込めていないが、あまりにも不穏過ぎる。
だからといって、迂闊に割って入れる雰囲気では無い。
躊躇っている石垣に対し、即動いたのは、新島とメリッサ、側瀬だった。
3人は、人垣をかき分けて、村長たちの前に立つ。
パン!
新島が拳銃を空に向けて発砲し、メリッサと側瀬は小銃を構える。
「「「・・・!!!」」」
「巡査の指示に、従いたまえ。詳しい話は、代表者から聞く」
厳しい表情の新島に気押されたのか、男たちは不満顔ではあったが、すごすごと引き下がった。
「・・・・・・」
即応で対処した3人と違い、出る幕の無かった石垣は、バツの悪い表情を浮かべて頭を掻くしかなかった。
「助太刀に感謝する。このまま、彼らが引き下がらなかったら、どうしようかと思っていたところだった・・・」
女性は、新島たち3人に礼を言った。
「・・・善治郎・・・?」
村長が、新島を見てつぶやいた。
「ご無沙汰しています。お父さん」
「「「お父さん!!?」」」
新島の口から語られた、予想もしなかった関係性に、石垣たちは驚いた。
安全が確認されたところで、石垣たちは後方支援隊を呼び寄せた。
村の中まで輸送トラックは入れないので、側の畑を借りて急ごしらえの野営地を設置した後方支援隊は、早速行動に移っていた。
救援物資を村人に配る、野外炊具を使っての炊き出し準備、村長宅の一間を借りて派遣されて来ている医官によって、病人や怪我人の診察や治療等が行われている。
また、塹壕の設置技術を駆使しての羆避けの堀の拡張工事も、重機が無いため手作業で始めた。
工事に付いては、村の男たちの中から協力を申し出てくる者もいたため、かなりのスピードアップが望めそうだ。
もちろん、北野の率いる小隊と、新島指揮下の分隊が協力して、その間も周辺警戒を続けている。
石垣たちは、医官の1人を伴って、村長宅の離れに向かった。
そこには・・・
いったい、どのくらい彷徨い続けていたのか想像も付かない程、ボロボロで憔悴しきったソ連兵が、4人、ぐったりと蹲っていた。
石垣たちを見詰めて、彼らは酷く怯えていた。
「彼らは、昨日の早朝に木の枝に白い布を掲げてやって来た。取り敢えず保護して、警察に通報して迎えに来てもらう手筈だったのだが・・・昨夜、羆が襲って来た」
村長が、簡単に事情を説明してくれた。
「・・・それが、さっきの騒ぎの発端だったのですね・・・」
何故、村人が殺気立って集結していたかの理由は、それで理解出来た。
そんな事があれば、短絡的に結論を出し、いきり立つのも仕方が無いかも知れない。
「見苦しい所を見せてしまったが、2人が咬み殺され、女が1人攫われた・・・攫われた娘については、今朝早くに捜索に出たところ、ここから数キロ先の所で、ズタズタに裂かれた着物と肉片が見つかった・・・それを発見して戻って来た者たちが、徒党を組んで押しかけて来たのが、先刻の騒ぎだ。この人が、威嚇で猟銃を発砲しなければ、家に押し入って、彼らを引きずり出して、乱暴を働いただろう・・・何とか、それで暴挙に出るのは止められた・・・」
村長の説明を聞いていれば、男たちの怒りの言い分も、仕方が無いとは思える。
それと、発砲音が聞こえたのは、この女性の威嚇射撃だったという事もわかった。
「私がいながら、村の人が羆に襲われるのを、止められなかった。申し訳ない・・・」
さっき、猟銃を構えていた女性が、悔しそうに唇を嚙しめて謝罪をした。
「いや、あんた1人では、どうにもならなかった・・・それでも、他の村や集落の惨状に比べれば、まだましな方なのだろう・・・それに、あんたが怪我人の手当をしてくれなければ、もっと人死が出たはずだ・・・」
女性を慰めるように、声をかける村長の眉間にも、苦悩する深い皺が刻まれている。
「そうだ!」
余りにも、急展開な出来事が続いたため、うっかりしていた。
「私は、菊水総隊総隊司令官付特殊作戦チームから、今回の熊害事件の調査に派遣されて来ました、石垣達也2等海尉です。あの、貴女は・・・?」
「・・・日本共和区猟友会から派遣されて来た、片倉美鈴だ」
片倉は、ぶっきらぼうな口調で、石垣の質問に答える。
「そうですか、よろしくお願いします」
早速、右手を差し出す石垣だが、片倉は「フンッ!」と鼻を鳴らして無視をする。
「・・・・・・」
右手が、寂しい・・・
「それより、あんたたちの中で、ロシア語の出来る奴はいないか?彼らと言葉が通じなくて、困っているんだ」
片倉の質問に、石垣たちは顔を見合わせる。
「俺は、英語と中国語、韓国語なら普通に会話出来ますが、ロシア語は出来ません」
「自分は、ドイツ語と英語が少しなら・・・」
「・・・使えない男たちだ・・・」
石垣と新島の言葉に、片倉は両手を広げて嘆息する。
「・・・貴女は、どうなのですか?」
「日本人は、日本語だけで良いんだ!」
「・・・・・・」
堂々と出来ないと主張する片倉の態度は清々しいが、「使えない」と言われた立場としては、釈然としないものを感じる。
「あんたは、どうなんだ?」
今度はメリッサに向かって、声をかける。
「出来るわよ」
「なら、通訳を頼めるか?」
「いいわ」
片倉の依頼に、メリッサは頷いた。
「あっ!私もロシア語わかるよ!」
「「「えっ!!?」」」
側瀬の言葉に、石垣、新島、片倉が驚きの声を上げて、振り返る。
「・・・なによ?」
「い・・・いや、意外だったから・・・」
石垣ならともかく・・・新島や片倉にも驚かれて、心外とばかりにプウッと、頬を膨らませる側瀬。
「ネットの配信で観た、ロシアのドラマに出ていた俳優が、カッコ良くてファンになったから、それでロシア語を勉強したのに・・・」
「・・・あぁ・・・なる程ね・・・」
韓流ドラマや、韓流アイドルの影響で、韓国語を勉強する女性たちもいる。
それを考えれば、外国ドラマ等の影響で、外国語を独学でも学ぶというのは、意外でも無い。
「それじゃあ、あんた達に任せる。連中、言葉が通じないって言うのもあると思うが、警戒して出された食事も、昨日から食べていないんだ」
「わかった」
「私も協力するわ。男性よりも女性の方が、彼らの警戒心を解くのに良いと思うから」
「わかりました」
とにかく話を聞くにしても、先ずはリラックスしてからの方が良いだろう。
それに、医官に彼らの健康状態を、診察してもらう必要もある。
ここは、メリッサと側瀬に任せて、石垣と新島は村長から詳しい話を聞くために、本宅の座敷に移動した。
「ところで、兄さんは?姿が見えませんが・・・」
話が始まる前に、新島は父親に問いかけた。
「容一郎は、一昨日前に熊狩りの猟師たちと共に、山へ向かった」
「えっ!?兄さんは、鹿や猪を狩った事はありますが、羆は狩った事は無かったはず・・・」
「・・・そうだ、こちらの婦人と共に、止めたが聞き入れてもらえなかった」
「・・・・・・」
村に入ったばかりの時に、片倉と男たちが言い争いをしていた時の言葉を、思い出した。
ソ連兵が羆を連れて来たと主張する男たちに対し、片倉は、山狩りに向かった猟師たちの臭いを辿って来たと主張していた。
メリッサたちが、ソ連兵から事情を聞く事が出来れば、その辺りの事を推測する事が出来るだろう。
「・・・羆は、また来るだろうか・・・?」
「来る!」
片倉が断言した。
「昨夜、襲って来た時は何とか追い返せたが、攫われた女性を咥えていたため、急所を狙い損ねて、手負いにしてしまった。手負いにされた復讐心もあるが、何より女の味を覚えた以上、羆は、必ず女を狩りに来る。これ以上の犠牲者を出さないためにも、次は必ず私が仕留める」
淡々とした口調で、恐ろしい事を語る片倉に、石垣はゾッとしたが、同時に頼もしさを感じる。
彼女は、レジャーやスポーツとしての狩りをするハンターでは無く、狩るか狩られるかの世界で生きている猟師なのだと感心した。
そして・・・
5歳年上の姉に、小さい頃から可愛がられて育ったせいか、姉御肌の女性には無条件で憧れるという性質が、石垣にはある。
「オイッ!」
「へっ?」
「何、鼻の下を伸ばして、私を見ているんだ?」
気持ち悪いと言った感じで、嫌そうな表情を片倉は浮かべている。
「ちっ!違います!!別に、変な事は考えていません!!」
石垣は、慌てて叫ぶ。
プリクエル 石垣の回想2をお読みいただきありがとうございます。
誤字脱字があったと思いますが、ご了承ください。
次回の投稿は12月6日を予定しています。
第2部の投稿を年内に予定していましたが、諸事情により、来年に持ち越す事になりました。
このような事態になってしまい申し訳ございません。
第2部の投稿予定日は本編の後書きで連絡します。




