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薄明光線 序章 1 イーグルドライバーの独語

 みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れ様です。

 ミッドウェー諸島サンド島にある航空基地で、菊水総隊航空自衛隊第10航空団第205飛行隊に所属する嘉村義彦(きむらよしひこ)1等空尉と、友人であり同僚の高居直哉たかいなおや1等空尉、そして、ウィングマンの中川(なかがわ)リン2等空尉と伊倉名波(いくらななみ)3等空尉は、新たな命令を受けた。


「まったく、睡眠時間だけでは無く、食事の時間も短縮されたと思ったら、今度は、ここに来いとは、何だ・・・?」


 嘉村が、ぶつぶつと文句を言う。


「仕方無いだろう。新しい命令なのだからな・・・」


 高居が呆れた口調で、つぶやく。


「でも、何でしょうね。これから大規模な反攻作戦が開始されると言うのに、私たちはともかく、嘉村1尉と高居1尉の2人も、後方に下げるなんて・・・」


 中川が、つぶやく。


「俺たちだけでは、無いようだ」


 高居が、サンド島航空基地の駐機場にいるパイロットスーツを着たパイロットたちに、顔を向けながら、つぶやく。


「よぉ!義彦、直哉!お前たち2人も、ここに召集されたのか!?」


「・・・・・・」


 2人に声をかけたのは、航空自衛隊航空学生で同期だった、佐野(さの)(ゆき)()1等空尉だった。


 隣にいるパイロットも、同じく航学の同期である、和田(わだ)天真(てんま)1等空尉である。


 彼は、軽く手を掲げるだけで、無言だった。


「おいおい、F-35A[ライトニングⅡ]のパイロット2人が、ここで何をしている?」


 2人は、元の時代では、航空自衛隊航空戦術教導団飛行教導群第2飛行隊に所属していたエースパイロットだ。


 嘉村や高居は、飛行教導群第1飛行隊である。


 飛行教導群は、麾下に2個飛行隊を編成していた。


 第1飛行隊は、F-15J改で編成された飛行隊で、第2飛行隊は、F-35Jで編成された飛行隊だ。


 この時代に派遣された時、佐野と和田の2人は、菊水総隊航空自衛隊で唯一のステルス多用途戦闘機が配備されている、第7航空団第7飛行群第302飛行隊と第301飛行隊に、それぞれ配属され、南方作戦に投入された。


 フィリピン攻略作戦だけでは無く、インドシナ半島、中国の親米派勢力、親英派勢力の軍事施設攻撃等に参加し、マレー半島、インドネシア、ボルネオ島等への航空攻撃に参加している。


 2人の活躍は、ニュースだけでは無く、週刊誌にも掲載されるレベルだ。


「俺たちも、ここに呼ばれたのさ」


「・・・・・・」


 佐野が笑いながら、答える。


 和田も、無表情だが、嬉しそうな表情をしている。


 もっとも、それがわかるのは、付き合いが長い3人だからだ。


「どうして呼ばれたか、聞いているか?」


「いや、何も聞いていない」


 高居の質問に、佐野が首を振る。


「新しい戦闘機に、配置換えされる」


 和田が、口を開いた。


「和田が喋った!!?」


 喜村が、驚く。


 本来なら、そんな情報をどこで仕入れたと、驚くべきなのだが・・・


「おい、マジか!?これから、台風でも発生するのか!!?いや・・・天変地異でも起こるのか!!?」


 佐野も、驚く。


「嫌な予感が・・・」


 高居は、あまり驚いていないようだが、顔が青褪めていた。


「・・・・・・」


 置いてきぼりを喰らっている、中川と伊倉は、無言で驚くポイントがズレてる3人を、眺めていた。





「揃ったな」


 菊水総隊航空自衛隊第10航空団第10飛行群司令の丑代(うしよ)蒼樹(あおき)1等空佐が、声をかけた。


「諸君等に来てもらったのは他でも無い。新しく導入された、新鋭多用途戦闘機のテストパイロットとして、実地で各種評価試験を受けてもらうためだ」


 丑代がそう言うと、8人のパイロットを、格納庫へ案内した。


 そこには、4機の海迷彩に塗装された、F-15があった。


「これは・・・」


「まさか・・・」


 パイロットたちが、ざわめく。


「F-15FXだ。F-15Eを、日本仕様に開発した多用途戦闘機だ。対地攻撃、対艦攻撃は可能だが制空戦を第一に、対艦攻撃能力、対地攻撃能力を有する」


 丑代の説明に、嘉村たちは、新しい機体を眺めるのであった。

 薄明光線 序章1をお読みいただきありがとうございます。

 誤字脱字があったと思いますが、ご了承ください。

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