HELL ISLAND 終章 2 次の次
みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れ様です。
菊水総隊旗艦の指揮艦[くらま]司令部作戦室で、総隊司令官の山縣幹也海将以下幕僚たちは、戦況報告と今後の作戦案について、話し合っていた。
「ニューワールド連合軍連合海軍艦隊総軍第1艦隊司令部指揮下に置かれた空母連合艦隊は、予定通り合流海域に向かっています。そのため第1護衛隊群を、当艦隊の指揮下に組み込みます」
菊水総隊海上自衛隊幕僚長の、秋山悟海将補が説明する。
「護衛艦[いずも]には、防衛局長官直轄部隊海上自衛隊開発隊群航空プログラム開発隊所属のF-3B、6機を搭載させます」
秋山の言葉に、山縣は口を開いた。
「ついに、運用出来るようになったのか?」
「各評価試験をすべて行い。どの評価も基準を、クリアしました」
菊水総隊海上自衛隊副司令官の黒山一松海将が、告げた。
「運用方法は、どのように変更する?」
山縣の問いに、黒山が答えた。
「第1護衛隊群の任務は、これまで通りの任務を継続します。いくら、F-3Bを運用出来るようになったとはいえ、艦隊防空任務能力が向上したぐらいです。確かに対艦装備及び対地装備が可能ですが、6機だけでは、艦隊に接近する攻撃機や艦船への攻撃が限界です。敵機動部隊及び上陸部隊への攻撃は、空母連合艦隊に任せます」
[いずも]型ヘリコプター搭載護衛艦が、固定翼機の運用が出来るようになっても、正規空母として運用するのは困難だ。
どのような改修を行っても、軽空母が限界である。
実際、イギリス海軍が運用していた[インヴィンシブル]級航空母艦も、軽空母に分類され、主に制海作戦に従事した。
海上自衛隊でも本格的な航空運用を考えたのは、[あまぎ]型航空母艦を導入する事を決定してからだ。
[いずも]型ヘリコプター搭載護衛艦及び[かいよう]型航空護衛艦の部隊行動は、あくまでも制海権を獲得するための部隊行動に、限定されている。
「しかし、わざわざF-3Bにする必要が、あったのですか・・・?」
菊水総隊陸上自衛隊幕僚長の飯崎稀之介陸将補が、疑問を口にする。
「海上自衛隊は、15機だけではありますが、F-35B[ライトニングⅡ]を導入しています。南方作戦に従事している第2護衛隊群旗艦の護衛艦[かが]は、F-35Bの運用を予定しています。無理に新鋭機を実戦投入しなくても、いいのでは無いですか?」
飯崎の言葉に、海自組の2人は、苦虫を嚙み潰したような顔をした。
「私もそう思ったが・・・タイムスリップ以降、一度も実地試験の評価試験も無しに、サヴァイヴァーニィ同盟軍に備えるのは、問題であると、主張する者がいた」
山縣が代表して、言った。
「空自の方でも、同じ状況です」
菊水総隊航空自衛隊副司令官の吉満寿史空将が、口を開いた。
「空自でも、F-3Aの実地試験をするように、統幕本部から指示が出て、南方作戦に投入しています」
「・・・・・・」
飯崎は、何とも言えない顔をした。
F-3だけでは無い。
F-15J改の後継機として、F-15FXも部隊配備が行われた。
優秀なイーグルドライバーたちが選抜され、F-15FXのパイロットとなった。
F-15E[ストライクイーグル]やF-15K[スラムイーグル]の運用データ等があるため、F-15FXに関しては、そんなに問題が無い。
しかし、F-3に関しては、ほとんどデータが無い。
運用については、いくらかの問題がある。
このハワイ諸島での攻防戦は、未だ出口も見えない状況である。
しかし、次の次まで見据えている存在が在るという事を、認めざるを得ない。
HELL ISLAND 終章2をお読みいただきありがとうございます。
誤字脱字があったと思いますが、ご了承ください。
来週の投稿は、お休みをいただきたいと思います。
次回の投稿は7月6日を予定しています。




