ハワイ会戦 第17章 石垣 再び戦場へ 3 狐の嫁入り
みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れ様です。
太陽は、西に大きく傾いている。
指揮艦[信濃]の全通甲板後部の一画で、石垣たちを見送った後、氷室は桐生と共に、水平線の彼方に沈んでいく夕陽を眺めていた。
(・・・これが、恋愛ドラマだと、いい雰囲気のシーンになるんだろうな・・・ただし、20代までの男女限定で・・・)
思いっきり自分たちは、年齢的にハズレ・・・
といった、何となく、シュールな気分を味わいながら、氷室は心中でつぶやいた。
「・・・そろそろ目的地に、到着する頃ですかねぇ・・・?」
氷室は、隣の桐生に話し掛けた。
「・・・・・・」
桐生が、いつになく険しい表情を浮かべて、無言でいるのが、気になった。
「・・・あの~・・・何か僕、桐生さんを怒らせるような事、しましたっけ?」
恐る恐る問いかける。
温厚な(本性は別)桐生が、明らかに怒っている表情を露わにしているなど、まず有り得ない。
「・・・よくも、やってくれたな・・・倍返し程度では、すまさぬ!」
「・・・!!・・・!!?・・・!!!」
何かわからないが、とてつもなく怒っているのだけは・・・わかる。
言葉遣いが、完全に別人に変わっている。
氷室は、体内の血が凍り付き、全身の毛が総毛立つような恐怖と戦慄を覚えた。
やばい!やばい!!やばい!!!
脳内ではアラートが、鳴り響いている。
こうなったら・・・
「すみません!!すみません!!すみません!!!何か、わからないけれど、許して下さい!!!」
訳がわからないが、とにかく謝って、怒りを鎮めてもらうしかない。
こんな所で、人生の終焉を迎えたくは無い。
「日の本の国民の平安と安寧を脅かし、陛下の御身を害そう等と・・・愚か者どもと、それを焚きつけた者どもに、その愚行に相応しい報いを・・・」
「へっ?」
とんでもないと言えば、とんでもない言葉に、どうやら自分に怒っている訳ではなさそうだと少し安心したが、同時に何があったのか、ものすごく気になる。
「桐生さん、何か、あったのですか?」
「何がって、何?」
氷室に振り返った桐生は、いつもの、のほほんとした表情と口調に戻っている。
「いえ・・・あの・・・」
「独り言よ」
でかい独り言だ・・・非常に紛らわしい。
現時点では、菊水総隊司令部にさえ、詳細は届いていないのだが・・・
ハワイ会戦勃発と、時を同じく、大日本帝国本土では驚嘆する事件が起こっていた。
陽炎団と破軍集団自衛隊の介入により、一両日程度で事件は解決したが、事後処理にかなりの時間を要するのと、大日本帝国国民の心に、深い傷を与える事件である。
ハワイは日本人のイメージでは、常夏でいつも太陽がサンサンと輝いているように感じられるが、季節はちゃんとある。
大雑把にいうなら、雨季と乾季にわかれているそうだ。
7月である今は、乾季にあたり、降水量は多い時の5分の1位なのだが、どういう訳か、今年は雨が多いと、地元民が不思議がっていたそうだ。
石垣たちが、オアフ島の着陸ポイントに到着した時も、激しいスコールに見舞われていた。
これだけ雨音が激しければ、Mi―24Dのローター音も、聞こえにくいだろうと思われる。
(恵みの雨・・・かな?)
完全装備で、地上に降り立った石垣は、心中でそうつぶやいた。
「はいはい、石垣君。移動、移動。モタモタしない!」
小松に、尻を蹴飛ばされる。
「何をする!?」
余りな扱いに、苦情を言う。
「今夜中に、ターゲットの拠点近くまで、移動しなくちゃならないんだから。モタモタしていたら、夜が明けちゃうでしょう」
「わかった、わかった」
辟易した口調で、投げやりに答えた。
因みに、部隊は2つのチームに分かれて、別々に移動している。
任を隊長とするチームには、側瀬が付き、小松を隊長とするチームには、石垣が付く事になった。
メリッサは、全体の指揮を執るため、Mi-24Dに、居残りである。
同行して来た警察犬は、3頭ずつに分かれて、予め着陸ポイントに待機していた小松の部下がペアとなって、それぞれのチームに付いている。
進行ルートにドローンを先行させて、不測の状況に備えているが、人間より聴覚や嗅覚が優れている彼らがいれば、安全性がさらに高まるだろう。
で、後の1頭だが・・・
小松のチームの最後尾で、あっちへフラフラ、こっちへブラブラ、地面で動いている昆虫にちょっかいを出したり、後ろ足を上げて、そこら中にマーキングをしたりと好き勝手やっていて、落ち着きが無い。
警察犬の訓練以前に、普通の躾が真面に出来ていない。
それよりも・・・
「何で、俺がお前と組まなくちゃならないんだ?」
歩きながら、ブツブツと石垣は文句を言った。
「8人目が、貴方と組みなさいって、言ったからよ」
「8人目って、何だよ?」
「私たちの、リーダーみたいな人よ」
「あっそう」
国家治安維持局防衛部というから、小松の上官は自衛官だろう。
漠然と、石垣は思った。
そういえば、面識のある治安部の新谷は、防大で石垣と同期だったはずだが、気になって当時の名簿を調べてみると、該当する人物はいなかった。
それもそのはずで、彼は偽名を名乗っているというのを、後に知った時は、スパイ映画じゃあるまいし・・・と、思ってしまった。
「そう言えば・・・お前も、偽名を使っているのか?」
ちょっと、気になったので聞いてみる。
小松には、昔、散々な目に遭わされている。
また、この先偽名で、何かやらかされたら、堪ったものではないからだ。
「何?私の事が、そんなに気になる?」
「断じて、違う!」
変な誤解をされて、拗れても困るので、ここはハッキリ言っておく。
「ちょっと!2人とも、私語をしない!!」
インカムから、メリッサの声が聞こえてきた。
「あら、盗み聞き?趣味ワル~・・・」
すかさず、小松が言い返す。
「・・・・・・」
メリッサからの返信は無かったが、逆にそれは彼女の怒りを如実に物語っている。
(やめてくれ~!!)
後が怖い。
石垣は、男が絶対立ち入れない、女の戦いを前に、ビビりまくっていた。
「クゥ~ン・・・クン、クン・・・」
いつの間にか、石垣の側に寄って来ていた伝助が、ペチペチと尻尾を振りながら訳知り顔で、何か語り掛けてくる。
(わかるぞ。その気持ち・・・)
と、言われているような気になったが、犬に慰められている自分が、少し格好悪い気がした。
陽炎団国家治安維持局防衛部戦闘部隊の指揮所に到着したのは、東の空が白みかけている時間帯だった。
指揮所といっても、天幕等を張っている訳では無く、自然の洞窟を利用したものだった。
正確に言うなら、監視指揮所と言うべきだろう。
「ここから、約1キロ先に、第81歩兵師団の師団司令部陣地がある」
到着早々、指揮所の先任指揮官(自衛官か、警察官かは不明)が、地図を広げて説明を始めた。
実働部隊の指揮官であるメリッサとは、端末のテレビ通信を通じて、作戦内容の最終確認をする。
作戦決行は、今夜。
203ミリ自走榴弾砲2門による、陣地砲撃の後、地上部隊が掃討戦を仕掛け、師団司令部を壊滅させる。
Mi-24Dは、上空支援。
そして、同時に第50普通科連隊と、大日本帝国陸軍第1騎兵旅団第14騎兵聯隊が、先行する中小隊に奇襲を仕掛けるというものである。
今まで活躍の場を与えられなかった、203ミリ自走榴弾砲だが、不正規作戦で初めての活躍の場を得る事になる。
富士火力演習場でしか、実際の砲撃を見た事の無い石垣にとっては、初めて実戦で203ミリ自走榴弾砲が吼えるのを見る事になる(と、いっても石垣たちの任務は、砲撃の座標指示と戦果報告であるから、自走榴弾砲が吼えるところを、見る訳では無いが・・・)。
作戦決行まで時間があるため、石垣たちは、指揮所内で、交代で休息を取る事になる。
「石垣君、ちょっと・・・」
装備を外して休もうとした石垣に、小松が声をかけてきた。
「何だよ?」
「偵察に出るわよ」
「へっ?」
俺、休息に入るんだけど・・・という言葉は無視されて、襟首を掴まれて外に連れ出される。
「石垣2尉。頑張ってくださいね~!」
という側瀬からの、ありがたくない声援を受けた。
道なき道を徒歩で30分程かけて、目的の場所へ向かう。
木の枝等で隠蔽された即席の監視所では、1人の隊員が監視を続けている。
森林用迷彩服に、ギリースーツ、黒の目出し帽のせいで、本当に自衛官か警察官か判断出来ない。
「様子は、どう?」
「特に変わりは、ありません」
「無線の傍受は?」
「小中隊規模で別れて進行している部隊との連絡は、頻繁に行っていますが、本隊である橋頭保陣地との交信は、あまり行われていません・・・というより、橋頭保陣地からの通信を、わざと無視している様子も窺えます」
「ふ~ん。そう・・・」
小松が、ニヤリと笑う。
そんな顔をすると、ますます狐に似ている。
「・・・となると、橋頭保陣地に潜入させている諜報員からの情報も、強ちフェイクという訳でもなさそうね」
「・・・話が見えないんだが?」
石垣が、横から口を挟む。
「・・・石垣君の知らない世界の話。こっちに来たいなら、教えてア・ゲ・ル」
「遠慮する!」
おいで、おいで・・・という感じで手招きする小松に、速攻で拒絶する。
「チェ!」
「それが、いいでしょう。魑魅魍魎・・・我々、妖怪のパラダイスに、人間は不要です」
残念そうに舌打ちする小松と、双眼鏡を覗きながら、冷静にトンデモナイ意見を述べる隊員。
「うん?」
隊員が、小さな声をもらした。
「どうしたの?」
「車両が2台。陣地のゲートの前に、停車しました」
小松が、腹這いになって双眼鏡を覗く。
「・・・あれは、ドイツ製の輸送トラックね。あんまり無視されまくったから、グデーリアンさんが、プッツンしちゃったって、オチ?」
「何だって?」
思わず石垣も、小松の横で腹這いになり、双眼鏡を覗こうとした。
「ちょっと、石垣君。くっついて来ないでよ。狭いんだから」
大人3人が、川の字になるには狭すぎる監視所だが、小松の抗議を無視して双眼鏡を構える石垣の目に、ドイツ国防軍陸軍の軍服を着た集団と、アメリカ海軍の士官らしい男の姿が映る。
「海軍?」
おかしな取り合わせだと感じた。
しばらく、ゲートの所で歩哨に立っている警備兵と何か話していたようだが、海軍士官と同行者の1人が、ゲートをくぐって、陣地内に入っていった。
「・・・伝助」
小松が、監視所の周囲で飛んでいる昆虫を追いかけて遊んでいる、伝助を呼び寄せた。
「ちょっと、様子を見てきてくれる?」
そう言いながら、伝助の装備を外す。
「ワン!」
(わかった)と、いった感じで吠えると、昨夜の雨でぬかるんだ地面を転げまわり、ドロドロになった後で、ブルブルと身体を震わせる。
余分な泥を振るい落とすと、適度に泥で汚れた野犬という風情の、出来上がりである。
「GO!」
小松が命令すると、斜面を物凄い勢いで下って行った。
「・・・・・・」
先程までの、お間抜けな様子とは別人・・・もとい、別犬のようだ。
「ボーダーコリーは、犬の中では賢い犬種よ」
唖然となっている石垣の耳に、小松の声が聞こえた。
橋頭保陣地に司令部を置く、4ヵ国連合軍連合陸軍総司令部からの特使派遣は、第81歩兵師団司令部も、余り良い気はしないまでも、予想はしていたらしい。
ただ、同じ連合国アメリカ海軍司令部からの特使となれば、話は別だったらしい。
グデーリアン直属のドイツ第3帝国国防軍陸軍の護衛分隊と共に、輸送用トラックから降り立ったレイモンドに、警備兵は非好意的な視線を投げかけてきた。
まあ、それも仕方がないだろう。
グデーリアンからの使者という事は、第81歩兵師団の作戦行動に、何らかの制限を加えるつもりである事は、明白であるからだ。
同じアメリカ人なら、気持ちがわかるだろう?というのと、何故、海軍の人間が出しゃばって来るのだ?といった、無言のプレッシャーが、グイグイと掛かってくる。
気持ちはわかるが、それはそれ、これはこれである。
大日本帝国陸軍や陸上自衛隊を含む、ニューワールド連合軍陸軍は、こちらの動きを既に察知していると想定すれば、最悪の事態も考慮する必要があるからだ。
グデーリアンが、現時点で動かないのも、動くタイミングを計っているからだろう。
ここは、色々思う所があっても、共同歩調を取るように、何とか説得しなくてはならない。
第81歩兵師団の師団長への面会を要請して、しばらく待たされたが、ようやく面会の許可が出た。
ただし、師団本部陣地への立ち入りを許可されたのは、レイモンドと、レイモンド付きの海軍下士官1名だけであり、時間も1時間という条件付きであった。
他は、敷地外での待機である。
「大丈夫なのか?」
無理やり付いてきたキリュウが、心配そうに声をかけてきた。
「別に、取って食われる訳じゃないし・・・そんなに心配されたら、自信が無くなってしまうよ。僕は、そんなに頼りないのかなって・・・」
「本当の事だろう」
「・・・・・・」
「大体アンタは、放っておいたら1日3食チェリーパイばかり食べる、片付けをしないから家は散らかり放題、掃除もしないから埃だらけ、洗濯をしてもチャンと干さないから服は皺だらけ、アイロンも真面にかけられない・・・」
「・・・チェリーパイだけじゃなくて、ドーナツも食べるよ!」
「同じような物だ!」
指を折りながら、ダメ出しをするキリュウに、ここでそれを言う?と思うが、事実だけに言い返せないが・・・
「とにかく、行ってくるよ」
そう言って、ゲートをくぐったレイモンドだったが・・・
「ヴゥゥゥ!!バウッ!バウッ!!」
「うわっ!?」
歩哨が連れている軍用犬に、吠えかけられる始末だった。
「・・・本当に、大丈夫なのか・・・?」
歩いて行くたびに、すれ違う軍用犬に吠えられ、その度に驚いているレイモンドの様子に、キリュウは本気で心配になった。
しかし・・・
陣地内は、随分と軍用犬の数が、多いように感じられる。
「なあ?」
疑問に思ったキリュウは、ゲート越しに警備兵に語り掛けた。
「軍用犬の数が多いようだが、何故だ?」
「ああ、スパイに対する警戒だ」
「スパイ?」
「何だ、知らないのか?橋頭保陣地が攻撃を受けた時、食糧集積所や弾薬庫が正確に破壊されたからな。ジャップや未来人たちが、工作員を送り込んで正確な位置情報を伝えたという可能性が浮上して、それに対する警戒だ」
「・・・・・・」
警備兵の言葉に、前線の緊迫した状況というものが伝わってくる。
「おい!そっちに行ったぞ!」
「この、食料泥棒が!!」
何やら、騒ぎになっている。
「どうした!?」
キリュウと話していた警備兵が、肩に掛けていたM1918A3を持ち直して、叫び返した。
「紛れ込んできた野良犬だ!食糧集積所に忍び込んで、ハムを食っていやがった!!」
「何だよ、驚かすな・・・」
1頭の白と黒の毛並みの犬が、尻尾を丸めてこっちへ逃げて来ている。
そのまま、キリュウと警備兵の目の前を走り去り、茂みの中へ逃げ込んでいった。
「もう二度と来るんじゃ無い!今度は、鉛玉をぶち込むぞ!!」
警備兵が、茂みに向かって叫んだ。
レイモンドが、司令部に向かってから、数時間が経った。
時間制限を付けられていたにも関わらず、まだ、戻って来ないところをみると、相当レイモンドが、粘っているのだろう。
(・・・あいつは、ヘタレでも引かない所は、絶対引かないからな・・・)
そう、思った。
所在無くキリュウが周囲を見回していると、先程追い払われた犬が、戻って来ていた。
「・・・・・・」
一定の距離を保って、チョコンとお座りをして、キリュウを見詰めている。
「・・・・・・」
キリュウは、自分のバックパックから携帯食のビスケットを取り出すと、犬に近付いていった。
犬は、逃げ出そうとせず、座ったまま動かない。
「腹が空いているのか?ビスケット食うか?」
差し出されたビスケットを、口で咥えると犬は、ハグハグと食べ始めた。
「腹が空いても、盗みは良くない。もう、盗みに入ったりするなよ」
しゃがんで、犬と同じ目線に立って、優しく語りかけた。
「・・・それと、この辺りは、もうすぐ戦場になる。巻き込まれないように、もっと遠くへ行くんだ。いいな」
ビスケットを食べ終わった犬は、キリュウの顔をじっと見詰めていた。
それは、人間の言葉を理解しているようにも見えた。
「じゃあな」
犬の頭を撫でて立ち上がったキリュウの頬に、水の雫がかかった。
空を見上げると、空は晴れているのに、無数の雨粒が落ちてくる。
「狐の嫁入り・・・だったかな?」
祖父が、昔、日本の言い伝えを話してくれた事を思い出した。
俗にいう天気雨の事を、そう言うそうだ。
ふと、振り返ると犬の姿は消えていた。
空が徐々に暗くなり、雨足が強さを増してくる。
キリュウは、慌てて幌を張った輸送トラックに駆け込んだ。
「俺の休憩時間~・・・」
中々戻って来ない伝助を待っている間に、雨が降り出してきたせいで、監視指揮所まで戻る事が出来なくなり、石垣は監視所の中で、ぼやいていた。
「グダグダ言わない!ここでも休憩は出来るでしょ。今の内に食事を済ませときなさい」
小松にピシャリと言われて、石垣はブツブツ言いながら、背嚢から乾パンを取り出して、口に放り込む。
「・・・フフン・・・お天道様は、こっちに味方してくれるという訳ね」
小松は、監視所の外で雨に濡れながら、不敵に笑っていた。
「クン、クン」
伝助が、戻ってきた。
「おかえり。伝助」
小松は、伝助を迎えると、さっそく装備を整えてやっている。
「フンフン、なるほどねぇ~・・・」
装備を取り付けながら、まるで伝助と話をしているように、大きな独り言を言っている。
それを横目で見ながら、小松なら犬と会話ぐらい出来そうだと、石垣は思った。
色々とちょっかいを出された過去があるだけに、何となく小松には、平安時代に玉藻前という女性に化けて、鳥羽上皇を誑かそうとして、正体を暴かれて退治され、石になったとされる妖怪、金毛九尾の狐のような奴と、思っているからというのもある。
これは、偏見だと叩かれるかもしれないが、本気でそう思う。
「・・・軍用犬ねぇ~・・・」
邪悪な笑みを浮かべて、つぶやいている小松を見ていると、そのイメージは間違っていないと、確信に変わる。
「隊長。全体指揮官より連絡。2時間後に自走榴弾砲による砲撃を開始する。全員所定の位置にて待機。以上です」
「了解」
ゆらりと立ち上がった小松の顔に張り付いた笑みは、まさに妖狐の笑みだった・・・
ハワイ会戦 第17章をお読みいただきありがとうございます。
誤字脱字があったと思いますが、ご了承ください。
次回の投稿は12月23日を予定しています。




