間章 エピローグ 再戦の予感
みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れさまです。
サヴァイヴァーニィ同盟軍同盟陸軍第3軍集団地上軍第3装甲師団司令部では、新ソ連軍地上軍装甲師団の戦闘部隊が、米独連合軍の待ち伏せ攻撃で壊滅した事が、報告された。
「まったく、あれ程油断するなと言っていたのに、このような無様な敗北をするとは・・・」
第3装甲師団司令部幕僚が、湧き上がる怒りを抑えて毒づいた。
「・・・・・・」
彼の鋭い視線の先には、新ソ連軍地上軍から派遣されてきた、連絡将校である大佐が、顔面蒼白で沈黙し、小刻みに身体を震わせている。
パットン率いる米独連合軍が戦ったのは、サヴァイヴァーニィ同盟軍では無かった。
新ソ連軍の、地上軍であった。
新ソ連軍地上軍は、創設時にサヴァイヴァーニィ同盟から新式の武器兵器が、供与された。
スペックダウン型ではあるが、この時代では、強力な武器兵器である。
彼ら米英独伊4ヶ国連合軍が、新ソ連軍地上軍を、サヴァイヴァーニィ同盟軍と認識しても、それは仕方が無い事かも知れない・・・
「まあまあ・・・そんなに熱くなりますな。同志作戦参謀・・・」
作戦参謀の毒舌を、情報参謀が窘める。
「今回の1件で、新ソ連軍の暴走を止める結果になった。それだけでも、十分な結果では無いか?」
師団長が、代用コーヒーを飲みながら、つぶやいた。
「モスクワ奪還戦では、新ソ連軍は、後方での支援のみだったが、それ以降は、新ソ連領土から撤退する米英独連合軍を追撃した。しかし、戦闘は小規模だった・・・それに、不満を持つ将兵がいても、おかしくは無い・・・」
元々、今回のポーランド侵攻は、新ソ連軍のために行われた、侵攻作戦だった。
活躍の場が、ほとんど無い新ソ連軍は、士官、下士官、兵に至るまで、不満がたまっていた。
彼らの不満を解消するため・・・言わば、ガス抜きを兼ねて、ポーランド侵攻が実行された。
侵攻と言えばそうだが、サヴァイヴァーニィ同盟軍は、ポーランドを完全掌握する気は無かった。
あくまでも、現時点では・・・
彼らからすれば、今回の攻勢は、単なる威力偵察の1つに過ぎないのである。
今回の新ソ連軍地上軍装甲部隊の壊滅は、沸騰し過ぎた彼らの思考に、冷水を浴びせた事になる。
「新ソ連軍地上軍の様子は?」
師団長が、情報参謀に聞く。
「現地にいる連絡将校たちの報告では、今回の敗退は、予想以上の衝撃だったようです」
「そうだろうな・・・」
「報告では、戦闘に参加し、撤退した戦闘部隊の先任指揮官たちが、司令官判断で銃殺されました」
情報参謀の報告に、幕僚たちが騒いた。
「やれやれ、戦闘に参加した先任指揮官たちを銃殺では、次の戦いに備えられないでは無いか・・・」
「だが、それも仕方なかろう。新ソ連軍は、創設されたばかりだ。軍内の秩序等を考えれば、それもやむを得ないだろう・・・」
師団長は、代用コーヒーを飲み干して、告げた。
「しかし、私が気になるのは、パットン将軍率いる軍団の戦法だ」
師団長は、パットン率いる米独連合軍の戦闘報告書に、視線を向けた。
無人偵察機が、撮影した映像もある。
「東南アジアに投入され、深部偵察と諜報を行なっていた、特殊部隊からの報告では、旧式ではあるが、第2世代主力戦車が、撃破されたそうだ・・・」
「やはり・・・人間の底力は、侮れませんな。どんなに所有する武器兵器の性能が劣っていても、知恵を絞れば、解決策を導き出せる・・・」
「その通りだ」
幕僚たちの交す会話を聞きながら、師団長は心の奥底から湧き上がってくる高揚感を、抑えきれずにいた。
「パットン将軍・・・相手にとって、不足無し・・・」
今回は、単なる威力偵察に過ぎないが、この次は・・・
師団長の口元に、不敵な笑みが浮かんだ。
間章 エピローグをお読みいただきありがとうございます。
誤字脱字があったと思いますがご了承ください。
次回の投稿は7月22日を予定しています。




