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間章 プロローグ 第442連隊戦闘団の誕生

 みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れさまです。

 アメリカ合衆国本土某駐屯地。





「急げ!!急げ!!」


「何だ!そこの、のろま!!隊を全滅させたいのか!!?」


 下士官たちの、怒号が響く。


 練兵たちは、M1[ガーランド]や、M1[カービン]等を武装して、厳しい訓練に臨んでいる。


 彼らは、ヨーロッパ系アメリカ人では無い。


 白い肌では無く、黄色い肌をしている。


 彼らの戦闘服のワッペンには、第442連隊戦闘団と、表記されている。


 日系アメリカ人のみで編成された、独立歩兵連隊である。


 大日本帝国軍(自衛隊)の、戦略爆撃機による西海岸でのビラ配りにより、史実のような、大統領令による、日系アメリカ人全てを、敵性国民として強制収容所に収監という事は、行なわれなかった。


 しかし、ハワイ陥落、パナマ運河破壊、アメリカ海軍ノーフォーク基地空襲といった、大日本帝国陸海空軍と、パシフィック・スペース・アグレッサー軍(この当時は、まだ不明軍であったが)による大規模攻勢が、ラジオ、新聞、テレビで報道されると、アメリカ本土西海岸に、大規模上陸されるのでは無いか・・・というデマ情報が、流れた。


 そのデマ情報は、アメリカ国民の心に、有形無形の恐怖を植え付けた。


 やがて・・・


 その恐怖は、新たな憶測を生んだ。


 日系アメリカ人たちは、大日本帝国と通じて、アメリカ合衆国本土で、大規模な破壊活動をするのでは無いか?という憶測である。


 西海岸での戦略爆撃機のビラ配りは、そのために行なわれたのでは・・・と。


 そのようなデマ情報が、アメリカ国民たちの間に、瞬く間に広がり、日系アメリカ人に対する不信感が募った。


 連邦政府が、対応策を議論している中、日系アメリカ人が居住する州政府ごとに、対応策が、独自に行なわれた。


 まず、ハワイから避難してきた日系アメリカ人は、スパイ容疑がかけられ、全員が強制収容所に収監された。


 アメリカ本土にいる日系アメリカ人も、日本を擁護する発言をした者は、家族単位で拘束、強制収容所に収監されたのだ。


 このような処置をする州は、まだ良い方である。


 州の中には、日系アメリカ人は全員拘束の上、強制収容所に収監した州もある。


 拘束されなかった日系アメリカ人も、対日主戦論を唱える市民団体等から、さまざまな嫌がらせ等を受けた。


 しかし、ここまでの仕打ちを受けても、日系アメリカ人たちは、アメリカに対して怒りを見せる事は無かった。


 むしろ、自分たちをここまで追い込んだ、大日本帝国に対し、怒りを表した。


 日系アメリカ人たちは、自分たちの名誉回復のために、様々な集会を開き、対日主戦論を唱え、打倒大日本帝国をスローガンに、全米各地を回った。


 そして、多くの日系アメリカ人の若者たちが、軍の募集所に殺到した。


 現在アメリカ陸軍では、2万人の日系アメリカ人を、士官、下士官、兵として雇用している。


 第442連隊戦闘団は、その中でも精鋭中の精鋭の、戦闘部隊である。


 アメリカ海兵隊でも、完全な殴り込み部隊として、日系アメリカ人のみで編成された、独立歩兵大隊が編成されている。





 第442連隊戦闘団本部庁舎内の一室で、デスクワークをする、若い日系アメリカ人の将校がいた。


 彼の名は、タケオ・ロウ大尉である。


 出動に備えて、報告書を纏めている。


「ロウ大尉。各小隊長からの、報告書です」


 副官(中尉)が、書類を持ってきた。


「後で見るから、そこに置いといてくれ」


 ロウは、コーヒーを啜りながら、書類から目を離さずに答える。


「中尉。我々の出動先は、聞いたか?」


「聞いています。我々は、ヨーロッパ戦線に、投入されると・・・」


 現在、ヨーロッパは米英独伊の4ヶ国が中心となって、ポーランドに防衛線を構築し、アトランティック・スペース・アグレッサー軍陸軍と、新ソ連陸軍の侵攻に備えている。


 ヨーロッパ戦線は、ヨーロッパ防衛のために、極めて重要なのだが・・・


 中尉は、不満顔で告げた。


「大尉は、不服に思われないのですか?」


「何が?」


「太平洋では無く、ヨーロッパに回される事です!!」


 中尉は、納得出来ないという口調で、大声を出した。


「ヨーロッパ防衛の任務も、重要だ。それに太平洋は、同胞で編成された海兵隊の独立大隊が、投入される。彼らに、任せるさ」


 ロウの落ち着いた言葉に、中尉は、落ち着きを取り戻した。


「そうですね。自分も少し熱くなっていたようです。では、失礼します」


 中尉は、敬礼をして退室した。





 良かれと思ってした事が、必ずしも良い結果になるとは限らない・・・


 未来の日本人が、史実であった悲劇を防ごうとして行なった事は、彼らの願いとは真逆の結果となった・・・

 間章 プロローグをお読みいただきありがとうございます。

 誤字脱字があったと思いますがご了承ください。

 次回の投稿は6月17日を予定しています。

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