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間章 エピローグ レンズが覗く光景

 みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れさまです。

 町を制圧した第1普通科大隊は、武器、弾薬、糧食等の補給と車輌の整備、点検のために町に野営した。


 水主は、携帯端末機に、これまで撮影した写真のデータを移し、写真の整理を行っていた。


 一部の写真は、メール等で本社に送る。


 落下傘降下から、ここまでの戦場で、写真の数は莫大である。


 それらを、1枚、1枚、確認する。


「隣・・・いいかな?」


 端末機で写真の確認をしていると、背後から声をかけられた。


 水主が振り返ると、見山が立っていた。


「どうぞ」


「すまない」


 彼の手には、紙コップが2つあった。


「アメリカ陸軍が、いるおかげで、コーヒー等の融通が利く」


 見山は、テーブルにコーヒーが入った紙コップを置いた。


 連合陸軍アメリカ陸軍部隊は、相変わらず、元の時代と変わらない補給能力を駆使して、前線部隊に、できる限りの物資を提供している。


 もちろん、それらの補給物資は連合陸軍アメリカ陸軍部隊だけでは無く、他の連合陸軍加盟国陸軍や、陸上自衛隊、朱蒙軍陸軍にも提供されている。


「アメリカ軍のモットーは、補給を絶やさない・・・ですからね」


 水主が、答えた。


「礼を言うのが遅れたが、ありがとう」


「?」


 見山が頭を下げて、お礼を言った。


「あの時、警告を発してくれなかったら、衛生隊員たちは、全滅していた」


 見山が言った、あの時とは・・・


 投降した民兵部隊による、ゲリラ戦が仕掛けられた時の話だ。


「いえ・・・大した事は、していませんよ」


 水主は、紙コップを持ってコーヒーを飲んだ。


「いや、そんな事は無い。あの時、彼らの、攻撃する動向に気づけたのは、貴方だけだった」


「幸運に思うべきですね。例え、手に持つ物を、銃からカメラに切り替えても、戦場での経験は、一生忘れません」


「貴方の軍歴は、防衛局人事部から聞いている」


 水主が、スペイン陸軍外人部隊に所属していた事も、その時の従軍記録も、見山は、身上明細書で、大方理解していた。





 見山は水主と少しの間だけではあるが、雑談をし、部隊の公務があるため、彼は、大隊本部に戻った。


 水主が、第1普通科大隊の野営地食堂を訪れると、大量のピザの箱と、炭酸飲料が、各テーブルに配膳されていた。


「相変わらず、抜かりがないな・・・」


 届けられたピザの箱や、炭酸飲料は、すべて英語表記であるため、どこから届けられたか、すぐ理解できた。


 連合兵站軍のアメリカ軍部隊が、前線で戦う将兵たちのために、届けたのである。


 各テーブルには、札が掲げられていた。


 札には、『お一人様、2ピースまで』と、書かれている。


 もちろん、アメリカのピザである。


 そのサイズは、日本のピザの特大サイズより、大きいのは言うまでも無い。


 このような光景は、水主が外人部隊に勤務していた時も、戦場カメラマンとして勤務していた時にも、見られた。


 アメリカ軍は、自国軍の前線部隊の将兵たちだけでは無く、同盟国軍の前線部隊にも、大量のファーストフードを提供した。


 提供の優先順位は、補給が途絶えがちな前線部隊に優先されるだけでは無く、多めに届けられたそうだ。





 配食の時間となり、第1普通科大隊の隊員たちは、食堂に殺到し、テーブルに並べられたピザを、我先に口に運ぶ。


「おいおい!ピザの早食い大会じゃないぞ!!」


「みなさん!ピザは大量にありますから、慌てなくても大丈夫ですよ!」


 食堂で、ピザを食べる陸曹や、食堂勤務の隊員の声が、食堂に響く。


 食堂だけでは、全隊員を収容できないため、屋外にも臨時の食堂を用意し、ピザや炭酸飲料が振る舞われた。


 水主は、そんな光景を、カメラに収める。

 間章 エピローグをお読みいただきありがとうございます。

 誤字脱字があったと思いますがご了承ください。

 次回の投稿は11月27日を予定しています。

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