間章 プロローグ 従軍記者と護衛
みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れさまです。
本章から投稿日を変更させていただきます。予定としては火曜日と木曜日に1話ずつ投稿します。
変更について、ご了承ください。
反戦カメラマンであり、従軍記者である、水主諒太は、フィリピン・クラーク空軍基地で、菊水総隊陸上自衛隊第1空挺団第1普通科大隊長の見山菅一郎2等陸佐から、従軍カメラマンとして、同行する許可を取り付けると、出発前に自分の装備品を、チェックした。
ある程度の衝撃に強いフィルムカメラと、デジタルカメラを、リュックサックにしまい込み、念のために、カメラと予備のカメラを保護するための、緩衝材を入れる。
1週間分の糧食と飲料水、応急処置に必要な医療キット、カメラを整備するに必要な機材等が、リュックサックの中にある事を確認する。
実費で取り寄せた、黒色の防弾ヘルメットと、防弾チョッキも、チェックする。
「失礼します。水主諒太さんですか?」
装備品のチェックをしていると、1人の隊員が声をかけた。
「そうです」
水主が振り返ると、30代くらいの隊員と20代前半の隊員が、目の前に立っていた。
「第1空挺団第1普通科大隊所属の、金澤唄司3等陸曹です」
「同じく、武藤湊陸士長です」
「大隊長から、自分と武藤で、貴方の護衛を任されました」
「話は見山2佐から、伺っています。護衛を、よろしくお願いします」
水主が、一礼する。
「金澤3曹は、第1空挺団チームとして、富士登山駅伝で、3年連続優勝を果たしましたね」
「ご存じなのですか?」
「ええ。富士登山駅伝には、毎年、社会人チームの一員として、出場していますから」
富士登山駅伝は、駅伝大会の1つであり、2020年代からは、大会でのチーム態勢に改正が行われて、自衛隊チーム、警察チーム、消防チーム、一般社会人チーム、クラブチーム等に分けて、競技が行われる。
これと同時に、チーム総合の競技も行われる。
一時期は、総合チームでの優勝は、自衛隊の指定席だったが、警察チーム(SAT等の対テロ対策部隊)や、消防チーム(ハイパーレスキュー隊や、スーパーレンジャー隊)等が、優勝する事が多くなり、優勝が自衛隊の指定席では、無くなっている。
自衛隊チームで競うと、第1空挺団と富士教導団が、常に上位を争っている。
「そうですか。では、お仲間ですな」
金澤は、民間人で富士登山駅伝に参加する、水主に対して、自分の仲間のように、親しく話しかけた。
「コーヒーでも、飲みますか?」
「そうですね。コーヒーを飲みながら、ゆっくり話しましょう。時間は、たっぷりありますから」
休憩室に移動し、設置されている自動販売機の、缶コーヒーを買った。
水主は、反戦カメラマンであるが、マスメディアの人間でもある。
事前に2人に関する事は、見山経由で聞かされている。
金澤は、第1空挺団に6年間所属しているだけでは無く、陸上自衛隊で行われるすべての大会で、上位の成績を収める。
第1空挺団第1普通科大隊では、選抜射手に認定されており、各国陸軍の選抜射手たちが参加する射撃大会にも、積極的に出場する。
武藤は、第1空挺団に所属して、1年程度ではあるが、部隊での成績は悪くなく、護衛としてもまったく問題無いレベルだ。
どちらも陸士から第1空挺団に志願し、厳しい訓練を乗り越えた強者である(第1空挺団に所属する全隊員たちも、強者揃いだ)。
「水主さん。どこで空挺降下を、学んだのですか?」
武藤が、質問する。
当然と言えば、当然と言える疑問だろう。
普通の民間人なら、そうそうこういった、特殊技能を学ぶ必要も、機会もあまりないのだから。
「見山2佐からは、何と説明を受けたのですか?」
「その辺については、何も・・・ただ、落下傘降下に関しては、問題無いレベルだとしか聞いていません・・・」
金澤が、答えた。
「間違ってはいない説明ですね。その事については、いずれ、わかります」
水主が、缶コーヒーを飲みながら、答える。
(確かに、説明するのは、難しいだろうな)
水主は、戦場に行けば、この2人も理解するだろうと、思った。
間章 プロローグをお読みいただきありがとうございます。
誤字脱字があったと思いますがご了承ください。
次回の投稿日は11月8日を予定しています。




