マレーの虎 番外編 夢と理想 嘲笑う残酷な現実
みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れさまです。
新世界連合軍連合海軍第6艦隊旗艦である[いずも]型2機ヘリコプター搭載型巡視船[いせ]は、太平洋フィリピン海付近を航行していた。
[いずも]型2機ヘリコプター搭載型巡視船は、5000トン級巡視船であり、災害対策能力及び警備救難機能と洋上拠点機能を有する、大型巡視船である。
ヘリコプターの搭載能力は2機だが、格納庫の大型化等で、常時2機の搭載規程だが、実際には3機の運用能力を有する。
大規模災害時で、管轄の海上保安本部が機能停止した場合や、海上警備行動時に外洋に展開した際の、司令船としての機能を有する。
同じ能力を持つ巡視船で、菊水総隊海上自衛隊指揮下に海上保安本部第1船隊群司令船の[はつしま]型巡視船があるが、同船は、洋上拠点能力と国外での海賊対処行動強化のために建造された、強化指揮警備救難型巡視船である。
そのため状況により、海上自衛隊の汎用護衛艦に準じた装備化が、可能である。
統合省保安局海上保安本部が管理する巡視船ではあるが、乗り込んでいる第6艦隊司令官及び幕僚は、海上保安官では無い(幕僚及び連絡要員として配置されている)。
「司令官。連合海軍艦隊総軍司令部から届いた報告書と、各合同任務部隊司令部から上がった報告書です」
第6艦隊司令官として、大韓市国国務最高委員会海洋水産委員会海洋警察庁の森児怜警務官が出向いている。
初代司令官は、統合省保安局海上保安本部から出向いた、1等海上保安監(甲)が、就任した。
司令官職は、巡視船の交替や再編成等を考慮して、4ヶ月程度の任期とされている。
連合海軍艦隊総軍第6艦隊は、常設の艦隊では無く、臨時の艦隊だ。
そのため、新世界連合海事警備局多国籍沿岸警備隊のカッター、統合省保安局海上保安本部の巡視船、大韓市国国務最高委員会海洋水産委員会海洋警察本部の巡視船等は、本来の任務を遂行する船舶と、連合海軍艦隊総軍第6艦隊に派遣する船舶、港やドックで補修と整備を受ける船舶に分けられる。
森は、報告書に目を通した。
(連合国軍の、通商破壊がエスカレート・・・漁船や商船に偽装した特設艦による、シーレーン遮断及び攪乱・・・)
報告書には、特設艦が水上機を搭載し、航空攻撃を実施している事が、記載されている。
「15隻の輸送艦船と、補給艦船・・・9隻の民間船舶が、撃沈されたか・・・」
これらの輸送船舶には、必ず護衛として、警備艦若しくは海防艦が随行する。
護衛の警備艦や海防艦の被害は、10隻程度である。
「司令官。本日の記者会見での原稿を、お持ちしました」
公報担当の幕僚が、原稿用紙を渡す。
「うむ」
連合海軍艦隊総軍下で編成されている各艦隊司令官には、艦隊の指揮、監督だけでは無く、マスコミとの応対等も職務としてある。
マスコミと艦隊司令官との協議で、艦隊麾下の空母打撃群等の任務部隊に、従軍記者等を派遣する。
「シーレーンの海上治安が脅かされ、改善の見込みが無いからな。連合国軍への、通商破壊に対する対応策等が、質問の主題になるか・・・」
森が、原稿に目を通しながら、つぶやく。
その時、司令部に設置されているテレビから、南方戦線についてのニュースが流れた。
必要な状況で無い限り、テレビの音量は、0にされている。
しかし、ニュースであるため、下の部分に、テロップ等で、情報が表示される。
自衛官、新世界連合軍、朱蒙軍等の戦死者は、これまでの戦闘で、1000人に達した事が伝えられた。
対する連合国側の戦死者は、推定ではあるが、10万人を超えるとされている。
「新たな歴史は、何処に向かって、進んでいるのだろうな・・・」
人の命は、地球より重いと言われるが・・・
それは、夢のような理想だと、残酷な現実が、嘲笑うように告げている。
マレーの虎 番外編をお読みいただきありがとうございます。
誤字脱字があったと思いますがご了承ください。
活動報告でも報告いたしましたが、家庭の事情により、一週間のお休みをいただきます。
次回の投稿は、再来週の11月6日を予定しています。
11月6日からは、間章に入ります。
パレンバン攻略を、反戦カメラマンで従軍記者の、水主の視点で書いていきます。




