間章 プロローグ 解答困難な違和感
みなさん、おはようございます、こんにちは、こんばんは、お疲れさまです。
北太平洋アリューシャン列島ニア諸島アッツ島攻略のために、菊水総隊海上自衛隊統合防衛総監部海上総監部大湊基地隊が管理する港湾部に投錨している、第5護衛隊群第9護衛隊イージス護衛艦[みょうこう]と、新世界連合軍連合海軍艦隊総軍第1艦隊に所属するミサイル巡洋艦[ポートランド]、ミサイル駆逐艦[ファイフ]の3隻、択捉島単冠湾に集結した上陸部隊を乗せた輸送船団が出港した同日、菊水総隊航空自衛隊三沢航空基地に、8機のF-15J改が着陸した。
着陸したF-15J改隊は、ハワイ諸島オアフ島パールハーバー・ヒッカム統合基地に配備されている、菊水総隊航空自衛隊第10航空団第205飛行隊に所属する、F-15J改と、パイロットたちである。
「最後に見た時よりも、基地が拡大しているな・・・」
第205飛行隊所属の高居直哉1等空尉が、エプロンの光景を眺めながら、つぶやく。
三沢航空基地は、大日本帝国空軍と航空自衛隊が共同運用する航空基地であるが、新世界連合軍連合空軍から派遣されて来ている戦闘飛行隊や攻撃飛行隊といった、各種戦闘機や戦闘攻撃機等が翼を休めているだけでは無く、連合防空軍から派遣された、防空専用機仕様の制空戦闘機部隊が配備され、空自の飛行隊や大日本帝国空軍の戦闘機部隊と共同で、空の警戒を行っている。
「はぁ~。ここは、史実では、海軍基地だったのに・・・」
愚痴るようにつぶやいたのは、同飛行隊所属で高居の友人である、喜村慶彦1等空尉だ。
「零戦が、1機も無いぃぃぃ~!!」
喜村は、生で日本の空を飛ぶ零式艦上戦闘機が、三沢基地には1機も配備されていない事が、不満のようだ。
「零戦は無いが、史実で空の要塞と恐れられたB-29を撃墜した実績のある、三式戦闘機[飛燕]をベースに開発された、鷹式制空戦闘機がある」
高居が、同じくエプロンで駐機している鷹式制空戦闘機を指差した。
大日本帝国空軍首都圏防空部隊以外の主力戦闘機は、鷲式戦闘機と鷹式戦闘機である。
鷲式戦闘機は、制空戦闘能力と対地、対艦攻撃能力を有するレシプロ多用途戦闘機であるのに対し、鷹式戦闘機は、制空戦闘に特化している。
「あれは、俺の知っているレシプロ戦闘機じゃない!俺たちの時代の技術が供与され、開発されて、別物になった戦闘機だ」
「まあ、確かに・・・」
高居も、納得した。
喜村は、ハワイ占領後初期に大日本帝国陸海軍航空部隊が配備した、九七式戦闘機や零式艦上戦闘機二一型が空を飛ぶ光景を見る度に、子供のような表情で感動していた。
しかし、それは初期段階であり、現在のハワイ諸島オアフ島パールハーバー・ヒッカム統合基地に隣接した状態で新たに建設された、軍民共同飛行場であるホノルル飛行場(同飛行場は、大日本帝国陸海空軍航空部隊と民間航空が使用する)には、自分たちと同じく、この時代に派遣された、航空技術者たちによる技術援助で再設計された、零式艦上戦闘機[海鷹]型、鷲式戦闘機、一式戦闘攻撃機[禿鷹]が駐機している。
どの機体も、見た目は当時の技術が結集して作られた最新鋭機であるが、見た目だけで・・・ほとんど別物である。
現代技術によって作られた、レシプロ戦闘機である。
「ここで、そんな事を言っていたら、東京府を中心とした首都圏の防空を担う、大日本帝国空軍首都圏防空集軍には、どのようなツッコミを入れる?」
背後からの声に、高居と喜村は振り返った。
2人に声をかけたのは、大島勝好2等空佐だった。
「あれは、別物です」
「その通りです」
喜村と高居が、即答した。
「なるほど・・・そこには、突っ込まない、という事か・・・」
大島は、つまらなそうに苦笑した。
その表情は、2人が、何だかのリアクションをする事を、望んでいたようだが・・・
大日本帝国空軍と、軍需省空軍総局、空軍総局に属する航空産業は、自分たちから技術提供されたジェット戦闘機の研究を重ね、莫大な予算を費やして独自開発を行い、短い期間で、ジェット戦闘機の開発技術を獲得した。
この技術を基に、新世界連合軍最高委員会と交渉し、スペックダウン型ではあるが、ジェット戦闘機の輸入と、ライセンス契約を結んだ。
因みにパイロットの教育は、航空自衛隊に委託している。
大日本帝国空軍首都圏防空集軍に属する戦闘飛行隊は、第3世代ジェット戦闘機及び第4世代ジェット戦闘機に分類されるジェット戦闘機(安価でスペックダウン型)が、揃えられている。
もちろん、大韓共和国、台湾も同じである。
「昭和10年代の町並みを背景に、昭和期後半の戦闘機が空を舞う・・・と考えています」
高居が、答えた。
「・・・ここまで来ると、違和感が裸足で逃げていったと、言うべきでしょうね。一体、ロマンは、どこへ行ったのやら・・・」
喜村も、どう言えば、今の気持ちを表現出来るのか、わからないといった感想を述べる。
間章 プロローグをお読みいただきありがとうございます。
誤字脱字があったと思いますがご了承ください。




