真紅の旗 其れは革命の色 番外編 最終決戦の道
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北太平洋艦隊旗艦である重巡[インディアナポリス]以下、麾下の巡洋艦部隊及び駆逐艦部隊は、速力18ノットで、南下していた。
「提督!太平洋艦隊司令部からです」
マクモリスは、艦橋の司令官席で、通信参謀から通信文を受け取った。
「ふむ・・・」
マクモリスは、通信文に目を通した後、立ち上がった。
「艦長。針路変更」
「どちらへ?」
「我が艦隊は、これより、ハワイ諸島沖に向かう。大日本帝国本土を空襲した、ミッチャー提督指揮の奇襲攻撃艦隊を、迎えに行く」
「イエス・サー」
艦長が挙手の敬礼をすると、針路変更を指示した。
「空母[ワスプ]と[サラトガ]は無事のようですが、艦載機のほとんどを、損失しています。護衛空母[ロング・アイランド]を、失いましたが・・・太平洋艦隊司令部では、全滅を覚悟していたようですから、アメリカ国内では、久し振りに、いいニュースが流れますね」
参謀長が受け取った通信文に目を通し、上官に話しかけた。
「それだけでは無い。ハワイ、フィリピン、ウェーク島、グアム島等で捕虜になった、連合軍将兵と、囚われていた潜伏工作員たちが、空母や駆逐艦、鹵獲された輸送船に乗り込んでいる」
マクモリスは、艦橋の窓から、夜明け前の海上を眺めた。
連合軍捕虜(主にアメリカ軍将兵)は、あくまでも帰国を望んだ捕虜のみであり、ダグラス・マッカーサー元陸軍大将と、共に残る事を希望する将兵たちは、そのまま残っている。
「ハワイ奪還作戦のためにハワイ・オアフ島に潜入した海軍士官及び兵卒の2人も、空母[ワスプ]に乗艦している」
「提督が予想なさいました、ハワイ奪還作戦は、実行の最終準備段階に移った訳ですね。新型空母、新型戦艦もサンディエゴ軍港及びロサンゼルス、サンフランシスコ等のアメリカ本土西海岸の軍事施設及び南太平洋の軍事拠点に展開していますから、後は、これまで収集された情報を検証し、作戦を立案し、ハワイ奪還作戦が開始されます」
参謀長の言葉に、マクモリスは、腕を組んだ。
「新造空母及び新造戦艦だけでは無く・・・新式の戦車、戦闘機まで導入されている。問題なのは・・・それを扱う将兵が、熟練できていない事だ」
マクモリスは、もっとも危惧している事を、つぶやいた。
大規模作戦を行うために空母、戦艦、重巡洋艦、軽巡洋艦、駆逐艦、フリゲートの数は、十分に取り揃えられているが、それらの艦艇及び武器、兵器の扱いに熟練できる訓練時間が、極端に少ない事である。
「ハワイ諸島を占領しているパシフィック・スペース・アグレッサー軍と、ゴースト・フリート、大日本帝国・・・いや、アジア連合軍と言うべきか・・・」
マクモリスの手元に渡された海軍省情報部からの報告書では、大日本帝国陸海空軍を中核として、フィリピン軍、タイ王国軍、大韓共和国軍、東南アジア各地の義勇軍等が、アジア連合機構軍を結成し、自国の防衛だけでは無く、加盟国の防衛及び軍事支援等を目的に行動を、活発化させている。
ハワイ諸島では、大日本帝国陸海空軍だけでは無く、アジア連合機構軍に加盟する諸国も、兵を投入している。
「フィリピン軍は、新設されたばかりとはいえ、大日本帝国軍とパシフィック・スペース・アグレッサー軍によるフィリピン侵攻で、フィリピン軍常備軍及び予備軍は、実戦経験を得た。恐らく、陸海軍情報部が把握している以上に、大日本帝国軍以外の軍も、手強いだろうな・・・」
マクモリスのつぶやきに、幕僚たちは、ハワイ諸島方面で発生する陸海空の会戦を、想像した。
真紅の旗 其れは革命の色 番外編をお読みいただきありがとうございます。
誤字脱字があったと思いますが、ご了承ください。
本章で第8部[真紅の旗 其れは革命の色]は終了です。
次回からはアッツ島での地上戦を主体にした間章を投稿いたします。予定では、3週で終了させる予定です。
投稿日は7月10日を予定しています。




